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原発性免疫不全症候群

げんぱつせいめんえきふぜんしょうこうぐん

(認定基準、臨床調査個人票の一覧は、こちらにあります。)

1. 原発性免疫不全症候群とは

正常なヒトでは体内に細菌やウイルスなどの病原体が侵入すると、これらを排除する防衛反応が生じます。この仕組みが免疫系です。原発性免疫不全症候群は、先天的に免疫系のいずれかの部分に欠陥がある疾患の総称であり、後天的に免疫力が低下するエイズなどの後天性免疫不全症候群と区別されます。障害される免疫担当細胞(たとえば、好中球、T細胞、B細胞)などの種類や部位により300近くの疾患に分類されます。
原発性免疫不全症候群で問題となるのは、感染に対する抵抗力の低下です。重症感染のため重篤な肺炎、中耳炎、膿瘍、髄膜炎などを繰り返します。時に生命の危険を生じることもあり、中耳炎の反復による難聴、肺感染の反復により気管支拡張症などの後遺症を残すこともあります。

2. この病気の患者さんはどのくらいいるのですか

疾患により異なりますが、出生1万に対して毎年1人ぐらいの割合で生まれます。比較的頻度の高いX連鎖無ガンマグロブリン血症と慢性肉芽腫症は日本全国ではともにおよそ500人から1000人近く存在すると推定されます。最も重症な重症複合免疫不全症は、アメリカ・台湾で新生児マススクリーニングが行われており、出生約5万人に1人の発生率であることが明らかになっており、日本では全国で1年間に200人近くが生まれていると考えられます。

3. この病気はどのような人に多いのですか

X連鎖無ガンマグロブリン血症、X連鎖重症複合免疫不全症、X連鎖高IgM症候群、X連鎖慢性肉芽腫症、ウイスコット・アルドリッチ症候群などのX連鎖の遺伝形式をとる疾患が多く、これらは男児にのみ発症します。常染色体劣性型の疾患では男女ほぼ同数です。発症年令は、抗体欠乏を主徴とする免疫不全症では胎盤移行抗体のなくなる生後6か月から2歳頃から発症し、好中球やT細胞機能の異常による免疫不全症では生後早期から発症する傾向があります。

4. この病気の原因はわかっているのですか

多くは免疫系に働く蛋白の遺伝子の異常です。代表的な原発性免疫不全症候群の原因遺伝子はほとんど解明されており、確定診断や治療に役立っています。まれな原発性免疫不全症の原因遺伝子も次々と発見されており、その数は300近くになっています。一方、乳児一過性低ガンマグロブリン血症や慢性良性好中球減少症のように一時的な免疫系の未熟性によると思われる疾患もあります。

5. この病気は遺伝するのですか

基本的には遺伝性の病気ですが、家族に同様の患者のいない例も多くみられます。X連鎖の遺伝形式の疾患では、母親が保因者の場合、生まれてくる男児は2分の1の確率で発症します。女児は2分の1の確率で保因者となります。常染色体劣性形式の場合では、父母が保因者であり、子が4分の1の確率で患者になります。突然変異の場合、次世代へは1/2の確率で遺伝する常染色体優性遺伝形式を取ります。必ずしも同様の症状をとるとは限らず、発症年齢も異なることもあります。

6. この病気ではどのような症状がおきますか

主な症状は易感染性です。つまり、風邪症状(咳や膿性鼻汁など)がなかなか治らなかったり、何度も発熱したりし、入院治療が必要です。重症のタイプでは感染が改善せず、致死的となることもあります。好中球や抗体産生の異常による疾患では細菌感染が多く、T細胞などの異常ではウイルス感染が多い傾向があります。また、易感染性を呈さず、炎症、湿疹、自己免疫症状、リンパ節腫脹などを呈する病型も多数発見されています。

7. この病気にはどのような治療法がありますか

疾患・重症度により治療法が選択されます。
軽症例では、抗菌薬の予防内服によりかなりの効果があります。抗体欠乏を主徴とする免疫不全症では、月1回ほどの静注用ヒト免疫グロブリン製剤、あるいは週1回の皮下注用ヒト免疫グロブリン製剤の補充により感染はほぼ予防できます。
重症複合免疫不全症などの重症なタイプでは、早期に臍帯血や骨髄による造血幹細胞移植が選択されます。ドナーがみつからない場合、海外での研究段階ではありますが、疾患によって遺伝子治療が考慮されます。
疾患によっては、免疫抑制剤や副腎皮質ホルモン(ステロイド)などの治療が必要になる場合もあります。

8. この病気はどういう経過をたどるのですか

疾患や重症度によりかなり異なります。軽症例では抗菌薬の予防内服やヒト免疫グロブリンの補充療法などにより通常の日常生活が送れます。それに対し、重症複合免疫不全症は造血幹細胞移植をしないと多くは2歳以上まで生存できません。また、慢性肉芽腫症などは予防内服をしていても、30歳以上になるとかなり予後不良となります。まれな疾患であるため、専門の施設での診断、治療、経過観察が大切です。

9. この病気は日常生活でどのような注意が必要ですか

感染症に罹患しないように、手洗い、うがいなどが必要です。また、かぜや感染症に罹患している人には会わないようにしてください。生肉、生魚、生卵の摂取は通常避けてください。疾患によっては、泥遊びや滅菌していない水を飲んだり、プールに入ったり、直射日光を浴びたり、CT検査を受けたりするのを避けた方がいい場合もありますので、主治医に確認して下さい。

10. この病気に関する資料・リンク(注1)

・PIDJホームページ:http://pidj.rcai.riken.jp
・e-免疫.com:http://www.emeneki.com
・自己炎症性疾患サイト:http://aid.kazusa.or.jp/2013/
・NPO法人PIDつばさの会:http://npo-pidtsubasa.org


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情報提供者
研究班名 原発性免疫不全症候群の診断基準・重症度分類および診療ガイドラインの確立に関する研究班
研究班名簿   
情報更新日平成27年5月4日