メニュー


HOME >> 病気の解説(一般利用者向け) >> 一次性膜性増殖性糸球体腎炎(指定難病223)

一次性膜性増殖性糸球体腎炎(指定難病223)

いちじせいまくせいぞうしょくせいしきゅうたいじんえん

(概要、臨床調査個人票の一覧は、こちらにあります。)

1. 「一次性膜性増殖性糸球体腎炎」とはどのような病気ですか

この病気は、光学顕微鏡所見で糸球体係蹄壁の肥厚(基底膜二重化)と分葉状の細胞増殖病変といった特徴的な病理組織像を呈する腎炎です(図参照)。症状としては、学校あるいは職場健診で発見される無症候の血尿・蛋白尿から突然の血尿(時に肉眼的)と蛋白尿および浮腫を認める急性腎炎症候群あるいは徐々にこれらの症状が進んでくる慢性腎炎症候群あるいは血清アルブミンが少なくなり、強い浮腫(時に胸水や腹水を伴う全身性)を認めるネフローゼ症候群まで、その症状は様々です。明らかな原因疾患がない一次性と種々の免疫複合体疾患や感染症などに続発する二次性に分類されます。一次性は、どの年代層にも発症しますが、65歳以上の高齢の方が約半数を占めます。また、一次性ネフローゼ症候群の約6%がこの病気です。


図:膜性増殖性糸球体腎炎の病理組織像

2. この病気の患者さんはどのくらいいるのですか

この病気は、日本腎臓学会・腎臓病総合レジストリーに登録された腎生検22,000件中422件(1.92%)、うち一次性は221件(1.00%)であり、わが国の年間腎生検数が20,000~25,000件程度であることから約200~250人/年の発生が推測されています。
治療期間とも合わせて、ネフローゼ症候群で継続加療が必要な方が約1,000人と推定されています。

3. この病気はどのような人に多いのですか

どの年代層にも発症しますが、65歳以上の高齢の方が約半数を占めます。

4. この病気の原因はわかっているのですか

明らかな原因疾患がないものを「一次性」と呼んでいます。その原因は、不明ですが、共通した特徴として病変部分で補体が活性化しています。
一方、膠原病などの種々の免疫複合体疾患やB型あるいはC型肝炎ウイルスなどの感染症に続発する場合があります。この場合、「二次性」と呼び、区別しています。

5. この病気は遺伝するのですか

「一次性」についての遺伝は明らかではありません。
一方、最近の研究で補体を制御する分子であるH因子やI因子の遺伝的欠損やその他の因子の遺伝的異常により、補体活性の調節異常により類似の変化を生じることが判明しました。

6. この病気ではどのような症状がおきますか

学校あるいは職場健診で発見される無症候の血尿・蛋白尿から突然の血尿(時に肉眼的)と蛋白尿および浮腫を認める急性腎炎症候群あるいは徐々にこれらの症状が進んでくる慢性腎炎症候群あるいは血清アルブミンが少なくなり、強い浮腫(時に胸水や腹水を伴う全身性)を認めるネフローゼ症候群まで、その症状は様々です。

7. この病気にはどのような治療法がありますか

効果的治療法の根拠となる十分な臨床試験成績がないのが現状です。
小児では、経口ステロイド(プレドニン 2 mg/kg/隔日から開始し、20 mg/隔日を維持量)あるいはステロイドパルス療法を併用した2年間の治療により約半数の方で尿所見が正常化したと報告されています。成人でも、これに準じた治療が行われています。

8. この病気はどういう経過をたどるのですか

一般に、治療に反応しなかった場合に緩徐に進行します。無治療の場合は、10〜15年で50〜60%が末期腎不全に至るとされています。25〜40%の方では腎臓の機能が維持されますが、自然に治癒する方は10%未満です。臨床症状としてネフローゼ症候群、腎機能低下、高血圧を伴った場合と病理所見で半月体を認めたり、病変の分布が広範な場合、あるいは糸球体以外の尿細管間質病変の合併などが不良な経過と関連します。なお、小児例ではプレドニゾロンの大量隔日投与法により末期腎不全は約15%と減少しています。さらに、わが国では学校検尿などでの早期発見と治療により,末期腎不全への移行はさらに減少傾向を示しています。

9. この病気は日常生活でどのような注意が必要ですか

腎臓の機能と尿蛋白の程度および高血圧の合併の有無により,塩分や蛋白の制限を含む食事療法や降圧療法および生活レベルについて注意が必要です(表1-2参照)。
 
表1-1 慢性腎炎の生活指導基準

 
表1-2 ネフローゼ症候群の生活指導基準

Ccr:クレアチニンクリアランス(腎疾患の生活指導/食事療法のガイドライン 日本腎臓学会編1997年より改変引用)
 
表2 成人の生活指導区分

(腎疾患の生活指導/食事療法のガイドライン 日本腎臓学会編1997年より引用)

関連ホームページのご紹介

1.小児慢性特定疾病情報センター - 膜性増殖性糸球体腎炎
www.shouman.jp/details/2_2_9.html
 

【用語解説】

腎糸球体:血液中の血漿成分をろ過し、尿の元となる「原尿」を生成する血管構造です。糸球体とその周囲のボーマン嚢とで腎小体(マルピーギ小体)を構成しています。この糸球体による血液の濾過率は糸球体濾過量(GFR)と呼ばれ、腎機能を決定するのに使われます。この組織に炎症・障害が生じたものが「糸球体腎炎および腎症」です。
 
ネフローゼ症候群:ネフローゼ症候群とは、腎糸球体の障害により尿にアルブミンを主体とする大量の蛋白が漏出するために、血液中の蛋白が減り(低蛋白血症)、その結果、むくみ(浮腫)が起こる疾患(状態)です。
 
補体:補体系は、病原体などの異物を生体が排除する際に抗体および貪食細胞を補助する20以上のタンパク質とタンパク質断片から構成されています。補体系には、3つの活性化プロセス(古典経路、副経路、マンノース結合レクチン経路)があり、一次性膜性糸球体腎炎では、主に副経路からの活性化が生じています。一方、生体内には、この補体系の活性化を制御する因子(I因子,H因子,MCPなど)もあります。これらのバランスが崩れた場合、糸球体障害を生じることがあります。


治験情報の検索:国立保健医療科学院
※外部のサイトに飛びます。
情報提供者
研究班名 難治性腎障害に関する調査研究班
研究班名簿  研究班ホームページ 
新規掲載日平成27年7月30日