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原発性抗リン脂質抗体症候群(指定難病48)

げんぱつせいこうりんししつこうたいしょうこうぐん

(概要、臨床調査個人票の一覧は、こちらにあります。)

1.「原発性抗リン脂質抗体症候群」とはどのような病気ですか

抗リン脂質抗体症候群(antiphospholipid syndrome, APS)は血中に抗リン脂質抗体とよばれる自己抗体が存在し、さまざまな部位の動脈血栓症や静脈血栓症、習慣流産などの妊娠合併症をきたす疾患です。APS患者さんの約半数が全身性エリテマトーデス(systemic lupus erythematosus, SLE)などの膠原病に合併し、そのような基礎疾患をもつ場合は二次性APSとよばれますが、基礎疾患を持たない患者さんも約半数おり原発性APSとよばれます。

2.この病気の患者さんはどのくらいいるのですか

近年の欧州で行われた疫学研究などを参考にすると、SLEの10-20%がAPSを合併していると推定されること、原発性APSがSLEに伴う続発性APSと同等数いると推定されること、日本でSLEが60,000人以上いると推定されていることなどから、二次性APSが5,000~10,000人、原発性APSも同程度の5,000~10,000人程度いると推定されます。

3.この病気はどのような人に多いのですか

APSの約半数は、SLEなどの膠原病に合併しますが、原発性APSでは明らかな基礎疾患がありません。若年で脳梗塞を発症する方や流産をくりかえす方の原因の一つとしてこの病気があげられます。

4.この病気の原因はわかっているのですか

その他の膠原病と同様に遺伝的要因と環境的要因が想定されていますが、原因は未だ不明です。

5.この病気は遺伝するのですか

明らかな遺伝性はないと考えられていますが、家族内、親族内で発症する場合も報告されています。

6.この病気ではどのような症状がおきますか

APSでは様々な部位の動脈血栓症や静脈血栓症、習慣流産などの妊娠合併症がおこります。動脈血栓症としては、脳梗塞や一過性脳虚血発作が多くみられます。閉塞する脳血管の部位により様々な症状をきたします。脳梗塞に比較して心筋梗塞の頻度は少ないとされています。末梢動脈の閉塞による皮膚潰瘍や網膜の動脈の血栓症による視野障害や失明が起こることもあります。静脈血栓症としては、下肢の深部静脈血栓症が多く、下肢の腫脹や疼痛がみられます。下肢の静脈にできた血栓が肺に飛んで肺血栓塞栓症をきたし、胸痛や呼吸困難などをきたし時に命にかかわることもあります。妊娠合併症としては、習慣流産、子宮内胎児発育遅延、妊娠高血圧症候群などがあります。
動静脈血栓症や妊娠合併症以外に、心臓の弁の異常(弁膜症)、四肢にみられる網目状の皮疹(網状皮斑)、血小板減少、腎障害、神経症状などがみられることがあり、抗リン脂質抗体関連症状とよばれています。
また、まれですが多臓器の血栓症、臓器障害をきたし、急激な経過をとり致死率の高い劇症型APSという病型もあります。

7.この病気にはどのような治療法がありますか

APSの急性期の動静脈血栓症に対しては、通常の血栓症の治療に準じて抗血栓療法がおこなわれます。APSでは血栓症の再発が多く、急性期の治療に引き続き、再発予防が重要となります。再発予防には、動脈血栓症では主にアスピリンなどの抗血小板剤、静脈血栓症には主にワルファリンなどの抗凝固療法がおこなわれます。妊娠合併症の既往のあるAPS患者さんが妊娠した場合は、少量のアスピリンに加えてヘパリンの投与を行うことが推奨されています。
抗リン脂質抗体が陽性であっても、血栓症や妊娠合併症の既往がなければ治療の必要性はなく、通常は経過観察でよいとされていますが、高血圧や脂質異常症など他の血栓症の危険因子を考慮し、アスピリンなどの予防投与が検討されることがあります。

8.この病気はどういう経過をたどるのですか

APSでは血栓症の再発率が高く、長期にわたる抗血小板療法、抗凝固療法が必要となります。日本ではAPSの予後に関する疫学研究は行われていませんが、欧州で行われたAPS1,000例の検討では、5年生存率が94.7%、10年生存率が90.7%と報告されており、主な死因としては、感染症、悪性腫瘍、血栓症(心筋梗塞、脳梗塞、肺血栓塞栓症など)、出血などが報告されています。

9.この病気は日常生活でどのような注意が必要ですか

日常生活において血栓症の危険因子を減らすことが必要となります。具体的には禁煙、高血圧や脂質異常症の改善、経口避妊薬の中止などが必要です。


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情報提供者
研究班名 難治性血管炎に関する調査研究班
研究班名簿  研究班ホームページ 
情報更新日 平成27年3月19日