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肺動脈性肺高血圧症(指定難病86)

はいどうみゃくせいはいこうけつあつしょう

(概要、臨床調査個人票の一覧は、こちらにあります。)

病気が進行しないようにするにはどうすれば良いでしょうか?

肺動脈性肺高血圧症(PAH)に対する保険適用がある薬として、「プロスタサイクリン製剤」、「エンドセリン受容体拮抗薬」、「ホスホジエステラーゼ-5阻害薬」があります。これらの薬は全身の血管よりも肺の血管をより拡げて、心臓の負担を減らし、全身への酸素の巡りを良くする作用があります。これらの「肺血管拡張療法」により、病気が完全に治るわけではありませんが、ある程度効果がある場合が多いのが現状です。しかし、これらの薬をどのように服用すると最も効果があるのかは、まだ研究段階であり、専門医との相談が必要です。しかし、病気が進んでしまうと、薬の効果が乏しくなることがありますので、早めに専門医を受診することが必要です。
さらに補助的な治療法として、「利尿薬」(循環血漿量を減少させて、心臓の負担を減らす)、「酸素療法」(心臓の機能が低下して全身への酸素供給能力が低下しているので、吸入酸素濃度を上昇させてそれを補う)が、必要に応じて使用されています。

PGI2持続注入療法について教えてください。

PGI2持続注入薬は、英国にて1983年にフローランの名で発売開始されました。原発性肺高血圧症に対して、米国FDA(米国食品医薬品局)にて1995年9月に承認されています。日本への導入はかなり遅れており、1999年1月に輸入申請が許可され、同年4月に発売されました。また、2000年4月には「携帯用小型ポンプ」による「PGI2持続静脈内注入療法」の在宅医療が保険適用になりました。ここ数年で様々な新しい肺血管拡張薬の内服薬が保険適用されていますが、PGI2持続注入薬は現在でも重症例には重要で有効な治療薬です。24時間持続投与することが必要ですので、体内にカテーテルを埋め込み、携帯ポンプで持続して静脈内に投与し続けます。携帯型精密輸液ポンプは、ポンプの故障などの異常が生じた場合に備えて常にバックアップ用のポンプを1台以上用意しておく必要があります。感染、閉塞、血栓症等のトラブルが発生していない限りは、留置カテーテルの定期的な交換は必要ありません。トラブルが無く5年以上留置しているという報告もあります。「PGI2持続静脈内注入療法」の在宅治療は、自己の責任で薬を正しく調合し、ポンプを正確に操作することが特に必要であり、患者さん本人はもとより、介助する家族の方々にも知っていただきたく必要があります。グラクソ・スミスクライン社、アクテリオン・ファーマシューティカル社などの肺高血圧症情報サイトに、詳しく記載されていますので、ご参照ください。

新規の治療法にはどのようなものがありますか?

すでにご紹介した①プロスタグランジンI2(プロスタサイクリン)製剤、②エンドセリン受容体拮抗薬、③ホスホジエステラーゼ-5(PDE-5)阻害薬といった薬剤に加えて、現在も新たな作用機序の薬の開発が進んでいます。可溶性グアニル酸シクラーゼGC(sGC)刺激薬である 「リオシグアト」が、肺動脈性肺高血圧症に先行して慢性血栓塞栓性肺高血圧症に保険適用承認されました。また、Rhoキナーゼ阻害薬の「ファスジル」や、経口製剤のプロスタグランジンI2(プロスタサイクリン)受容体作動薬「セレキシパグ」も注目されています。また、プロスタグランジン製剤の皮下注 製剤「トレプロスト」が使用可能となり、吸入製剤の開発も進んでいます。

イマチニブは米国FDAで認可されなかったため、上記のように削除。ほぼ、上梓予定の薬剤を加えました。

移植医療の我が国の現状はどうでしょうか?

肺高血圧症に対する初めての肺移植は、1981年にスタンフォード大学にて45歳の特発性肺動脈性肺高血圧症の女性に対して行われました。日本では臓器移植制度は各国からかなり後れをとっており、1997年にようやく臓器移植法案が成立し、1998年に日本初の生体肺移植が実現しました。2000年には大阪大学と東北大学で日本初の脳死肺移植が施行されました。2010年7月までに日本全体で行われた肺移植は161例であり、そのうち生体肺移植は96例、脳死肺移植は65例でした。適用疾患として最も多かったのが特発性肺動脈性肺高血圧症で、37例でした。特発性肺動脈性肺高高血圧症における肺移植の適用は、可能な限りの内科的治療にも関わらず、症状が重篤な症例です。肺移植を希望する患者さんは、肺移植認定施設(東北大学、獨協医科大学、東京大学、千葉大学、京都大学、大阪大学、岡山大学、福岡大学、長崎大学)のいずれかで精査を受け、肺移植の適用と認められる必要があります。脳死肺移植を希望する場合には、さらに中央肺移植検討委員会で適用が検討され、承認されれば日本臓器移植ネットワークに登録され、脳死ドナーの出現を待つことになります。生体肺移植に関しては、脳死肺移植の適応患者のうち、より重篤な患者さんが適用となります。その判断は各肺移植認定施設の判断にゆだねられています。
日本で施行された37例の肺動脈性肺高血圧症患者さんにおける肺移植の5年生存率(5年後に生存している比率)は79.3%であり、そのうち生体肺移植25例の5年生存率は85.4%、脳死肺移植12例の5年生存率は66.7%でした。また、これまでのデータから片肺移植より両肺移植の方が、予後が良いことが分かっています。


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情報提供者
研究班名 呼吸不全に関する調査研究班
研究班名簿  研究班ホームページ 
情報更新日平成26年12月27日