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全身型若年性特発性関節炎(指定難病107)

ぜんしんがたじゃくねんせいとくはつせいかんせつえん

(概要、臨床調査個人票の一覧は、こちらにあります。)

1.「全身型若年性特発性関節炎」とはどのような病気ですか

16歳未満の子どもさんに発症した関節炎のうち、原因が分からず(特発性)、6週間以上続くものを若年性特発性関節炎、英語表記でJIA(juvenile idiopathic arthritis)と呼びます。このような決まりで命名された病名ですので、JIAは一つの病気を指すものではなく、7つ病型に分けられています。全身型JIAはそのうちの1つで、関節炎に2週間以上続く発熱を伴い、それに皮膚の発疹、全身のリンパ節の腫れ、肝臓や脾臓の腫れ、漿膜炎のいずれかがあるものをさします。

2. この病気の患者さんはどのくらいいるのですか

全身型は、わが国ではJIA全体の約40%を占め、最も多い病型です。その頻度は小児人口10万人当たり約4人と推定され、全国で約5千人以上の患者さんがいると考えられています。

3. この病気はどのような人に多いのですか

1~5歳の幼児に多く発症し、男女差はありません。

4. この病気の原因はわかっているのですか

原因は不明です。

5. この病気は遺伝するのですか

遺伝はしません。

6. この病気ではどのような症状がおきますか

関節炎(関節の腫れと痛み)を伴って、高熱が続きます。また80%以上で皮膚の発疹がみられ、時に腹痛や胸痛などをともなうこともあります。
関節炎は、指にある小さな関節から膝や手首などの大きな関節にも起こります。関節痛は朝につよく、こわばり感を伴います。したがって、関節痛を訴えることができない小さな子どもさんでは、午前中は機嫌が悪い、触られるのを嫌がるなどの様子がみられます。
発熱は1日中続くわけではなく、40℃を超える高熱が突然出現し、解熱薬を使わなくても短時間で自然に下がります(間欠熱または弛張熱)。このような発熱は数週間続きますが、発熱のない時は比較的元気で、熱発する時にはよく寒気を訴えます。また、発熱時には発疹の色調がサーモンピンク色になります(図)。

高熱が長く続くと、心臓や肺を包む膜に水が貯まったり、血液の固まり方が悪くなったり、いろいろな臓器に障害がでるなど、危険な合併症を起こすことがあります。

7. この病気にはどのような治療法がありますか

ステロイドが治療の中心です。病気の勢いが強い時期には、大量のステロイドが必要ですが、治療で一旦病勢がおさまれば、その後は時間をかけてステロイドの投与量を減らし、大部分はステロイドを止めることができます。一方、ステロイドがある程度まで減るとその度に病気が再燃するような例、そのためにステロイドの副作用が深刻になっている例、発熱がなくても関節炎が続く例では、トシリズマブという生物学的製剤をつかいます。

8. この病気はどういう経過をたどるのですか

再発を繰り返す例も少なくありませんが、約80%の患者さんはステロイドを中止して完治することができます。
ただ、残りの約20%は、ステロイド減量中に発熱を伴って再燃を繰り返したり、発熱はなくとも関節炎だけが持続する患者さんです。このような患者さんでは、ステロイドの副作用や関節の機能障害が深刻な問題となり、また病気を成人期にまで持ち込むことになります。しかし、このような患者さんに対して、前述の生物学的製剤が使われるようになり、より少ない投与量のステロイドで寛解状態を維持できたり、ステロイドを中止出来る患者さんが増えました。また、関節炎が続いている患者さんでは、関節破壊の進行も阻止できるようになりました。

9. この病気は日常生活でどのような注意が必要ですか

関節炎が持続している場合には、関節の保護が必要です。関節に負担のかかる運動や作業は控えるようにしましょう。また、ステロイド投与が長期に及んでいる場合には、骨折や感染症に対する注意が必要です。
また、トシリズマブで治療されている患者さんでは、感染症にかかっていても、発熱や倦怠感などの全身症状は治療薬でマスクされてしまいます。例えば咳が続いている場合、発熱や倦怠感がなくても早めに受診し、主治医に相談することが必要です。

10. この病気に関する資料・関連リンク

日本小児リウマチ学会
http://www.kufm.kagoshima-u.ac.jp/~ped/praj/

PRINTO
http://www.printo.it/pediatric-rheumatology/information/Japan/1.htm

用語解説
漿膜炎(しょうまくえん)
:漿膜とは体内の臓器や空間を包んでいる薄い膜で、部位によって胸膜(胸腔)、心膜(心臓)、腹膜(腹腔)などと呼ばれています。この漿膜に炎症が起こると浸出液(水)が出てくるため、それぞれ胸水、心嚢液、腹水がたまります。
寛解(かんかい)
:治療により検査値が正常化し、症状もない状態です。
厳密には、関節の腫れや痛みがない、発熱や皮疹がない、血沈とCRPの値が正常値、朝のこわばりが15分以下など、全て満たす状況が、連続して6か月以上続く状態と定義されています。
完治(かんち)
:治療を中止した後にも、上記の寛解状況が1年以上続いているものと定義されています。
サイトカイン
:細胞が産生する物質で、通常は細胞と細胞との連絡役を務めることで、健康な状態を維持するのに役立っています。いろいろな種類のサイトカインがありますが、その中で炎症を引き起こすものは炎症性サイトカインと呼ばれており、全身型ではこの炎症性サイトカインが過剰に産生されています。


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情報提供者
研究班名 自己免疫疾患に関する調査研究班
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情報更新日新規掲載日:平成27年2月2日