メチルマロン酸血症(指定難病246)

めちるまろんさんけっしょう

(概要、臨床調査個人票の一覧は、こちらにあります。)

どんな病気なのですか?もっとわかりやすく説明してください。

食事などに含まれるタンパク質や一部の脂肪酸を体で分解する途中で作られるメチルマロン酸がうまく分解できずに、体にたまる病気です。メチルマロン酸は体にとって有害ですので、メチルマロン酸がたまらないようにする治療がなされます。タンパク質の分解で作られるため、タンパク質を制限したり、解毒作用のある薬を使用したり、点滴をしたり、あるいは作られた酸を除去するために透析を行う場合があります。

日常生活ではどのような点に注意したらよいですか?

カロリーを十分摂取することが、病気を抑制する上で重要です。注入をされているかとおもいますが、嘔吐することが多く、心配されるとおもいます。嘔吐だけで、機嫌もよく体温も安定していれば経過をみてよいことが多いです。しかし、嘔吐の回数が急に増加している、風症状がある、熱がある、活気がない、あるいは逆に低体温になっている、などの症状があれば、一度、主治医の先生に相談してください。

病気は遺伝しますか?次の子供が生まれる前に診断ができますか?

メチルマロン酸血症の原因は、メチルマロン酸を代謝している酵素の働きが悪いためにおこっており、この酵素の異常は遺伝子の不具合により起こっています。遺伝の形式としては、常染色体潜性遺伝(劣性遺伝)(じょうせんしょくたいせんせいいでん(れっせいいでん))という形式で、遺伝の確立は25%(4名に1名)とされています。次のお子様がご病気かどうか、ご心配なこととおもいます。現在は、羊水中のメチルマロン酸を測定する方法と遺伝子を調べる方法があり、出生前に診断をある程度正確にすることができます。担当の先生にご相談してみてください。

肝臓移植を勧められていますが、悩んでいます。

肝臓移植については、医学会でもまだ結論がでていません。国内の報告では、移植後には嘔吐がなくなる、経口摂取が可能になる、発作がほとんど起こらなくなる、通院が少なくなる、発育発達が改善する、などの効果が報告されています。しかし、食事制限や内服は移植前と同じように続けなくてはならず、また、長い経過で腎臓が悪くなる方も報告されており、結論がでるにはまだ時間がかかりそうです。お子様の今の状態を総合的に判断する必要があります。主治医の先生あるいは移植をたくさんしている施設へご相談されてはどうかと思います。患者会があり、こちらに相談をされてもよいかも知れません。

成人になっても治療はつづくのでしょうか?注意することはありますか?

現時点では、根本的な治療はなく、生涯治療を継続する必要があります。肝臓移植を実施された患者様を中心に、成人になられる方が少なからず増えてきております。肝臓移植後にタンパク制限を中止した方が発作を起こされた報告があり、タンパク制限は継続したほうがよいでしょう。飲酒は、望ましくありません。運動は適度によいですが、過度な運動は避けましょう。女性の場合、お産をされた報告がありますが、お産を契機に代謝不全を起こした報告もあり、事前に慎重に対応するほうがよいでしょう。また、腎機能が悪くなることがあります。定期的に検査をうけましょう。

情報提供者
研究班名新生児スクリーニング対象疾患等の先天代謝異常症の成人期にいたる診療体制構築と提供に関する研究班
研究班名簿 研究班ホームページ
情報更新日令和5年1月(名簿更新:令和5年6月)