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α1-アンチトリプシン欠乏症(指定難病231)

あるふぁー1あんちとりぷしんけつぼうしょう

(概要、臨床調査個人票の一覧は、こちらにあります。)

1. 「α1-アンチトリプシン欠乏症」とはどのような病気ですか

タンパク質分解酵素を阻害する作用をもつ血中のα1-アンチトリプシン(AAT)が欠乏することによって、若年性に肺気腫(肺胞の破壊)を生じ、労作時呼吸困難や咳・痰といった症状をきたすCOPD(Chronic Obstructive Pulmonary Disease:慢性閉塞性肺疾患)を発症する疾患です。気管支拡張症、肝臓の障害、蜂窩織炎などを発症する場合もあります。

2. この病気の患者さんはどのくらいいるのですか

AAT欠乏症(AATD)の患者さんは、欧米では約5,000人に1人の頻度とされていますが、日本での有病率は著しく低く、呼吸不全に関する調査研究班と日本呼吸器学会が共同で行った全国疫学調査では、1,000万人あたり2.03 – 2.08人でした。

3. この病気はどのような人に多いのですか

45歳未満の若年者でCOPDを発症している場合、職業性の曝露のない非喫煙者で肺気腫を認める場合、COPDや原因不明の肝硬変の家族歴がある場合、皮下脂肪織炎の患者、黄疸または肝酵素の上昇がある新生児、原因不明の肝疾患を有する場合などが本症を疑う方です。

4. この病気の原因はわかっているのですか

遺伝的素因によって、血中のAATが欠乏することが原因とされています。AATが減少すると、タンパク質分解酵素の働きが優位になり、エラスターゼを主としたタンパク質分解酵素により肺胞を構成する主要な結合組織であるエラスチンが破壊されて、肺気腫病変の形成に至りうると考えられています。

5. この病気は遺伝するのですか

常染色体劣性遺伝する疾患と言われています。原因遺伝子の変異の仕方によっても血中のAAT欠乏の程度が異なると報告されていますが、発症者の多くは喫煙者であり、喫煙も病状に強く関係していると考えられています。

6. この病気ではどのような症状がおきますか

労作時呼吸困難、慢性の咳嗽・喀痰が主な症状です。進行すると肺機能の低下から酸素療法を要することもあります。

7. この病気にはどのような治療法がありますか

タバコ煙や有害粒子の吸入曝露をしないことが重要です。COPDを発症している場合には、インフルエンザワクチン接種など感染予防、運動療法や栄養療法を行いつつ、病気の程度によって、気管支拡張剤を中心とした薬物療法、酸素療法、補助換気療法、外科療法などを選択することになります。重症例では、肺移植も選択肢の一つになることもあります。
海外ではAATDに対してAAT補充療法が行われ、気腫病変の進行が抑制される効果が報告されていますが、わが国ではAAT製剤は未承認薬であり、本症に特異的な治療薬として承認されることが望まれています。

8. この病気はどういう経過をたどるのですか

肺気腫が進行すると、肺機能の低下をきたし、労作時呼吸困難など症状の増強、やがて低酸素血症から酸素療法を要するまでに至ることがあります。一般的には進行が早く、呼吸不全が死因になる可能性が高いとされています。しかし、日本では患者数が少ないこともあり、日本人AATD患者の臨床像や予後についてはよくわかっていないのが現状です。

9. この病気は日常生活でどのような注意が必要ですか

喫煙・受動喫煙など有害粒子の吸入曝露を避け、特にCOPDを発症している場合には、感冒などの感染予防に努めることが必要です。筋肉が衰えぬ様、身体活動性を維持するために運動療法や栄養管理も大切です。


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情報提供者
研究班名 呼吸不全に関する調査研究班
研究班名簿   
新規掲載日平成27年10月13日