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慢性炎症性脱髄性多発神経炎/多巣性運動ニューロパチー(指定難病14)

まんせいえんしょうせいだつずいせいたはつしんけいえん/たそうせいうんどうニューロパチー

(概要、臨床調査個人票の一覧は、こちらにあります。)

○ 概要
 
1.概要
慢性炎症性脱髄性多発神経炎/多巣性運動ニューロパチーは、2か月以上にわたる慢性進行性あるいは階段性、再発性の左右対称性の四肢の遠位、近位筋の筋力低下・感覚障害を主徴した原因不明の末梢神経疾患である。病因は、末梢神経ミエリンの構成成分に対する免疫異常により生ずる自己免疫性疾患と考えられているが、詳細は不明である。
 
2.原因
末梢神経ミエリン構成成分に対する自己免疫によって発症すると考えられている。多発性硬化症の合併が見られることもあり、末梢神経での類似の発症機序が想定されている。
 
3.症状
臨床症候は四肢の運動障害(手足の脱力、筋力低下)、感覚障害(手足のしびれ、痛み)を認め、まれに脳神経障害、自律神経も障害されることもある。明確な病型分類はないが、亜急性又は慢性(2か月から数か月以上)に進行する型(慢性進行型)、再発と寛解を繰り返す型(再発寛解型)がある。四肢の腱反射は低下あるいは消失する。脳脊髄液検査では蛋白細胞解離を認める。また、ステロイド療法、血漿浄化療法、免疫グロブリン静注療法などの免疫療法後の臨床症状の改善は、診断を支持するものである。
 
4.治療法
ステロイド療法、血漿浄化療法、免疫グロブリン静注療法などの免疫療法。根治治療はない。
 
5.予後
慢性進行性や再発性の経過をとることが多く、筋萎縮や重度の身体障害に陥ることが多い。呼吸障害や褥瘡よりの感染により死亡する例も見られる。自然寛解もときに見られる。
 
 
○ 要件の判定に必要な事項
1.患者数(平成26年度医療受給者証保持者数)
4,633人
2.発病の機構
不明(自己免疫性の機序が考えられる。)
3.効果的な治療方法
未確立(根治治療なし。)
4.長期の療養
必要(慢性進行性、再発性がある。)
5.診断基準
あり
6.重症度分類
Barthel Indexを用いて、85点以下を対象とする。
 
○ 情報提供元
「エビデンスに基づいた神経免疫疾患の早期診断基準・重症度分類・治療アルゴリズムの確立研究班」
研究代表者 金沢医科大学医学部神経内科教授 松井 真
 
 
 
<診断基準>
1.主要項目
(1)発症と経過
①2か月以上の経過の、寛解・増悪を繰り返すか、慢性進行性の経過をとる多発ニューロパチーである。
②当該患者の多発ニューロパチーを説明できる明らかな基礎疾患、薬物使用、毒物への暴露がなく、類似疾患の遺伝歴がない。
(2)検査所見
①末梢神経伝導検査で、2本以上の運動神経において、脱髄を示唆する所見を示す。※注
②脳脊髄液検査で、蛋白増加を認め、細胞数は10/mm3未満である。
③ステロイド療法、血漿浄化療法、免疫グロブリン静注療法、その他の免疫療法などにより改善を示した病歴がある。
④MRIで神経根あるいは馬尾の肥厚又は造影所見がある。
⑤末梢神経生検で脱髄を示唆する所見がある。
(3)支持的診断所見
a.慢性炎症性脱髄性多発神経炎
1.末梢神経伝導検査による感覚神経における異常所見
2.体性誘発電位における異常所見
3.免疫療法(ステロイド薬、血漿浄化療法、免疫グロブリン静注療法)により改善を示した病歴
b.多巣性運動ニューロパチー
1.球麻痺を含む脳神経症状・上位運動ニューロン徴候がない
2.血清における抗GM1 IgM 抗体が陽性
3.免疫療法(免疫グロブリン静注療法)により改善を示した病歴
2.鑑別診断
(1)以下の疾患に伴う末梢神経障害
糖尿病、アミロイドーシス、膠原病、血管炎、固形癌、悪性リンパ腫、多発性骨髄腫、POEMS症候群、HIV感染症、サルコイドーシスなど
(2)薬物・毒物への暴露による末梢神経障害
(3)ビタミンなどの栄養障害による末梢神経障害
(4)末梢神経障害を起こす遺伝性疾患
 
3.診断のカテゴリー
1.主要項目の(1)①②及び(2)①の全てを認め、(2)②から⑤のうちいずれか1つを満たし、(3)で疾患を区別できる。
※注 2本以上の運動神経で、脱髄を示唆する所見(①伝導速度の低下、②伝導ブロック又は時間的分散の存在、③遠位潜時の延長、④F波欠如又は最短潜時の延長の少なくとも1つ)が見られることを記載した神経伝導検査レポート又はそれと同内容の文書の写し(判読医の氏名の記載されたもの)を添付すること。
 
 
 
<重症度分類>
機能的評価:Barthel Index
85点以下を対象とする。

 

質問内容

点数

食事

自立、自助具などの装着可、標準的時間内に食べ終える

10

部分介助(例えば、おかずを切って細かくしてもらう)

全介助

車椅子からベッドへの移動

自立、ブレーキ、フットレストの操作も含む(歩行自立も含む)

15

軽度の部分介助又は監視を要する

10

座ることは可能であるがほぼ全介助

全介助又は不可能

整容

自立(洗面、整髪、歯磨き、ひげ剃り)

部分介助又は不可能

トイレ動作

自立(衣服の操作、後始末を含む、ポータブル便器などを使用している場合はその洗浄も含む)

10

部分介助、体を支える、衣服、後始末に介助を要する

全介助又は不可能

入浴

自立

部分介助又は不可能

歩行

45m以上の歩行、補装具(車椅子、歩行器は除く)の使用の有無は問わず

15

45m以上の介助歩行、歩行器の使用を含む

10

歩行不能の場合、車椅子にて45m以上の操作可能

上記以外

階段昇降

自立、手すりなどの使用の有無は問わない

10

介助又は監視を要する

不能

着替え

自立、靴、ファスナー、装具の着脱を含む

10

部分介助、標準的な時間内、半分以上は自分で行える

上記以外

排便コントロール

失禁なし、浣腸、坐薬の取扱いも可能

10

ときに失禁あり、浣腸、坐薬の取扱いに介助を要する者も含む

上記以外

10

排尿コントロール

失禁なし、収尿器の取扱いも可能

10

ときに失禁あり、収尿器の取扱いに介助を要する者も含む

上記以外

 
 
 
※診断基準及び重症度分類の適応における留意事項
1.病名診断に用いる臨床症状、検査所見等に関して、診断基準上に特段の規定がない場合には、いずれの時期のものを用いても差し支えない(ただし、当該疾病の経過を示す臨床症状等であって、確認可能なものに限る。)。
2.治療開始後における重症度分類については、適切な医学的管理の下で治療が行われている状態であって、直近6か月間で最も悪い状態を医師が判断することとする。
3.なお、症状の程度が上記の重症度分類等で一定以上に該当しない者であるが、高額な医療を継続することが必要なものについては、医療費助成の対象とする。
 

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情報提供者
研究班名 神経免疫疾患のエビデンスによる診断基準・重症度分類・ガイドラインの妥当性と患者QOLの検証研究班
研究班名簿   
情報更新日平成29年4月24日