プリオン病(3)致死性家族性不眠症(FFI)(指定難病23)

ぷりおんびょう3 ちしせいかぞくせいふみんしょう(FFI)
 

(概要、臨床調査個人票の一覧は、こちらにあります。)

(1)クロイツフェルト・ヤコブ病(CJD)
(2)ゲルストマン・ストロイスラー・シャインカー病(GSS)
(3)致死性家族性不眠症(FFI)

1.致死性家族性不眠症とはどのような病気ですか

致死性 家族性 不眠症(fatal familial insomnia: FFI)は、クロイツフェルト・ヤコブ病ゲルストマン・ストロイスラー・シャインカー病と 同様に、脳に異常な蛋白質(プリオン蛋白)が蓄積し脳神経細胞の機能が障害され脳に 海綿状 の変化が出現するプリオン病と呼ばれる疾患群に属する疾患です。この病気は遺伝性疾患で、患者さんのプリオン蛋白遺伝子の178番のコドンに変異が認められます。病気の主症状や主な病変部位がクロイツフェルト・ヤコブ病やゲルストマン・ストロイスラー・シャインカー症候群とは異なっています。

2. この病気の患者さんはどのくらいいるのですか

この病気は、日本では数家系で報告されています。

3. この病気はどのような人に多いのですか

この病気は、40~50歳代で発症することが多いです。

4. この病気の原因はわかっているのですか

この病気の原因はプリオン蛋白遺伝子に変異があることで、患者さんの脳には異常なプリオン蛋白がたくさんあります。しかし、何故異常なプリオン蛋白が脳を障害するのか、詳細は解っていません。

5. この病気は遺伝するのですか

これまでに、発病した患者さんの家族の中に同じ病気を発病した方もおられますが、発病しない方も大勢おられます。どれくらいの頻度で発病するのか、まだ解っていません。遺伝子に変異がある方全員が発病するわけではないようです。健康な方の遺伝子はほとんど調べられていないので、遺伝性に関して正確なことは解っていません。

6. この病気ではどのような症状がおきますか

この病気は、視床と呼ばれる脳の部位が主に侵されます。眠れない、夜に興奮状態となる、 幻覚 、記憶力が低下したり、自律神経症状としては、体温が上がったり、汗をたくさんかいたり、脈が速くなったりします。やがて認知症や、 ミオクローヌス と呼ばれるけいれんを呈するようになり、1年前後で意識がなく寝たきりの状態となります。

7. この病気にはどのような治療法がありますか

この病気の治療法はまだありません。

8. この病気はどういう経過をたどるのですか

この病気は、発病後2年以内に全身衰弱、肺炎などで死亡することが多いです。

9. この病気は日常生活でどのような注意が必要ですか

日常生活に特別な注意は必要ありません。しかし、他の人へのCJDの感染のリスクを回避するため、献血はできません。また、医療機関を受診するときには、必ずこの病気と診断されていることを医療機関に伝えるようにして下さい。

10. 次の病名はこの病気の別名又はこの病気に含まれる、あるいは深く関連する病名です。 ただし、これらの病気(病名)であっても医療費助成の対象とならないこともありますので、主治医に相談してください。

孤発性プリオン病
特発性(孤発性)クロイツフェルト・ヤコブ病
遺伝性クロイツフェルト・ヤコブ病
遺伝性プリオン病
家族性クロイツフェルト・ヤコブ病
ゲルストマン・ストロイスラー・シャインカー病
致死性家族性不眠症
獲得性プリオン病
クールー
医原性クロイツフェルト・ヤコブ病
変異型クロイツフェルト・ヤコブ病
プロテアーゼ感受性プリオン病

11. この病気に関する資料・関連リンク

関連ホームページのご紹介

プリオン病及び遅発性ウィルス感染症に関する調査研究班

ガイドライン」のページに「プリオン病感染予防ガイドライン2020」および「プリオン病診療ガイドライン2023」が掲載されています。(医療従事者向け)

ヤコブ病サポート・ネットワーク

全国プリオン病患者・家族会

 

 

情報提供者
研究班名 プリオン病及び遅発性ウイルス感染症に関する調査研究班
研究班名簿 研究班ホームページ
情報更新日 令和5年11月(名簿更新:令和5年6月)