悪性関節リウマチ(指定難病46)

あくせいかんせつりうまち
 

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私は関節リウマチに10年以上罹患して、手足の変形が強く、歩行や食事、排泄などの日常生活に支障を来します。このような場合に、厚生省の特定疾患(難病)の悪性関節リウマチ(リウマトイド血管炎)には認められないのでしょうか?

悪性関節リウマチ(リウマトイド血管炎)は、血管炎をはじめとする関節外の症状を認め、難治性もしくは重篤な臨床病態を伴う場合に認定されます。関節外の症状は、肺、心臓などの内臓の障害を言います。内臓障害がなく、関節リウマチにより関節の機能が高度に低下し、身体障害をきたしただけでは悪性関節リウマチ(リウマトイド血管炎)とは言いません。むしろ、身体障害者の認定をお考えになることをお勧めいたします。

関節リウマチの患者ですが、悪性関節リウマチ(リウマトイド血管炎)にならないか心配です。日常生活など、どのようなことを留意したらよいでしょうか?

日常生活についてはリウマチ体操などにより関節機能を保全する、バランスのとれた食事、疲労を避ける、趣味を生かすなどがあげられます。悪性関節リウマチの症状としては、38℃以上の発熱が数日間続き、皮下結節、咳・呼吸苦、眼の充血、腹痛・黒色便、指尖の潰瘍などの症状が出現します。重要なことは関節リウマチをできるだけ良い状態に保つよう定期的に通院し、検査を受け、薬剤を内服して下さい。薬(特にステロイド剤)は勝手に中止しないこと、上記の症状について、心配な点は主治医によく相談して下さい。

悪性関節リウマチは何故、悪性なのですか?

悪性の語源は、1954年にBevansらが、胸膜炎、心外膜炎、心内膜炎、肺・腎病変、壊死性血管炎などを認め、電撃性の経過をとった関節リウマチ(RA)の2例をmalignant rheumatoid arthritis(MRA)として報告したことに由来します。悪性関節リウマチでは血管炎が起こることにより、関節だけではなく、全身の臓器の病変が起こり、生命の維持に支障を来すほどの重篤な病態になります。このため、「悪性」というよりは、血管炎に起因した臓器障害を合併するため、「重症」、「重篤」の意味にちかいと思います。外国では関節リウマチに血管炎を伴った意味から「リウマトイド血管炎(rheumatoid vasculitis:RV)と言われています。

特定疾患治療研究事業対象疾患の悪性関節リウマチの名称は今後検討されることはあるのでしょうか?

特に希少疾患で、難治性病態・予後を示し、治療法が難しい疾患に関して、疫学、臨床病態の研究、治療法の研究を行い、現場の医療の向上、患者さんの病態の改善を意図する研究班が、厚生労働省の特定疾患治療研究事業です。以前は「難治性疾患」といわれていました。「悪性関節リウマチ(malignant rheumatoid arthritis:MRA)」の名称は1954年にBevansらが、胸膜炎、心外膜炎、疣贅性心内膜炎、肉芽腫を伴う肺・腎病変、壊死性血管炎を認め、電撃的な経過をとった関節リウマチの報告に由来します。1989年の厚生労働省研究班では「既存の関節リウマチに血管炎をはじめとする関節外症状を認め、難治性もしくは重篤な臨床病態を伴う場合」と定義しています。その診断基準を申請し、承認されれば、患者さんは医療給付を得られます。なお、欧米では、「MRA」とする報告もありますが、「rheumatoid vasculitis」や「RA with extra-articular manifestations」などの表現が用いられています。

悪性関節リウマチに新しい治療はあるのでしょうか?

悪性関節リウマチに対する薬物治療には、副腎皮質ステロイド、メトトレキサートをはじめとする従来型抗リウマチ薬、生物学的抗リウマチ薬、シクロホスファミドやアザチオプリンなどの免疫抑制薬などがあります。近年では、関節リウマチ治療にも用いられる生物学的製剤の効果も報告されています。診療ガイドラインでも生物学的製剤の使用を考慮するとなっていますが、病状によって異なりますので主治医の先生とよく相談される必要があります。

 

情報提供者
研究班名 難治性血管炎の医療水準・患者QOL向上に資する研究班
研究班名簿 研究班ホームページ
情報更新日 令和5年11月(名簿更新:令和5年6月)