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アラジール症候群(指定難病297)

あらじーるしょうこうぐん

(概要、臨床調査個人票の一覧は、こちらにあります。)

1. 「アラジール症候群」とはどういう病気ですか?

アラジール症候群は、生まれつき肝臓や心臓などさまざまな臓器に合併症を有する先天性疾患です。5つの主な症候によって診断されます。肝臓、心臓や血管、眼、椎骨、特徴的な顔の5つですが、すべての症状が必ずしもそろうわけではありません。知識の普及や原因遺伝子の発見によって、最近は軽症な患者さんが診断される場合も増えていると思われます。

2. この病気の患者さんはどのくらいいるのですか?

わが国での全国調査では200~300人と推定されています。世界的には30,000~70,000人に1人といわれています。症状には幅があり、軽い症状の方や未診断の方もたくさんいると思われますのでもっと多い可能性はあります。

3. この病気はどのような人に多いのですか?

性差や地域差は特にありません。生まれつきの病気であり、アラジール症候群患者さんをご家族にもたれる方の場合、発症の可能性が高くなります。日常生活に支障をきたさない軽症の方から手術を必要とする重症の方まで、症状には大きな幅があります。

4. この病気の原因はどのくらいわかっているのですか?

20番染色体に存在するJAG1という遺伝子の変異が知られています。また、少数では1番染色体に存在するNOTCH2という染色体の変異によるとされています。これらは臓器の発生過程において何らかの影響を及ぼすと考えられています。しかし、アラジール症候群の特徴を満たす方の全員にこれらの変異がみつかるわけではありません。また、これらの変異があっても、軽症で不自由なく生活されている方もいらっしゃいます。

5. この病気は遺伝するのですか?

ご両親から受け継いだ遺伝子変異で発症することが多いとされます。ご本人のご両親のどちらかが保因者である場合、遺伝子変異を受け継ぐ可能性は1/2であるため、ごきょうだいや次子は1/2の確率で遺伝子変異の保因者もしくはアラジール症候群である可能性があります。しかし、前述の通り、遺伝子変異があっても軽症や無症状(保因者)の方もいらっしゃいます。ご本人のお子さんは1/2の確率でアラジール症候群もしくは保因者になります。

6. この病気ではどのような症状がおきますか?

多彩な症状が知られています。症状も軽症から重症まで幅広くみられます。出生後早い時期に黄疸で気付かれるケースが多いです。黄疸は胆汁の流れが滞る胆汁うっ滞で起こります。心雑音など心臓の病気で気付かれることもあります。その他、胆汁うっ滞に伴う痒みやビタミン吸収の障害による出血や骨折などがあります。胆汁うっ滞がある場合は、脳出血を起こす前に治療を行う必要があります。特徴的な顔つきが目立ってくるのは幼児期に入ってからです。腎臓病やもやもや病など血管の病気で気付かれるケースもありますがまれです。発達の遅れや成長障害を認めることがあります。

7. この病気にはどのような治療法がありますか?

胆汁うっ滞がある場合、最も気を付けなければならないのは脂溶性ビタミンの吸収が悪くなり、いろいろな問題が起こることです。特にビタミンKが不足すると出血しやすくなり、最悪の場合は脳出血を起こし生命の危険や後遺症が残るため、ビタミンKを内服、急ぐ場合は点滴から注射します。そのほかの脂溶性ビタミンも中長期的には重要ですので内服します。胆汁の流れを促す利胆剤や、胆汁うっ滞による痒みを軽減する薬を内服します。胆汁がないと脂質の吸収が悪いため、成長のために特殊なミルク(中鎖脂肪酸の豊富なミルク)を使用することもあります。胆汁うっ滞が続いて肝硬変になってしまった場合は、肝移植が行われることがあります。また、著しい痒み、成長障害、骨折の反復などQOLが著しい低下がみられた場合にも肝移植が行われることがあります。そのほか、胆汁のスムーズな流れを促す部分胆汁瘻という外科手術も試みられ、良好な成績が報告されてきています。重症の心臓病がみられる場合には、カテーテルによる治療や外科手術が必要になることもあります。重症の腎臓病がみられる場合には、透析や腎移植などが必要になる可能性があります。

8. この病気はどういう経過をたどるのですか?

症状には大きな個人差があり、経過はさまざまです。生命やQOLにかかわるものとして、肝臓(胆汁うっ滞)、心臓病、腎臓病、もやもや病など脳血管病変があります。胆汁うっ滞は1歳ごろまでに軽快することが多いですが、約1/3の患者さんは肝硬変に進行し、その半数は成人に達するまでに肝移植が必要になります。まれに肝細胞癌を認めることがあり、落ち着いていても定期的な受診が必要です。心臓病の経過もさまざまで、本人の状態により適切なタイミングでカテーテル治療や外科手術を行う必要があります。肝移植や心臓の手術で救命が可能になっており、わが国では多くありませんが、北米では脳血管病変による頭蓋内出血が死因の最多を占めています。MRIなどによる検索を行うことがあります。腎臓病も個人差がありますが、特に腎奇形の患者さんで腎不全に進行し、腎移植を必要とする場合もあります。妊娠については、不妊や流産が多いとされていますが、最近では妊娠分娩に成功したという報告もみられます。

9. この病気は日常生活でどのような注意が必要ですか?

乳児期には、体重の増加がきちんとみられるか、発達が順調かどうかを確認することが重要です。病態にあわせて、食事内容や水分・塩分に気をつける必要があります。心臓病がある場合には運動制限をすることもあります。成人後は、肝臓に負担となるアルコールの過度な摂取は控えることが望ましいです。また、動脈硬化の原因となる喫煙も避けたほうがいいでしょう。症状は個人差が大きく、重症度や時期によっても対応が変わってきますので、主治医の説明をよく聞き指示を受けてください。

関連ホームページのご紹介

乳児黄疸ネット
http://www.jspghan.org/icterus/01/1-2-3.html
(日本小児栄養消化器肝臓病学会ウェブサイト内)


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情報提供者
研究班名 小児期発症の希少難治性肝胆膵疾患の移行期を包含し診療の質の向上に関する研究班
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新規掲載日平成27年12月28日