メニュー


HOME >> 病気の解説(一般利用者向け) >> 三頭酵素欠損症(指定難病317)

三頭酵素欠損症(指定難病317)

さんとうこうそけっそんしょう

(概要、臨床調査個人票の一覧は、こちらにあります。)

1. 「三頭酵素欠損症」とはどのような病気ですか

私たちの体にとって重要なエネルギーを産生する脂肪酸の酸化に必要な酵素が欠損して発症する病気です。本酵素はミトコンドリアの脂肪酸β酸化系のうち、ミトコンドリア内膜に結合したパルミチン酸などの長鎖脂肪酸のβ酸化を担当する酵素の1つです。三頭酵素の名前の通り、長鎖脂肪酸β酸化の3つステップの酵素反応を担当します。この酵素はα、βサブユニットと呼ばれる2つの異なったタンパクから構成されており、それぞれがHADA、 HADB遺伝子にコードされています。このどちらの遺伝子に異常があっても、三頭酵素は機能できず、三頭酵素欠損症となります。どちらの遺伝子の異常も常染色体劣性遺伝という形式をとります。一般に重要なエネルギー産生系に異常があるため重症な疾患ですが、発症時期により新生児期発症型、乳幼児期発症型、幼児期以降に発症し骨格筋症状を主体とする遅発型に分類されています。早期に発症するものほど重症と言えます。新生児マススクリーニングの対象疾患となっており、現在は多くが新生児期に診断されることになります。

2. この病気の患者さんはどのくらいいるのですか

新生児マススクリーニングのパイロット研究における発見率が約100〜200万人に1名で非常にまれな疾患です。

3. この病気はどのような人に多いのですか

特にどのような人に多いということはありません。もちろん常染色体劣性遺伝の疾患なので,一般に両親が近親婚の場合はリスクが上がります。兄弟に本症の方がいる場合は5で示すように1/4の確率で他の兄弟も疾患を持つ可能性があります。

4. この病気の原因はわかっているのですか

三頭酵素はα、βという2つのタンパクから構成されており、それぞれをコードしている2つの遺伝子HADA、HADBのどちらかに変異があることが原因となります。

5. この病気は遺伝するのですか

遺伝性の疾患で,特に三頭酵素はα、βという2つのタンパクから構成されており、3つの酵素活性をもちます。それぞれのタンパクをコードしている2つの遺伝子HADA、 HADBのどちらかに変異があることが原因となります。遺伝子は両親から受け継ぎますので、通常三頭酵素欠損症の患者さんの両親は変異を1つ持っており、両親は保因者と呼ばれます。保因者である両親から1/4の確率で患児が生まれます。

6. この病気ではどのような症状がおきますか

発症型で症状が異なりますので、それぞれについて記載します。
新生児期発症型
新生児期にけいれん、意識障害、呼吸障害、心不全などで突然発症し、著しい低血糖や高アンモニア血症などをきたし、乳児期早期で亡くなることが多い重症型です。
乳幼児期発症型
感染や空腹に伴い意識障害、痙攣、筋緊張低下、呼吸障害などとして発症し、低血糖症、高アンモニア血症、高乳酸血症、肝機能障害などを伴います。診断後も感染などに伴って筋症状を繰り返す事が多くなります。発作の後遺症として発達障害をきたすことも多いです。
遅発型
筋症状が主体の遅発型(骨格筋型)は、成人のみでなく幼児期から思春期に、筋痛、筋力低下で発症します。誘因として運動だけでなく、立ち作業や飢餓、精神的ストレスでも筋痛や筋力低下を起こします。

7. この病気にはどのような治療法がありますか

重篤な発作を防ぐことが重要です。根本的治療法はなく、食事間隔の指導、中鎖脂肪酸トリグリセリドの使用による食事療法が主体となります。

8. この病気はどういう経過をたどるのですか

新生児期発症型の場合、生命予後は厳しく診断されても助からない場合が多いと言われています。乳児期発症型では発作後遺症として発達障害をきたすことも多く、また心筋症の合併が報告されています。骨格筋型では、筋痛、筋力低下を来す筋症状の発作を反復するといわれています。末梢神経性の運動障害により歩行が難しくなることや、感覚障害や網膜障害による視力の問題などの合併症が報告されています。まだ長期的な経過については不明な点も多い疾患です。

9. この病気は日常生活でどのような注意が必要ですか

中鎖脂肪酸トリグリセリドなどの食事療法が本症において重要であることが示されています。成人においても食事を含めた生活の乱れにより病状が悪化することがあるので注意が必要です。

10. この病気に関する資料・関連リンク

日本先天代謝異常学会/新生児マススクリーニング対象疾患等診療ガイドライン


治験情報の検索:国立保健医療科学院
※外部のサイトに飛びます。
情報提供者
研究班名 先天代謝異常症の生涯にわたる診療支援を目指したガイドラインの作成・改訂および診療体制の整備に向けた調査研究班
研究班名簿   
新規掲載日平成29年7月24日