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悪性関節リウマチ(リウマトイド血管炎)(指定難病46)

あくせいかんせつりうまち(りうまといどけっかんえん)

(概要、臨床調査個人票の一覧は、こちらにあります。)

○ 概要
 
1.概要
既存の関節リウマチ(rheumatic arthritis:RA)に、血管炎をはじめとする関節外症状を認め、難治性又は重症な臨床病態を伴う場合に、悪性関節リウマチという。内臓障害がなく、関節リウマチの関節病変が進行して関節の機能が高度に低下して身体障害がもたらされる場合には悪性関節リウマチとはいわない。悪性関節リウマチと診断される年齢のピークは60歳代で、男女比は1:2である。悪性関節リウマチの血管炎は結節性多発動脈炎と同様な全身性動脈炎型(内臓を系統的に侵し、生命予後不良)と内膜の線維性増殖を呈する末梢動脈炎型(四肢末梢及び皮膚を侵し、生命予後は良好)の2つの型に分けられる。血管炎以外の臓器症状としては、間質性肺炎を生じると生命予後不良である。
 
2.原因
関節リウマチと同様に病因は不明である。悪性関節リウマチ患者の関節リウマチの家族内発症は12%にみられ、体質・遺伝性が示唆されるが、遺伝性疾患といえるほどの強い遺伝性はない。HLA抗原との関係では、関節リウマチはDR4との相関が指摘されているが、悪性関節リウマチではその相関がより強い。
悪性関節リウマチではIgGクラスのリウマトイド因子が高率に認められ、このIgGクラスのリウマトイド因子は自己凝集する。その免疫複合体は補体消費量が高く、血管炎の起因に関与しているとみなされる。
 
3.症状
全身血管炎型では既存の関節リウマチによる多発関節痛(炎)のあるところに、発熱(38゜C以上)、体重減少を伴って皮下結節、紫斑、筋痛、筋力低下、間質性肺炎、胸膜炎、多発単神経炎、消化管出血、上強膜炎などの全身の血管炎に基づく症状がかなり急速に出現する。
末梢動脈炎型では皮膚の潰瘍、梗塞、又は四肢先端の壊死や壊疸を主症状とする。
全身血管炎型ではリウマトイド因子高値、血清補体価低値、免疫複合体高値を示す。
 
4.治療法
悪性関節リウマチに伴う関節外病変の制御、及び関節の構造的変化と身体機能低下の進行抑制を目標に治療する。悪性関節リウマチの薬物治療には、ステロイド、メトトレキサートをはじめとする疾患修飾性抗リウマチ薬、生物学的製剤、免疫抑制薬、抗凝固剤などがあり、その他血漿交換療法も行われる。治療法の選択は臨床病態により異なる。
 
5.予後
悪性関節リウマチの転帰は、軽快21%、不変26%、悪化31%、死亡14%、不明・その他8%との最近の疫学調査成績がある。死因は呼吸不全が最も多く、次いで感染症の合併、心不全、腎不全などが挙げられる。
 
○ 要件の判定に必要な事項
1.患者数(平成24年度医療受給者証保持者数)
6255人
2.発病の機構
不明
3.効果的な治療方法
未確立(根治療法なし。)
4.長期の療養
必要(身体機能低下の進行抑制を目標に治療が必要である。)
5.診断基準
あり
6.重症度分類
悪性関節リウマチの重症度分類を用いて、3度以上を医療費助成の対象とする。
 
○ 情報提供元
「難治性血管炎に関する調査研究班」
研究代表者 杏林大学第一内科学教室 腎臓・リウマチ膠原病内科 有村義宏
 
 
 
<診断基準>
1.臨床症状
(1)多発性神経炎:知覚障害、運動障害いずれを伴ってもよい。
(2)皮膚潰瘍又は梗塞又は指趾壊疽:感染や外傷によるものは含まない。
(3)皮下結節:骨突起部、伸側表面又は関節近傍にみられる皮下結節。
(4)上強膜炎又は虹彩炎:眼科的に確認され、他の原因によるものは含まない。
(5)滲出性胸膜炎又は心嚢炎:感染症など、他の原因によるものは含まない。癒着のみの所見は陽性にとらない。
(6)心筋炎:臨床所見、炎症反応、筋原性酵素、心電図、心エコーなどにより診断されたものを陽性とする。
(7)間質性肺炎又は肺線維症:理学的所見、胸部X線、肺機能検査により確認されたものとし、病変の広がりは問わない。
(8)臓器梗塞:血管炎による虚血、壊死に起因した腸管、心筋、肺などの臓器梗塞。
(9)リウマトイド因子高値:2回以上の検査で、RAHAないしRAPAテスト2560倍以上(RF960IU/m以上)の高値を示すこと。
(10)血清低補体価又は血中免疫複合体陽性:2回以上の検査で、C3、C4などの血清補体成分の低下若しくはCH50による補体活性化の低下をみること、又は2回以上の検査で血中免疫複合体陽性(C1q結合能を基準とする。)をみること。
 
2.組織所見
皮膚、筋、神経、その他の臓器の生検により小ないし中動脈壊死性血管炎、肉芽腫性血管炎ないしは閉塞 
性内膜炎を認めること。
 
3.診断のカテゴリー
ACR/EULARによる関節リウマチの分類基準 2010年(表1)を満たし、上記に掲げる項目の中で、
(1) 1.臨床症状(1)~(10)のうち3項目以上満たすもの、又は
(2) 1.臨床症状(1)~(10)の項目の1項目以上と2.組織所見の項目があるもの、
を悪性関節リウマチ(MRA)と診断する。
 
4.鑑別診断
鑑別すべき疾患、病態として、感染症、続発性アミロイドーシス、治療薬剤(薬剤誘発性間質性肺炎、薬剤誘発性血管炎など)の副作用があげられる。アミロイドーシスでは、胃、直腸、皮膚、腎、肝などの生検によりアミロイドの沈着をみる。関節リウマチ(RA)以外の膠原病(全身性エリテマトーデス、強皮症、多発性筋炎など)との重複症候群にも留意する。シェーグレン症候群は、関節リウマチに最も合併しやすく、悪性関節リウマチにおいても約10%の合併をみる。フェルティー症候群も鑑別すべき疾患であるが、この場合、白血球数減少、脾腫、易感染性をみる。
 
 
表1:ACR/EULARによる関節リウマチの分類基準(2010年)

ACR/EULAR 関節リウマチ分類基準(2010年)

1.この基準は関節炎を新たに発症した患者の分類を目的としている。関節リウマチに伴う典型的な骨びらんを有し、かつて上記分類を満たしたことがあれば関節リウマチと分類する。罹病期間が長い患者(治療の有無を問わず疾患活動性が消失している患者を含む。)で、以前のデータで上記分類を満たしたことがあれば関節リウマチと分類する。
2.鑑別診断は患者の症状により多岐にわたるが、全身性エリテマトーデス、乾癬性関節炎、痛風などを含む。鑑別診断が困難な場合は専門医に意見を求めるべきである。
3.合計点が5点以下の場合は関節リウマチと分類できないが、将来的に分類可能となる場合もあるため、必要に応じ後日改めて評価する。
4.DIP関節、第1CM関節、第1MTP関節は評価対象外
5.大関節:肩、肘、股、膝、足関節
6.小関節:MCP、PIP(IP)、MTP(2~5)、手関節
7.上に挙げていない関節(顎関節、肩鎖関節、胸鎖関節など)を含んでも良い。
8.RF: リウマトイド因子。陰性:正常上限値以下、弱陽性:正常上限3倍未満、強陽性:正常上限の3倍以上。リウマトイド因子の定性検査の場合、陽性は弱陽性としてスコア化する。
9.陽性、陰性の判定には各施設の基準を用いる。
10.罹病期間の判定は、評価時点で症状(疼痛、腫脹)を有している関節(治療の有無を問わない。)について行い、患者申告による。

 
<重症度分類>
3度以上を対象とする。
●悪性関節リウマチの重症度分類

1度

 免疫抑制療法(副腎皮質ステロイド、免疫抑制薬の投与)なしに1年以上活動性血管炎症状(皮下結節や皮下出血などは除く。)を認めない寛解状態にあり、血管炎症状による非可逆的な臓器障害を伴わない患者

2度

 血管炎症状(皮膚梗塞・潰瘍、上強膜炎、胸膜炎、間質性肺炎など)に対し免疫抑制療法を必要とし、定期的な外来通院を要する患者、又は血管炎症状による軽度の非可逆的な臓器障害(末梢神経炎による知覚障害、症状を伴わない肺線維症など)を伴っているが、社会での日常生活に支障のない患者

3度

 活動性の血管炎症状(皮膚梗塞・潰瘍、上強膜炎、胸膜炎、心外膜炎、間質性肺炎、末梢神経炎など)が出没するために免疫抑制療法を必要とし、しばしば入院を要する患者、又は血管炎症状による非可逆的臓器障害(下記①~⑥のいずれか)を伴い社会での日常生活に支障のある患者
①下気道の障害により軽度の呼吸不全を認め、PaO2が60~70Torr
②NYHA2度の心不全徴候を認め、心電図上陳旧性心筋梗塞、心房細動(粗動)、期外収縮又はST低下(0.2mV以上)の1つ以上を認める。
③血清クレアチニン値が2.5~4.9mg/dLの腎不全
④両眼の視力の和が0.09~0.2の視力障害
⑤拇指を含む2関節以上の指・趾切断
⑥末梢神経障害による1肢の機能障害(筋力3)

4度

 活動性の血管炎症状(発熱、皮膚梗塞・潰瘍、上強膜炎、胸膜炎、心外膜炎、間質性肺炎、末梢神経炎など)のために、3か月以上の入院を強いられている患者、又は血管炎症状によって以下に示す非可逆的関節外症状(下記①~⑥のいずれか)を伴い家庭での日常生活に支障のある患者
①下気道の障害により中等度の呼吸不全を認め、PaO2が50~59Torr
②NYHA3度の心不全徴候を認め、X線上 CTR60%以上、心電図上陳旧性心筋梗塞、脚ブロック、2度以上の房室ブロック、心房細動(粗動)、人工ペースメーカーの装着のいずれかを認める。
③血清クレアチニン値が5.0~7.9mg/dLの腎不全
④両眼の視力の和が0.02~0.08の視力障害
⑤1肢以上の手・足関節より中枢側における切断
⑥末梢神経障害による2肢の機能障害(筋力3)

5度

 血管炎症状による重要臓器の非可逆的障害(下記①~⑥のいずれか)を伴い、家庭内の日常生活に著しい支障があり、常時入院治療、あるいは絶えざる介護を要する患者
①下気道の障害により高度の呼吸不全を認め、PaO2が50Torr 未満
②NYHA4度の心不全徴候を認め、X線上 CTR60%以上、心電図上陳旧性心筋梗塞、脚ブロック、2度以上の房室ブロック、心房細動(粗動)、人工ペースメーカーの装着のいずれか2以上を認める。
③血清クレアチニン値が8.0mg/dLの腎不全
④両眼の視力の和が0.01以下の視力障害
⑤2肢以上の手・足関節より中枢側における切断
⑥末梢神経障害による3肢の機能障害(筋力3)、又は1肢以上の筋力全廃(筋力2以下)

※診断基準及び重症度分類の適応における留意事項
1.病名診断に用いる臨床症状、検査所見等に関して、診断基準上に特段の規定がない場合には、いずれの時期のものを用いても差し支えない(ただし、当該疾病の経過を示す臨床症状等であって、確認可能なものに限る。)。
2.治療開始後における重症度分類については、適切な医学的管理の下で治療が行われている状態であって、直近6か月間で最も悪い状態を医師が判断することとする。
3.なお、症状の程度が上記の重症度分類等で一定以上に該当しない者であるが、高額な医療を継続することが必要なものについては、医療費助成の対象とする。
 

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情報提供者
研究班名 難治性血管炎に関する調査研究班
研究班名簿  研究班ホームページ 
情報更新日平成29年4月24日