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巨細胞性動脈炎(指定難病41)

きょさいぼうせいどうみゃくえん

(概要、臨床調査個人票の一覧は、こちらにあります。)

1.「巨細胞性動脈炎」とはどのような病気ですか?

巨細胞性動脈炎は、血管炎と呼ばれる病気のグループに含まれ、高齢の方に起こり、主に頭部の動脈がつまって症状を起こす、珍しい病気です。血管を顕微鏡で観察すると巨細胞という核をたくさん持つ巨大な細胞がみられるため、巨細胞動脈炎と名づけられました。
別名として、側頭動脈炎がありますが、現在の正式病名は「巨細胞性動脈炎」になります。
2015年より厚生労働省の定める指定難病に認定されました。

2. この病気の患者さんはどのくらいいるのですか?

1998年の厚生省による調査では、日本の患者数は690人(人口10万人あたり0.65人)でした。

3. この病気はどのような人に多いのですか?

女性患者の数は男性患者の約2~3倍です。発症する年齢は50歳以上で、60~70代にピークがあります。アジア人に少なく、欧米の白人に多いです。

4. この病気の原因はわかっているのですか?

いまのところ原因は不明です。ステロイドが効くことなどから、免疫の異常によって起こる自己免疫疾患と考えられています。

5. この病気は遺伝するのですか?

遺伝病ではありません。

6. この病気ではどのような症状がおきますか?

1) 全身の炎症によって起こる症状と、2) 個別の血管がつまって起こる症状の二つに分けられます。

1) 全身炎症症状
熱が続く、だるい、つかれやすい、体重が減る、筋肉が痛い、関節が痛い、など。

2) 各血管の症状
(1)首から頭に行く動脈の症状
今までに経験したことがないタイプの頭痛、頭の片側が痛い、食べ物を噛んでいるうちにあごが痛くなって噛み続けられなくなる、下あごが痛い、首が痛い、など。
(2)目に行く動脈の症状
片方または両方の視力低下ないし失明。
(3)脳に行く動脈の症状
めまい・失神、力が入らない、手足が動かない、話しづらいなど。
(4)大動脈の症状
背中が痛い、など。
(5)腕に行く動脈の症状
腕が痛い、腕が冷たい、腕がすぐにだるくなって使えなくなる、(手首のところで)脈が触れにくい、など。
(6)心臓に行く動脈の症状
胸が絞られるように痛むなど。
(7)足に行く動脈の症状
足が痛くなるので休み休み歩く、足が冷たい、など。

3) 合併する病気
巨細胞性動脈炎の方の約30ー60%は、リウマチ性多発筋痛症にもなります。

7. この病気にはどのような治療法がありますか?

プレドニゾロンなどの副腎皮質ステロイドの飲み薬で治療します。ステロイドは、巨細胞性動脈炎に対して最も確実な治療効果を示します。他の薬ではそのようには効きません。ステロイドは、最初に定められた用量を用い、熱や頭痛などの症状が改善したら、用量を減らしていきます。
30-50%程度の方がステロイド減量中に症状が再度悪化します。
1)ステロイドだけでは効果が不十分な場合、または、2)ステロイド減量中に症状が悪化するためステロイドを減らせない場合、3)ステロイドの副作用のためステロイドを減量する必要がある場合には、トシリズマブ(保険適用あり)という生物学的製剤や、メトトレキサート(保険適用なし)などの免疫抑制薬をステロイドと組み合わせて使います。

8. この病気はどういう経過をたどるのですか?

治療の効果が不十分で進行してしまうと、失明、大動脈瘤、大動脈及び分枝の狭窄、動脈解離、脳梗塞、心筋梗塞、などをきたすおそれがあります。通常は、ステロイドが効いて、熱や頭痛などの症状が改善します。その後は、ステロイドの用量を減らしていきます。しかし、ステロイドを減らしていく途中で病状が再度悪化してくることがありますので、症状や血液検査、画像検査をみながら慎重にステロイドを減らします。大動脈病変を合併している場合は、血管エコー、CT検査、MRI検査、PET-CT検査から必要な検査を適宜行い、血管病変の進行の有無を検査する場合があります。しばしば、ステロイドを中止できず、少量のステロイドを飲み続けるかたが多くいらしゃいます。ステロイドの長期継続は様々な合併症を引き起こすため、合併症の検査と治療、合併症を予防するための対策が必要です。

9. この病気は日常生活でどのような注意が必要ですか?

1)巨細胞性動脈炎は高齢の方に多いので、動脈硬化症を合わせ持っていることが多いです。ステロイドの長期継続も動脈硬化の進行と関連があります。動脈硬化症の進行を予防するために、高血圧・糖尿病・脂質異常症などの予防・検査・治療が必要です。また、脳や心臓に行く血管に問題がある患者さんの場合は、特に注意が必要です。
(1)高血圧への対策
塩分をひかえめにする。軽い運動をする。
(2)糖尿病・脂質異常症への対策
主治医と相談しながら適切な体重となるようコントロールする。軽い運動をする。
2)ステロイドによる治療を行うと、感染、骨粗鬆症、骨壊死などの副作用が起こりうるので、ステロイド副作用の予防および検査が必要です。
(1)感染への対策:うがい、手洗い、人込みを避ける、人込みではマスクをつける、熱が出たら早めに病院に行く、など。主治医の判断で感染予防薬を使用する場合があります。
(2)骨粗鬆症への対策:カルシウムを摂取する、軽い運動をする、ステロイド性骨粗鬆症の進行を防ぐために骨粗鬆症治療薬を飲む、など。
(3)骨壊死への対策:股関節や膝などに痛みがあれば病院を受診して、画像検査を受けます。

10. この病気に関する資料・関連リンク

2015-2016年度合同研究班による血管炎症候群の診療ガイドライン (日本循環器学会が公開しているガイドライン。巨細胞性動脈炎については28-39ページを参照)
http://www.j-circ.or.jp/guideline/pdf/JCS2017_isobe_h.pdf


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情報提供者
研究班名 難治性血管炎に関する調査研究班
研究班名簿  研究班ホームページ 
情報更新日平成30年9月12日(研究班名簿:平成30年4月更新)