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アルポート症候群(指定難病218)

あるぽーとしょうこうぐん

(概要、臨床調査個人票の一覧は、こちらにあります。)

1.「アルポート症候群」とはどのような病気ですか

アルポート症候群(Alport症候群)は慢性腎炎、難聴、眼合併症を呈する症候群で、しばしば末期腎不全へと進行します。南アフリカ人のCecil Alport医師が家族性に慢性腎炎を認めるイギリス人の大家族で、男性患者が女性患者より重症である点および、慢性腎炎を有する患者ではしばしば難聴を合併する点を初めて報告し、この病名がつけられました。

2.この病気の患者さんはどれくらいいるのですか

欧米からは5,000-10,000人に1人の割合で発症すると報告されております。日本において3年間に病院を受診した患者数を調査した結果、1,200人程の患者さんがいるのではないかと推測されています。

3.この病気はどのような人に多いのですか

後述しますが、遺伝性の疾患であり、ほとんどの場合、ご家族に腎炎の患者さんがいらっしゃいます。しかし、約20%の患者さんでは家族歴がなく、遺伝子の突然変異により発症します。

4.この病気の原因はわかっているのですか

はい。腎臓の糸球体という部分を構成するのに重要な蛋白である4型コラーゲンのα3鎖、α4鎖またはα5鎖をコードしている遺伝子COL4A3、COL4A4、COL4A5遺伝子のいずれかに異常がある場合発症します。これらの蛋白は内耳や眼にも存在するため、難聴や眼症状を合併します。

5.この病気は遺伝するのですか

はい。先述のように遺伝子の疾患であるため遺伝します。80%の患者さんは家族にも腎炎の方がいます。残りの20%は家族歴がなく、遺伝子の突然変異により発症します。最も頻度の高いのはCOL4A5遺伝子の異常によるX染色体連鎖型アルポート症候群で、この場合、男性患者さんでは女性患者さんに比べて明らかに重症の症状を呈します。また比較的まれではありますが、COL4A3遺伝子やCOL4A4遺伝子の異常でも常染色体優性型や常染色体劣性型の遺伝をします。それぞれの特徴は以下の表の通りです。

遺伝形式

原因遺伝子

頻度

末期腎不全到達年齢

X染色体連鎖型

COL4A5

80%

男性 平均25歳
女性 40歳で12%

常染色体劣性型

COL4A3またはCOL4A4

15%

平均21歳(男女同じ)

常染色体優勢型

COL4A3またはCOL4A4

5%

平均60歳前後(男女同じ)

ただし、どの病型におきましても非典型的に重症の患者さんや軽症の患者さんがいることに注意が必要です。

6.この病気ではどのような症状がおきますか

以下の3つの症状が見られます。
1)慢性腎炎:典型例では幼少期から血尿を認めます。ふつうは見た目では尿に血液が混じっていることは分からず、尿検査で初めて血尿を指摘されます。しかし、風邪を引いた際に肉眼的血尿と呼ばれる赤またはコーラ色の尿が出ることがあります。年齢とともに蛋白尿を認めはじめ、非常にゆっくりした経過で末期腎不全へと進行することがあります。最も頻度の高いCOL4A5遺伝子の異常に伴うX染色体連鎖型アルポート症候群では、男性では40歳までに約90%の患者さんが末期腎不全に進行します。一方、女性では40歳までに約10%の患者さんが末期腎不全へと進行します。末期腎不全へと進行した際は、透析や腎臓移植など、腎代替療法と呼ばれる治療が必要です。
2)難聴:生下時や幼少期に認めることはありません。しかし、最も頻度の高いCOL4A5遺伝子の異常に伴うX染色体連鎖型アルポート症候群では、男性ではほとんどの場合10歳以降に発症し、最終的には80%の患者さんで難聴を認めます。一方女性では20%の患者さんに認めます。
3)眼合併症:白内障や円錐水晶体などを認めることがあります。最も頻度の高いCOL4A5遺伝子の異常に伴うX染色体連鎖型アルポート症候群では、男性では約3分の1の患者に認めると報告されております。一方、女性においては非常にまれと考えられております。
4)びまん性平滑筋腫:非常にまれな合併症で、良性腫瘍を発症します。食道に最もよく見られ、その他、女性生殖器、気管にも見られることがあります。

7.この病気にはどのような治療法がありますか

現在まで根治的治療法はありません。治療方針としてはいかに末期腎不全への進行を抑えるかに焦点が当てられております。具体的にはアンジオテンシン変換酵素阻害薬やアンジオテンシン受容体拮抗薬の内服による腎保護効果による治療を行います。治療開始は血尿に加え、蛋白尿を認めはじめた時期とすることがほとんどですが、海外からは男性患者においては診断がつき次第すぐに加療開始をすすめる報告もあります。

8.この病気はどういう経過をたどるのですか

上記6に記載したとおり、男性患者さんでは高頻度に末期腎不全へと進行します。男性患者さんの末期腎不全到達平均年齢は25歳くらいと報告されており、その後、血液透析や腎移植などの腎代替療法が必要となります。また難聴により補聴器を必要とすることもあります。

9.この病気は日常生活でどのような注意が必要ですか

腎機能障害を認めない時期においては通常の日常生活を送ることができ、生活上の制限は必要ありません。ただし、尿潜血に加え、尿蛋白を認める患者さんでは、アンジオテンシン変換酵素阻害薬やアンジオテンシン受容体拮抗薬の内服加療を行うことがすすめられております。

10.この病気に関する資料・関連リンク

・小児慢性特定疾病情報センター
http://www.shouman.jp/details/2_2_12.html
・Alport Syndrome Foundationホームページ
http://alportsyndrome.org


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情報提供者
研究班名 -  
新規掲載日平成27年7月8日