三頭酵素欠損症(指定難病317)

さんとうこうそけっそんしょう
 

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新生児マススクリーニングが正常であれば、この疾患ではないですか?

この疾患は新生児マススクリーニングの1次対象になっており、2014年以降に新生児マススクリーニングを受けた患者さんの多くは本検査で陽性になると考えられます。しかし、骨格筋症状を主体する遅発型(学童期〜成人期発症)のすべての患者さんが新生児期にマススクリーニングで異常となるかについては判っていない面もあります。よって、新生児マススクリーニングが正常だったからと言ってこの病気ではないとはいえません。もちろん2014年以前に旧新生児マススクリーニングを受けた方はこの疾患はスクリーニングされていないので、注意が必要です。

普通の生活ができますか?

新生児発症型や乳児期発症型では生命的な予後も実際厳しいと考えられていますが、本症と診断されても骨格筋型である可能性もあり、食事療法でかなり予後が改善される可能性もありますので、主治医の先生と協力して治療にあたってください。

骨格筋型の場合運動はどうしたら良いですか?

骨格筋の重要なエネルギー産生系である脂肪酸の代謝がうまくいかない疾患です。欧米においては運動の前に中鎖脂肪酸オイルを服用することで運動への耐性が上昇するという報告もありますが、強度の高い運動は避けるべきです。

合併症は有りますか?

乳児発症型など早期に発症するタイプでは、心筋症が1つの合併症として問題となります。骨格筋型であっても心筋症の合併には注意が必要と思われます。
末梢神経障害も本症の長期的な合併症として問題といわれています。末梢神経性の運動障害で歩行しにくくなったり、末梢感覚神経障害でしびれや異常感覚などの問題が起こります。これらに対してまだ確立された治療法は見つかっていません。同様に網膜症による視力障害や、副甲状腺機能低下症も合併することがあると言われています。

 

情報提供者
研究班名 新生児スクリーニング対象疾患等の先天代謝異常症の成人期にいたる診療体制構築と提供に関する研究班
研究班名簿 研究班ホームページ
情報更新日 令和4年3月(名簿更新:令和5年6月)