慢性再発性多発性骨髄炎(指定難病270)

まんせいさいはつせいたはつせいこつずいえん
 

(概要、臨床調査個人票の一覧は、こちらにあります。)

どんな病気ですか?

10歳前後の女児に多く発症する全身の骨に炎症を生じる病気で、主な症状は骨の痛みです。骨の痛みを生じる原因には色々なものがありますが、感染症や腫瘍など特定の原因によらず、非特異的な炎症と周囲の骨吸収が認められる疾患です。この様な病変が体のあちこちに持続的に認められる病気がCRMOです。骨の炎症の他、関節炎・掌蹠膿胞・炎症性腸疾患など、他の炎症性疾患の合併が認められる事もあります。

こどもが夜間に足を痛がります。CRMOの可能性はありますか?

足の痛みは子供では割と多い訴えの一つですが、殆どの場合症状は一過性であり、いつの間にか元気に遊びまわっているものです。この様な場合はいわゆる「成長痛」として良いでしょう。痛みが持続したり、痛みの部位に腫れや発赤が認められたりする場合には、近くの小児科で診察を受ける事をお勧めします。この場合、CRMOの可能性もありますが、頻度の高い別の病気をまず検索すべきです。

この病気は遺伝しますか?

いいえ。CRMOは基本的に遺伝しません。複数の患者が存在する家族例も報告されてはいますが、非常にまれなケースです。疾患発症との関連が示唆される遺伝子も幾つか報告されていますが、現時点で確定的なものではありません。

どの様に診断されますか?

慢性・再発性に骨の痛みを認める場合にCRMOを疑います。通常初めに行われるのは単純X線検査ですが、軽い病変はMRIでしか検出できない場合があります。血液検査は診断には殆ど役に立ちませんが、重症度や病気の活動性の判定に役立ちます。診断の確定の為には、骨生検を含めた組織検査が必要です。侵襲が大きいので避けたくなる検査ですが、感染症や腫瘍性疾患を鑑別する重要性を考慮すると可能な限り行うべきです。

治療法は?

CRMOの治療方針は確立されていませんが、非ステロイド性抗消炎薬(NSAIDs)が第一選択薬です。50~80%の症例に有効で、これのみで完全に症状が消失する症例もあります。又、ある種の薬剤が無効でも、他のNSAIDsへ変更すると効果を認める事もあります。NSAIDsで十分な効果が得られない場合の追加治療として、現時点で一定の有効性が示されている薬剤はbisphosphonateとTNFα阻害薬です。どちらもかなりの有効性が報告されていますが、本邦ではbisphosphonate・TNFα阻害薬ともCRMO治療には承認されておらず、標準的な使用方法も定まっていません。

 

情報提供者
研究班名 自己炎症性疾患とその類縁疾患における、移行期医療を含めた診療体制整備、患者登録推進、全国疫学調査に基づく診療ガイドライン構築に関する研究班
研究班名簿 
情報更新日 令和5年11月(名簿更新:令和5年6月)