メニュー


HOME >> 病気の解説(一般利用者向け) >> 先天性気管狭窄症(指定難病330)

先天性気管狭窄症(指定難病330)

せんてんせいきかんきょうさくしょう

(概要、臨床調査個人票の一覧は、こちらにあります。)

1.先天性気管狭窄症とは

先天性気管狭窄症とは、生まれつき気管が細く、生まれてすぐもしくはカゼなどを引いて呼吸困難に陥る重症の病気です。多くの場合、気管の膜様部と呼ばれる筋肉の部分が欠如して、気管内腔を保っている軟骨の部分が完全にリング状になっていることがほとんどです。この部分は成長できないため、体の成長に伴って症状が悪化することがあります。狭窄部は短いことも、気管の全長に及ぶこともあり様々です。そのため、狭窄部の長さに応じて症状の出方が異なり治療方法も様々です。

2.この病気の患者さんはどのくらいいるのですか

30,000〜50,000人の出生に対して1人くらいといわれています。わが国では年間に20〜30人が発生しています。

3.この病気はどのような人に多いのですか

生まれてすぐから発症するひとが1/3くらい、乳幼児期に見つかるひとが1/3くらい、あとは他の病気で手術の際などに見つかるひとが1/3くらいです。先天性の心疾患のひとに合併すること多いです。ダウン症などの染色体異常に合併することがあります。

4.この病気の原因はわかっているのですか

いまだ原因は不明です。気管の発生の異常で、気管軟骨の形成異常と考えられています。

5.この病気は遺伝するのですか

大多数の例では遺伝することはありません。特定の遺伝子が関与しているのではないかと研究されています。

6.この病気ではどのような症状がおきますか

新生児期に発症する場合の主な症状は、呼吸困難です。生まれた直後から高度の呼吸不全や循環不全を生じ、チアノーゼ、徐脈、無呼吸などを起こして蘇生処置を必要とします。このような症例の中には、蘇生処置を施しても短時間で死亡したり、人工呼吸管理中に死亡してしまう例もあります。生まれつき気管が細くても、最初は呼吸症状がなく、あとからカゼなどを引いて気道の粘膜が腫れることから呼吸困難を生じるような例もあます。このような場合は新生児期を無症状で過ごし、乳児期以降に発症することがあります。ときには症状が全くなく、レントゲン検査などで偶然発見される軽症例もあります。

7.この病気にはどのような治療法がありますか

軽症例ではお薬や吸入療法などで経過をみる場合がありますが、ほとんどの症例では外科治療が必要となります。細い部分が短ければその部分を切除して正常の太さの気管どうしをつなぐことができますが、多くの場合は何らかの形成手術が必要となります。場合によっては気管切開が必要となることがあります。

8.この病気はどういう経過をたどるのですか

この病気では、初発時の重症度によってその後の経過が大きく違ってきますので、症例ごとに担当の先生から詳しくお話しを聞かれることをお勧めします。出生時に高度な狭窄を伴ったり、複雑心奇形を合併したような最も重症な例では、出生後短時間で死亡したり、たとえ手術ができても数週間から数ヶ月で死亡することがあります。しかし、治療法の進歩によってこの病気の最近の救命率は改善しており、2011年に行われたわが国の全国調査では、約4分の3の患者さんが生存しています。複雑心奇形などの重篤な先天奇形や、重症染色体異常を合併していない先天性気管狭窄例に限れば、約85%の患者さんが生存退院しています。新生児期を過ぎて発症する症例では、気道感染により症状が悪化し、場合によっては窒息症状で見つかることもあります。
退院までに要する期間は、病気の重症度によってかなり異なり、手術後2〜3週間で退院できる軽症例から、退院までに1年以上かかる重症例まで大きな差があります。また、手術で気管を形成しても、再狭窄や肉芽形成が起きることもあります。軽症例では、手術後は後遺症や障害を残さず、長期的にも良好な経過をたどりますが、かろうじて救命されたような重症例では、長期にわたってさまざまな後遺症や障害に悩むことも多いことが分かっています。長期間にわたる後遺症や合併症として、くり返す呼吸器感染、慢性肺機能障害、慢性肺高血圧症、胃食道逆流症、逆流性食道炎、栄養障害に伴う成長障害、精神運動発達遅延、聴力障害、漏斗胸、脊椎側弯などが知られています。

9.この病気は日常生活でどのような注意が必要ですか

重症例では多かれ少なかれ肺や気管支の形成異常、先天性心疾患を伴っています。幼少期にひとたび呼吸器感染を起こすと重症化しやすいため、呼吸器感染には十分な注意が必要です。日常生活でどの程度制限が必要かは、気管狭窄の程度と後遺症や合併症の程度によります。そのため、この病気については手術後も一定の期間、定期的にフォローアップを受けて、これら後遺症や合併症の治療を継続することがとても大切です。


治験情報の検索:国立保健医療科学院
※外部のサイトに飛びます。
情報提供者
研究班名 先天性呼吸器・胸郭形成異常疾患に関する診療ガイドライン作成ならびに診療体制の構築・普及に関する研究班
研究班名簿   
新規掲載日平成29年5月26日