ミオクロニー脱力発作を伴うてんかん(指定難病143)
1. ミオクロニー脱力発作を伴うてんかんとは
幼児期に好発する薬剤抵抗性(難治)てんかんのひとつで、最初に報告したドーゼ医師にちなんで別名「ドーゼ症候群」とも呼ばれます。正常に発育していた幼児が、ある日突然全身のけいれん(全般強直間代発作)を起こし、その後、数カ月以内に毎日、急に尻餅をついたり、前方に倒れて机の上に顔をぶつけたりする発作(ミオクロニー脱力発作)を繰り返すようになります。患者さんは転倒直後に意識が戻り、立ち上がったり、泣いたりします。抗てんかん発作薬治療の効果が乏しく、多い場合には毎日数十回転倒してしまうため、傷が絶えません。その後に「ぼーっ」とする発作(欠神発作)を合併したり、一部は睡眠中のけいれん(強直発作)を合併したりすることもあります。
2. この病気の患者さんはどのくらいいるのですか
ミオクロニー脱力発作を伴うてんかんは稀なてんかんで、岡山県における小児てんかんの 疫学調査 から13歳以下の全小児てんかんの0.08%を占め、本邦では少なくとも約100人以上の患者さんがいると推測されます。
3. この病気はどのような人に多いのですか
発症までの発達が正常な幼児に起こります。てんかんの家族歴が高い家系に起こりやすいようです。
4. この病気の原因はわかっているのですか
原因はわかっていません。
5. この病気は遺伝するのですか
遺伝しません。
6. この病気ではどのような症状がおきますか
正常に発育していた2~5歳の幼児が、突然、全身のけいれん(全般強直間代発作)を起こし、その後、数カ月以内にミオクロニー脱力発作がみられるようになります。ミオクロニー脱力発作では、一瞬、体を前方へ曲げ、その後急に力が抜けて転倒しますが、すぐに意識が回復します。その他に「ぼーっ」とする発作(欠神発作)や全身のけいれんなどを合併します。脳波検査では覚醒時の頭頂部に目立つ周波数が遅い波(θ波)や、全般性棘徐波複合と呼ばれる所見が特徴とされています。
7. この病気にはどのような治療法がありますか
バルプロ酸、エトスクシミド、レベチラセタム、クロナゼパム、クロバザムなどの抗てんかん発作薬が使用されますが、発作が止まりにくいことが知られています。薬物治療で改善しない場合には食事療法(ケトン食療法)を考慮します。
8. この病気はどういう経過をたどるのですか
長期的には約50~80%の患者さんでてんかん発作が軽快しますが、残りの患者さんでは発作が持続し中等度から重度の発達の遅れや知的障がいがでてきます。
9. この病気は日常生活でどのような注意が必要ですか
本症では、脱力し頻回に転倒するために外傷事故の恐れがあります。発作が多い場合には常にヘッド・ギアをつけて行動する必要があります。
10. 次の病名はこの病気の別名又はこの病気に含まれる、あるいは深く関連する病名です。 ただし、これらの病気(病名)であっても医療費助成の対象とならないこともありますので、主治医に相談してください。
ドーゼ(Doose)症候群
ミオクロニー失立発作てんかん
11. この病気に関する文献
1. 伊藤進.ミオクロニー脱力発作を伴うてんかん.てんかん症候群 診断と治療の手引き.日本てんかん学会(編).メディカルレビュー社,2023;54-58 .
2. 小国 弘量. Doose症候群. 希少難治てんかん診療マニュアル-疾患の特徴と診断のポイント。大槻泰介、須貝研司、小国弘量、井上有史、永井利三郎編、診断と治療社 東京 2013:15-17.
3. 小国 弘量.【神経症候群 VI(第2版) -その他の神経疾患を含めて-】 XIV てんかん症候群 その他の重要な病態 ミオクロニー(失立)脱力発作てんかん. 別冊 日本臨牀 新領域別症候群シリーズ No.31. 2014: 122-125.
用語解説
ミオクロニー:四肢の筋肉の電撃的な収縮により四肢が一瞬びくっとする運動する現象をさします。
脱力発作:四肢や体幹の筋群の力が一瞬抜けて姿勢が崩れたり、倒れたりする発作です。
ケトン食療法:厳格に作成した高脂肪、低炭水化物の組成の食事で体内にケトン体を産生させ、てんかん発作を抑制する特殊な食事療法です。
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