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筋型糖原病(指定難病256)

きんがたとうげんびょう

(概要、臨床調査個人票の一覧は、こちらにあります。)

1. 「筋型糖原病」はどのような病気ですか。

糖原病の「糖原」とはグリコーゲンのことです。グリコーゲンはグルコース(ぶどう糖)がつながって枝分かれしたもので、肝臓、骨格筋、腎臓、心筋などに蓄えられます。そして必要なときに酵素の働きで分解されます。グリコーゲンが合成、分解される経路が先天性に障害されて発症する疾患を糖原病といい、筋症状が表れる糖原病を筋型糖原病といいます。骨格筋に蓄えられたグリコーゲンは分解されてエネルギー(ATP)を産生しますので、筋型糖原病では、筋肉の収縮に必要なエネルギーが産生できないために、運動時の筋痛、筋けいれんが起きます。また、分解されない基質が組織に蓄積することにより、筋力低下が生じる筋型糖原病もあります。
筋型糖原病には、糖原病0b型、II型糖原病(リソゾーム病に含まれる)、III型糖原病、IV型糖原病、V型糖原病(マッカードル病),VII型糖原病(垂井病)、IX型糖原病(ホスホリラーゼキナーゼ欠損症)、ホスホグリセリンキナーゼ(PGK)欠損症、筋ホスホグリセリンキナーゼ(PGM)欠損症、乳酸デヒドロゲナーゼAサブユニット(LDH-Aサブユニット)欠損症、アルドラーゼA欠損症、β-エノラーゼ欠損症などがあります。
V型糖原病,VII型糖原病などではグリコーゲンの分解によるATPの産生が不足することにより、運動に誘発され筋症状が生じます。また、III型糖原病、IV型糖原病などでは分解されない基質が筋肉に蓄積することにより筋力低下がおこります。

2. この病気の患者さんはどのくらいいるのですか?

アメリカ合衆国の統計で、V型糖原病は10万人に1人という報告があります。日本人の患者さんの正確な人数は判明していませんが、それぞれの筋型糖原病の患者さんは10万人から80万人に1人と推測されます。

3. この病気はどのような人に多いのですか?

筋型糖原病のうち、PGK欠損症とIX型糖原病の うちIXd型に分類される糖原病は、男性におこる遺伝性の病気ですが、その他の筋型糖原病は、男女の差なくおこります。また幅広い年齢層で病気が起こります。

4. この病気の原因はどのくらいわかっているのですか?

筋肉のグリコーゲンの合成と分解には14種類以上の酵素が働いています。それぞれの酵素の働きが、遺伝子の変化に由来して低下した場合に筋型糖原病がおこります。
V型糖原病は、筋ホスホリラーゼという酵素の活性が低下するためにおこり、酵素の活性の低下は、11番染色体上のPYGM遺伝子に変化が起きることによります。また、PGK欠損症は、ホスホグリセリンキナーゼという酵素の活性の低下が、X染色体上のPGK1遺伝子に変化が起きることでおこります。このようにそれぞれの筋型糖原病で活性が低下する酵素と、その原因として変化が起きる遺伝子がわかっています。
また、糖原病V型の約50%で特有の好発変異が認められています。

5. この病気は遺伝するのですか?

筋型糖原病のうち、PGK欠損症とIX型糖原病のうちIXd型に分類される糖原病は、X連鎖性劣性遺伝という遺伝形式で遺伝します。その他の 筋型糖原病の大部分はは、常染色体劣性遺伝形式という遺伝形式で遺伝します。

6. この病気ではどのような症状がおきますか?

運動誘発性の筋症状(運動時の筋痛や有痛性筋けいれん、運動時の易疲労感、筋力低下、横紋筋融解症、ミオグロビン尿)や筋力低下が起こります。そのために、日常の生活に支障をきたすことがよくあります。横紋筋融解症では大量のミオグロビンが筋細胞から逸脱し、褐色の尿(ミオグロビン尿)が見られます。腎尿細管障害、腎血流障害を起こし、腎不全を来たすこともあります。
運動誘発性に筋症状が主な症状である筋型糖原病には、V型、VII型、IXd型、PGK欠損症、PGM欠損症、LDH-Aサブユニット欠損症、β-エノラーゼ欠損症があります。V型では運動により、筋痛や有痛性筋けいれんが生じるのですが、運動を続けるうちに、突然その症状が軽快し再び運動の持続が可能となる“セカンドウィンド現象”を高率に認めます。VII型では溶血を、PGK欠損症では溶血、精神遅滞を伴うことがあります。
持続し進行する筋力低下が主な症状である筋型糖原病には、III型 (IIIa型, IIId型)、IV型 、アルドラーゼA欠損症があります。III型では肝腫大や低血糖がありますが、成人では改善していることがあります。III型では心筋症や心不全がおきる場合があります。IV型では、新生児期に重症の呼吸障害や筋緊張の低下がみられる重症型や、幼児期に筋力の低下や肝機能の異常が見られる筋肝型があります。

7. この病気にはどのような検査法がありますか?

運動を負荷した上で血液中の乳酸の変化をみる(非)阻血下前腕運動負荷試験がよく行われます。筋組織化学も行われます。
診断を確定するためには、解糖系酵素の活性低下を証明するか、遺伝子の解析を行い、病気の原因となる遺伝子の変化を見出します。

8. この病気にはどのような治療法がありますか?

現状では根本的な治療法はありませんが、V型(マッカードル病)ではビタミンB6の投与が行われています。
横紋筋融解症が起こったときには、腎機能障害が起きる場合がありますので、点滴などの治療を行います。血液透析が必要になる場合もあります。
心筋症を合併するIIIa型では心筋症の薬物療法などを行います。

9. この病気はどういう経過をたどるのですか?

運動に誘発される筋症状により、日常生活に支障をきたすことが多く見られます。筋力低下、筋萎縮が進行することがあります。心筋症を合併するIIIa型では、心不全を合併することがあります。

10. この病気は日常生活でどのような注意が必要ですか?

筋症状の予防の基本は、強い運動を避けることです。特に重量挙げなど筋肉が強く収縮するような運動をさけることが大切です。

関連ホームページのご紹介

「全国ポンぺ病患者と家族の会」
http://pompe-family.com/index.php
 
糖原病の会(米国)
「Association for glycogen storage disease」
http://www.agsdus.org/
 
糖原病の会(英国)
「The association for glycogen storage disease in UK」
https://www.agsd.org.uk/


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研究班名 先天代謝異常症の生涯にわたる診療支援を目指したガイドラインの作成・改訂および診療体制の整備に向けた調査研究班
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新規掲載日平成27年10月13日