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メチルマロン酸血症(指定難病246)

めちるまろんさんけっしょう

(概要、臨床調査個人票の一覧は、こちらにあります。)

1. 「メチルマロン酸血症」とはどのような病気ですか

生まれつき代謝酵素の異常があり、体内に有機酸(この病気の場合はメチルマロン酸)という毒性のある酸がたまり、種々の臓器に障害をきたす病気です。生まれてすぐに命に関わる激しい症状を示す患者様から軽度の症状のみの患者様まで様々ですが、どのくらい酵素の力が残っているのか(残存酵素活性といわれます)によって、症状や病気の程度が異なります。

2. この病気の患者さんはどのくらいいるのですか

新生児マス・スクリーニング検査(生まれて5日目前後で行うスクリーニング検査)の国内統計からは、約12万人に1名の割合と報告されています。症状を示す患者様の割合は、有機酸血症のなかで一番多いとされています。国内には約300名の患者様がいると推定されています。現在、先天代謝異常症患者登録制度(JaSMln & MC-Bank)が作られて情報が集められています。

3. この病気はどのような人に多いのですか

日本人の特定の人に多いという報告はありません。生まれて数日以内に発症する重症のお子さんや成長障害・繰り返す嘔吐などの症状で後から見つかる比較的緩やかな経過のお子さんもいます。新生児マス・スクリーニング検査の対象とされています。

4. この病気の原因はわかっているのですか

メチルマロン酸は、4種類のアミノ酸(バリン、イソロイシン、スレオニン、メチオニン)の代謝、コレステロールの代謝、そして(奇数鎖)脂肪酸の代謝に関わっているメチルマロニルCoAムターゼという酵素の異常のために体内にメチルマロン酸が蓄積する病気です。この酵素の異常は、酵素自体の働きが生まれつき弱い場合と酵素の働きを補助している(補酵素といわれています)コバラミン(ビタミンB12)の代謝異常が原因の場合の2つに大きく分類されています。

5. この病気は遺伝するのですか

遺伝子は、両親から1本ずつ受け継ぐ(父から1本、母から1本の計2本)ことが知られています。ご両親ともに健康ですが、お父様もお母様も1本ずつ病気の原因となる遺伝子を持っていると考えられます(もう1本は病気の遺伝子がないためご両親は病気になりません)。生まれたお子さんが、2本とも病気の原因遺伝子を受け継いだ場合に病気となるのです。計算上は25%(4人のお子さんのうち1人が病気になるという確率)というのが通常の確率です。しかし、そのお子さんだけに遺伝子変異が突然起きることもあって、その場合はご家族には遺伝しません。

6. この病気ではどのような症状がおきますか

重症のお子さんでは、生まれて数日以内に哺乳ができなくなり、激しい嘔吐、体に力が入らず、呼吸も弱くなり、集中治療室へ入院します。一旦回復された場合でも、風邪を引くたびに病状が増悪します。軽症のお子様でも繰り返す嘔吐や発達の遅れなどが起こる場合があります。患者会を中心としたアンケート調査では、低体温、嘔吐、経口摂取ができない、視力の低下、頑固な皮膚炎、痙攣など様々な症状が報告されています。これは、メチルマロン酸の毒が全身の臓器に悪影響を与えているためと考えられます。

7. この病気にはどのような治療法がありますか

原因により異なります。原因の項目で述べましたが、コバラミン(ビタミンB12)はこの酵素を助ける役割をしているため、コバラミンが特効薬となるタイプが知られています。しかし、ビタミンB12が効果を示さない場合は、現時点で原因となる酵素の異常を回復させる治療法はなく、対症療法が主となります。重症の場合は、たんぱく質摂取を中止し、高カロリー(ブドウ糖)、酸を補正するためにアルカリ溶液の点滴を行います。アンモニアという毒性物質が上昇する場合があり、この場合はアンモニアの解毒剤が投与されます。また、カルニチンというメチルマロン酸と結合して排泄に用いられる薬剤を投与します。これでも改善が乏しい場合は、血液透析が行われます。一旦回復された場合、栄養を十分投与するために夜間は経鼻チューブ(もしくは胃に直接穴をあけた胃瘻チューブ)という胃にいれた管から専用の栄養剤を数時間かけて点滴のように補給します。先に述べたカルニチンやビタミン剤も投与されます。これ以外にも投与される薬(抗痙攣剤、抗生剤など)がありますが、もっと専門的な情報をお知りになりたい方は、HP(http://jsimd.net/pdf/guideline/07_jsimd-Guideline_draft.pdf)をご参照ください。

8. この病気はどういう経過をたどるのですか

新生児期に発症した患者様は、風邪症状のたびにメチルマロン酸が蓄積して発作を起こします。これを繰り返すことで、徐々に臓器が障害され、命にかかわる場合も珍しくありません。このようなお子様に対して、生体肝臓移植が行われています。生体肝臓移植の患者様は、風邪を引いても発作を起こしにくくなり、入院回数も少なくなることが報告されています。しかし、肝臓移植後もゆっくりと神経の障害と腎臓の障害が進むことが問題となっていて、新たな治療法の開発が研究者を中心に行われております。

9. この病気は日常生活でどのような注意が必要ですか

発作の原因としては、発熱(風邪に伴う)、長時間栄養を与えないこと(忙しくて栄養の時間がずれることなど)が挙げられています。生体内で“異化”という状態が起こることがこの病気に非常によくないことが分かっていまして、風邪、栄養不足は、いずれもエネルギーが不足するために自分の体のたくわえを分解してエネルギーに変える(これを異化といいます)際に、大量のメチルマロン酸が発生することが知られています。このような状態をできる限り避けることが重要と考えられています。風邪の予防には、ご家族の手洗い、うがい、ご兄弟の予防接種など家族の健康管理も重要になります。また、家族会のアンケート調査からは、冬場の低体温、夏場の高体温、睡眠不足、激しい運動なども体調不良の原因として報告されており、各患者様に特徴的な注意すべき症状もあることが報告されています。

10. この病気に関する資料・関連リンク

日本先天代謝異常学会HP
http://jsimd.net/guideline.html
 
特殊ミルク情報「タンデムマス導入に伴う新しいスクリーニング対象疾患の知慮指針」
http://www.boshiaiikukai.jp/img/milk/tandemumasu_houkoku.pdf
 
有機酸・脂肪酸代謝異常症の患者会「ひだまりたんぽぽ」の会
http://pa-mma.web5.jp/
 
先天代謝異常症患者登録制度JaSMIn & MC-Bank
http://jasmin-mcbank.com/


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情報提供者
研究班名 新しい先天代謝異常症スクリーニング時代に適応した治療ガイドラインの作成および生涯にわたる診療体制の確立に向けた調査研究
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新規掲載日平成28年1月12日