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有馬症候群(指定難病177)

ありましょうこうぐん

(概要、臨床調査個人票の一覧は、こちらにあります。)

○ 概要
 
1.概要
有馬症候群は、1971年に有馬正高により報告された疾患で、乳児期早期より重度精神運動発達遅滞、先天性視覚障害、嚢胞腎(ネフロン癆)、眼瞼下垂、小脳虫部欠損、下部脳幹形成異常を呈し、腎透析などを行わないと小児期までに死亡する常染色体劣性遺伝性疾患である。
 
2.原因
 CEP290遺伝子の特定の変異が主な原因であるが、その発症病態は不明である。
 
3.症状
乳児期早期より精神運動発達遅滞、網膜欠損、嚢胞腎(ネフロン癆)、眼瞼下垂、小脳虫部欠損、下部脳幹形成異常を呈し、未治療の際には腎障害のため小児期までに死亡する。また合併症として、感染症、誤嚥性肺炎などがあり、日常的に注意が必要である。
 
4.治療法
現在のところ根本的治療法はない。従って、治療は対症療法のみであり、理学療法・言語聴覚療法等を中心とした療育が重要である。
 
5.予後
未治療の場合には、腎不全のため小児期までに死亡する。腎透析や腎移植により、成人中年期の報告がある。
 
 
 
○ 要件の判定に必要な事項
1.  患者数
100人未満
2.  発病の機構
不明(遺伝子異常による。)
3.  効果的な治療方法
未確立(対症療法のみである。)
4.  長期の療養
必要(進行性である。)
5.  診断基準
あり(研究班作成の診断基準あり。)
6.  重症度分類
①~③のいずれかに該当する者を対象とする。
①modified Rankin Scale(mRS)、食事・栄養、呼吸のそれぞれの評価スケールを用いて、いずれかが3以上。
②腎障害:CKD重症度分類ヒートマップが赤の部分の場合。
③視覚障害:良好な方の眼の矯正視力が0.3未満の場合。
 
○ 情報提供元
「有馬症候群の疫学調査および診断基準の作成と病態解明に関する研究」
研究代表者 国立精神・神経医療研究センター 室長 伊藤雅之
 
 
<診断基準>
Definite、Probableを対象とする。
 
有馬症候群の診断基準
 
A.主要症状  
①重度の精神運動発達遅滞
②小脳虫部欠損・低形成(脳幹部の形態異常を伴うことがある。)
③乳幼児期から思春期に生ずる進行性腎機能障害
④病初期からみられる視覚障害(網膜部分欠損などを伴うことあり。)
⑤片側あるいは両側性の眼瞼下垂様顔貌(症状の変動があることがある。)               

B.参考所見
1.臨床所見
①顔貌の特徴:眼瞼下垂、眼窩間解離、鼻根扁平、大きな口。
②病初期から脱水、成長障害、不明熱をみることがある。
2.検査所見
①血液検査:貧血、高BUN、高クレアチニン血症
②尿検査:低浸透圧尿、高β2マイクログロブリン尿、NAG尿
③網膜電位(ERG)検査:反応消失又は著減
④頭部CT、MRI検査:小脳虫部欠損・低形成、脳幹低形成
⑤腎CT、MRI、超音波検査:多発性腎嚢胞
⑥腎生検:ネフロン癆
⑦腹部エコー検査:脂肪肝、肝腫大、肝硬変などの肝障害
 
C.鑑別診断
以下の疾患を鑑別する。
ジュベール症候群、セニオール・ローケン症候群、COACH症候群。
 
D.遺伝学的検査
繊毛に関する24遺伝子(INPP5E , TMEM216, AHI1, NPHP1, CEP290, TMEM67, RPGRIP1L, ARL13B, CC2D2A, CXORF5, TTC21B, KIF7, TCTN1, TMEM237, CEP41, TMEM138, C5ORF42, TCTN3, ZNF423, TMEM231, EXOC8, NPHP4, IQCB1, SDCCAG8)が知られている。
 
<診断のカテゴリー>
Definite:Aのうち5項目全てを満たし、Cを除外したもの。
Probable:Aのうち①と②+Bのうち臨床症状①+検査所見4項目以上を満たし、Cを除外したもの。
 
<重症度分類>
以下①~③のいずれかに該当する者を対象とする。
①modified Rankin Scale(mRS)、食事・栄養、呼吸のそれぞれの評価スケールを用いて、いずれかが3以上。
②腎障害:CKD重症度分類ヒートマップが赤の部分の場合。
③視覚障害:良好な方の眼の矯正視力が0.3未満の場合。
 
①modified Rankin Scale(mRS)、食事・栄養、呼吸のそれぞれの評価スケールを用いて、いずれかが3以上を対象とする。
 

 

日本版modified Rankin Scale (mRS) 判定基準書

modified Rankin Scale

参考にすべき点

まったく症候がない

自覚症状及び他覚徴候がともにない状態である

症候はあっても明らかな障害はない:
日常の勤めや活動は行える

自覚症状及び他覚徴候はあるが、発症以前から行っていた仕事や活動に制限はない状態である

軽度の障害:
発症以前の活動が全て行えるわけではないが、自分の身の回りのことは介助なしに行える

発症以前から行っていた仕事や活動に制限はあるが、日常生活は自立している状態である

中等度の障害:
何らかの介助を必要とするが、歩行は介助なしに行える

買い物や公共交通機関を利用した外出などには介助を必要とするが、通常歩行、食事、身だしなみの維持、トイレなどには介助を必要としない状態である

中等度から重度の障害:
歩行や身体的要求には介助が必要である

通常歩行、食事、身だしなみの維持、トイレなどには介助を必要とするが、持続的な介護は必要としない状態である

重度の障害:
寝たきり、失禁状態、常に介護と見守りを必要とする

常に誰かの介助を必要とする状態である

死亡

 
日本脳卒中学会版
 
食事・栄養 (N)
0.症候なし。
1.時にむせる、食事動作がぎこちないなどの症候があるが、社会生活・日常生活に支障ない。
2.食物形態の工夫や、食事時の道具の工夫を必要とする。
3.食事・栄養摂取に何らかの介助を要する。
4.補助的な非経口的栄養摂取(経管栄養、中心静脈栄養など)を必要とする。
5.全面的に非経口的栄養摂取に依存している。
 
呼吸 (R)
0.症候なし。
1.肺活量の低下などの所見はあるが、社会生活・日常生活に支障ない。
2.呼吸障害のために軽度の息切れなどの症状がある。
3.呼吸症状が睡眠の妨げになる、あるいは着替えなどの日常生活動作で息切れが生じる。
4.喀痰の吸引あるいは間欠的な換気補助装置使用が必要。
5.気管切開あるいは継続的な換気補助装置使用が必要。
 
②腎障害:CKD重症度分類ヒートマップが赤の部分の場合。
 
CKD重症度分類ヒートマップ

 
 
 
 
 
 
※診断基準及び重症度分類の適応における留意事項
1.病名診断に用いる臨床症状、検査所見等に関して、診断基準上に特段の規定がない場合には、いずれの時期のものを用いても差し支えない(ただし、当該疾病の経過を示す臨床症状等であって、確認可能なものに限る。)。
2.治療開始後における重症度分類については、適切な医学的管理の下で治療が行われている状態であって、直近6か月間で最も悪い状態を医師が判断することとする。
3.なお、症状の程度が上記の重症度分類等で一定以上に該当しない者であるが、高額な医療を継続することが必要なものについては、医療費助成の対象とする。

本疾患の関連資料・リンク

1)厚生労働科学研究費補助難治性疾患克服研究事業 有馬症候群の疫学調査および診断基準の作成と病態解明に関する研究. 平成23年度総括・分担研究報告書
 
2)厚生労働科学研究費補助難治性疾患等克服研究事業 繊毛障害による先天異常症候群の患者データベース構築と臨床応用のための基礎研究. 平成24年分担研究報告書度総括・分担研究報告書
 
3)厚生労働科学研究費補助難治性疾患等克服研究事業 繊毛障害による先天異常症候群の患者データベース構築と臨床応用のための基礎研究. 平成24-25年度総括・分担研究報告書
 
4)http://www.tobu-ryoiku.jp/research/mokuteki.html
繊毛障害による先天異常症候群の患者データベース構築と臨床応用のための基礎研究.ホームページ。


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情報提供者
研究班名 ジュベール症候群とジュベール症候群関連疾患の診療支援と診療ガイドライン作成・普及のための研究班
研究班名簿   
情報更新日平成29年4月24日