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顕微鏡的多発血管炎

けんびきょうてきたはつけっかんえん

(認定基準、臨床調査個人票の一覧は、こちらにあります。)

1. 「顕微鏡的多発血管炎」とはどのような病気ですか

顕微鏡的多発血管炎は、腎臓、肺、皮膚、神経などの臓器に分布する小型血管(顕微鏡で観察できる太さの細小動・静脈や毛細血管)の血管壁に炎症をおこし、出血したり血栓を形成したりするために、臓器・組織に血流障害や壊死がおこり臓器機能が損なわれる病気です。とくに、腎臓の糸球体と呼ばれる毛細血管および肺の肺胞を取り囲む毛細血管の壊死をともなう炎症が特徴的です。

2. この病気の患者さんはどのくらいいるのですか

全国の年間発生数は約1,400人と推定されています。欧米に比べて我が国に多い血管炎です。

3. この病気はどのような人に多いのですか

50~60歳以上の高齢者に多く発症します。難治性血管炎に関する調査研究班のデータベースでは、発症時の平均年齢女性は71歳でした。女性にやや多いと言われています。

4. この病気の原因はわかっているのですか

原因はいまだに不明です。しかし、好中球の細胞質に含まれる酵素タンパク質であるミエロペルオキダーゼ(MPO)に対する自己抗体(抗好中球細胞質抗体;ANCA)が高率に検出されることから、他の膠原病と同様に自己免疫異常が背景に存在すると考えられております。また、好中球が細菌などの外敵と戦うときに使用する好中球細胞外トラップ(NETs)と呼ばれる仕組みが、この病気の発症にかかわることも分かってきました。

5. この病気は遺伝するのですか

遺伝性の病気ではありませんが、病気の罹りやすさに影響する遺伝子多型が複数見つかっています。

6. この病気ではどのような症状がおきますか

発熱、全身倦怠感、体重減少などの全身症状とともに、腎糸球体や肺胞の小型血管の障害による症状や検査異常がよくみられます。腎臓の障害により血尿、尿検査異常(尿潜血反応陽性、蛋白尿、赤血球円柱など)、腎機能低下がおこり、肺の障害により肺胞出血や間質性肺炎(胸部レントゲン検査やCT検査でみつかります)がおこり、喀血、血痰、空咳、息切れの症状がみられます。また、関節痛、筋痛、皮疹(紫斑、皮下出血、皮膚潰瘍など)、末梢神経症状(手足のしびれや筋力低下)などもみられます。全身症状にともない腎臓や肺の障害が短期間に進行する場合が多いのですが、ときに尿検査での血尿の持続や肺線維症などが慢性に経過し、他の症状を伴わない場合もあります。血液検査で炎症反応(C反応性蛋白)や抗好中球細胞質抗体(ANCA) が陽性になることが多く、特にANCAを測定すれば早期発見につながります。

7. この病気にはどのような治療法がありますか

治療の目標は、副腎皮質ステロイド(ステロイド)や免疫抑制薬を用いて、血管の炎症を完全に消失させて(寛解導入療法)、その状態を維持する(寛解維持療法)ことです。腎臓や肺などの重要臓器に障害がみられる場合には強力な寛解導入療法が必要で、中等量から高用量のステロイドと免疫抑制薬のシクロホスファミド(エンドキサン)の併用が最も有効です。発症年齢が比較的高齢なため、さまざまな合併症を伴う場合も多く、身体の状態に合わせて、治療の強さを調節します。診断後速やかに治療が開始されれば約3~6か月で寛解に至ることが期待できます。さらに重症な場合は血漿交換療法も追加されます。寛解に至った場合、ステロイドを減量し、副作用の弱いほかの免疫抑制薬(アザチオプリン(イムラン)など)に切り替えた免疫維持療法を少なくとも1~2年間は継続します。このような治療に抵抗性の場合、あるいは、副作用などでこのような治療が難しい場合には、リンパ球の表面にある特殊なたんぱく質(CD20)を標的とする抗CD20抗体(リツキシマブ(リツキサン))をステロイドと併用して寛解導入を目指す場合があります。治療により感染症がおこりやすくなりますので、治療を成功させるためには感染症の予防・早期診断・早期治療が特に大切です。

8. この病気はどういう経過をたどるのですか

治療が行われないと生命に危険がおよぶ病気です。出来るだけ早い時期に診断し、病気の初期にしっかりと治療すれば、8割以上の患者さんの血管炎症は治まります(寛解)。しかし、治療が遅れたり、治療の反応が良くなかったりすると、寛解導入までに時間がかかり、臓器の機能障害が残ってしまいます。広範な肺胞出血を起こすと、一時的に人工呼吸器を必要とする場合もあります。腎不全になった場合には血液透析が必要になります。末梢神経炎に伴うしびれや痛みは、しばしば残存します。また、病気は再燃することがありますので、定期的に専門医の診察を受け、きちんとお薬を継続して下さい。

9. この病気は日常生活でどのような注意が必要ですか

感染症に対する注意が最も重要です。帰宅時には、手洗い・うがいを欠かさずに実行してください。インフルエンザワクチン、肺炎球菌ワクチンの接種も可能な限り受けましょう。規則正しい生活と食事を維持してください。ステロイドによる生活習慣病を防ぐためには、体重管理が重要です。ステロイド内服中は、定期的に緑内障・白内障を含む目のチェックを受けてください。骨密度も年に1度は測定してもらいましょう。

10. この病気に関する資料・関連リンク

ANCA関連血管炎の診療ガイドライン-Minds
http://minds4.jcqhc.or.jp/minds/ANCA/anca.pdf
ANCA関連血管炎.com
http://www.anca-aav.com/contents/hp0024/index.php?No=16&CNo=24
抗好中球細胞質抗体関連血管炎に対するリツキシマブ療法に関するステートメント
http://www.ryumachi-jp.com/info/130708_rituximab_sta.pdf


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情報提供者
研究班名 難治性血管炎に関する調査研究班
研究班名簿   
情報更新日平成27年1月26日