高チロシン血症2型(指定難病242)

こうちろしんけっしょう2がた
 

(概要、臨床調査個人票の一覧は、こちらにあります。)

1. 「高チロシン血症II型」とはどのような病気ですか

細胞質チロシンアミノ基転移 酵素 という酵素の異常により、アミノ酸の一つであるチロシンを代謝する過程が障害されて、血中チロシンが増加します。血中チロシン値が高く、I型のような肝・腎障害はみられません。チロシンの針状結晶が析出することによって、手掌・足底の皮膚が角化して固くなり、びらんをおこします。

2. この病気の患者さんはどのくらいいるのですか

わが国での報告では数年に1人の発症です。2023年9月の時点で、先天代謝異常症患者登録制度(JaSMIn)には、1名の患者さんが登録されています。

3. この病気はどのような人に多いのですか

とくにありません。

4. この病気の原因はわかっているのですか

細胞質チロシンアミノ基転移酵素という酵素の異常により、アミノ酸の一つであるチロシンを代謝する過程が障害されて、血中チロシンが増加します。

5. この病気は遺伝するのですか

常染色体潜性遺伝(劣性遺伝) 形式で遺伝します。

6. この病気ではどのような症状がおきますか

手掌・足底の皮膚が角化して固くなり、びらんをおこします。目の角膜でも、びらん・潰瘍がおこります。血中チロシン濃度が特に高い場合には知的な遅れを認めることがあります。

7. この病気にはどのような治療法がありますか

低フェニルアラニン・低チロシン食をおこない、血液中のチロシン値を下げます。血中チロシン値を500μmol/L以下に保つことが目標です。

8. この病気はどういう経過をたどるのですか

血中チロシン値が低下して、皮膚や角膜の角化やびらんが進まなければ、日常生活での困難は少ないと考えられます。しかし、食事治療を行ってもチロシン値は低下しないこともあります。臓器障害などを起こすことはほとんどありません。

9. この病気は日常生活でどのような注意が必要ですか

食事療法(低フェニルアラニン・低チロシン食)が必要です。

10. 次の病名はこの病気の別名又はこの病気に含まれる、あるいは深く関連する病名です。 ただし、これらの病気(病名)であっても医療費助成の対象とならないこともありますので、主治医に相談してください。

該当する病名はありません。

11. この病気に関する資料・関連リンク

先天代謝異常症患者登録制度JaSMIn & MC-Bank
https://www.jasmin-mcbank.com/

 

情報提供者
研究班名 新生児スクリーニング対象疾患等の先天代謝異常症の成人期にいたる診療体制構築と提供に関する研究班
研究班名簿 研究班ホームページ
情報更新日 令和5年12月(名簿更新:令和5年6月)