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全身型若年性特発性関節炎(指定難病107)

ぜんしんがたじゃくねんせいとくはつせいかんせつえん

(概要、臨床調査個人票の一覧は、こちらにあります。)

○ 概要
 
1.概要
自己免疫現象を基盤とする全身性の慢性炎症性疾患であり、関節のみならず皮膚・粘膜・血管系(血管が密に分布する腎・肺・中枢神経系を含む)を標的とし、成人スチル病と同一、あるいは類似した病態と考えられている。
 
2.原因
原因は解明されていないが、IL-6を中心とした炎症性サイトカインの過剰産生が病態の中心と考えられている。IL-6の過剰産生はIL-6受容体(R)産生を促し、形成されたIL-6/IL-6R複合体が標的細胞表面の受容体であるgp130に結合する事により、様々な生物学的反応が惹起されると考えられている。
 
3.症状
発症時には強い全身性の炎症症状を呈す。数週間以上にわたり弛張熱が持続し、発熱時にリウマトイド疹を認める。全身性のリンパ節腫脹や肝脾腫を伴い、多くの症例で関節痛や関節腫脹、心膜炎などの漿膜炎を認める。
 
4.治療法
副腎皮質ステロイド剤への依存性が極めて高く、寛解導入には高用量の経口ステロイド剤をはじめ、メチルプレドニゾロンパルス療法や血漿交換療法が用いられる。近年、ヒト型抗IL-6R抗体の有効性が報告されており、近い将来に標準治療となる可能性がある。
 
5.予後
約10%の症例で活動期にマクロファージ活性化症候群への移行が認められ、適切な治療がなされなければ、血管内皮や臓器細胞の障害と播種性血管内凝固症候群の進行から多臓器不全に至る。
 
○ 要件の判定に必要な事項
1.患者数
5,400人
2.発病の機構
不明(炎症性サイトカインの過剰産生が病態の中心と考えられている。)
3.効果的な治療方法
未確立(根本的治療法なし。)
4.長期の療養
必要(副腎皮質ステロイド剤への依存性が極めて高い。)
5.診断基準
あり(日本小児リウマチ学会で作成)
6.重症度分類
研究班による重症度分類を用いて、重症例に該当するものを対象にする。
 
○ 情報提供元
「自己炎症疾患とその類縁疾患に対する新規診療基盤の確立」
研究代表者 京都大学大学院医学研究科発達小児科学 教授 平家俊男
 
 
 
<診断基準>
全身型若年性特発性関節炎(systemic juvenile idiopathic arthritis:s-JIA)
 
[定義]
2週間以上続く弛張熱を伴い、次の項目の1つ以上の症候を伴う関節炎。
1) 典型的な紅斑、2) 全身のリンパ節腫張、3) 肝腫大又は脾腫大、4) 漿膜炎
なお、乾癬を認める例や乾癬の家族歴を認める例は除外する。
 
[診断]
A.症候と検査所見
・ 弛張熱、リウマトイド疹、関節炎を主徴とする全身型若年性特発性関節炎は、しばしば胸膜炎、心膜炎、肝脾腫を伴う。
・ 末梢血液検査の変化として白血球数の著増を認めるが、好中球が全分画の80~90%以上を占め左方移動は認めず、血小板増多、貧血の進行などが特徴である。
・ 赤沈値もCRPも高値である。血清アミロイドAも高値となる。また炎症が数か月以上にわたり慢性化すると、血清IgGも増加する。
・ フェリチン値が増加する例も多い(著増例では、マクロファージ活性化症候群への移行に注意)。
・ IL-6/IL6Rが病態形成に重要であることが判明している。
B.診断
1.本病型は、発病初期には診断に難渋する。とくに関節炎や典型的皮疹を欠く例では、様々な鑑別診断が行われる必要がある。血液検査でも特異的な検査項目はない。家族歴、現病歴の聴取を詳しく行う必要がある。
2.弛張熱、発熱と共に生じるリウマトイド疹、関節炎の存在を明らかにすることが前提条件である。また、関節炎症の詳細な臨床的把握(四肢・顎関節計70関節+頚椎関節の診察)が不可欠である。ついで鑑別診断を行う。
3.血液検査による炎症所見の評価(赤沈値、CRP)を行う。また、マクロファージ活性化症候群への移行に、注意深い観察と検査値の変化への対応が重要になる。
C.鑑別診断
・ 感染症:急性感染症、菌血症・敗血症、伝染性単核球症、伝染性紅班
・ 感染症に対するアレルギー性反応:ウイルス性血球貪食症候群
・ 炎症性腸疾患:クローン病、潰瘍性大腸炎
・ 他のリウマチ性疾患:血管炎症候群(特に大動脈炎症候群、結節性多発動脈炎)、全身性エリテマトーデス、若年性皮膚筋炎
・ 腫瘍性病変・悪性腫瘍:白血病、筋線維芽腫症
・ 自己炎症性症候群:新生児発症多臓器炎症性疾患(NOMID症候群)または慢性炎症性神経皮膚関節症候群(CINCA症候群)、高IgD症候群、家族性地中海熱、TNF受容体関連周期性発熱症候群(TRAPS)、キャッスルマン病
 
<重症度分類>
重症例を対象とする。
 
重症例の定義:以下のいずれかに該当する症例を重症例と定義する。
 
○ステロイドの減量・中止が困難で、免疫抑制剤や生物学的製剤の使用が必要
○マクロファージ活性化症候群を繰り返す
○難治性・進行性の関節炎を合併する

 
※診断基準及び重症度分類の適応における留意事項
1.病名診断に用いる臨床症状、検査所見等に関して、診断基準上に特段の規定がない場合には、いずれの時期のものを用いても差し支えない(ただし、当該疾病の経過を示す臨床症状等であって、確認可能なものに限る。)。
2.治療開始後における重症度分類については、適切な医学的管理の下で治療が行われている状態であって、直近6か月間で最も悪い状態を医師が判断することとする。
3.なお、症状の程度が上記の重症度分類等で一定以上に該当しない者であるが、高額な医療を継続することが必要なものについては、医療費助成の対象とする。
 

本疾患の関連資料・リンク

日本小児リウマチ学会
http://www.kufm.kagoshima-u.ac.jp/~ped/praj/
PRINTO
http://www.printo.it/pediatric-rheumatology/information/Japan/1.htm


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情報提供者
研究班名 自己免疫疾患に関する調査研究班
研究班名簿   
情報更新日平成29年4月24日