成人発症スチル病(指定難病54)

せいじんはっしょうすちるびょう
 

(概要、臨床調査個人票の一覧は、こちらにあります。)

※  子どもに発症する「スチル病(現在は全身型若年性特発性関節炎と呼びます)」に良く似た症状を示し、大人(通常16歳以上)に発症する疾患を「成人発症スチル病(成人発症スティル病)」と呼びます。」
詳しくは「成人発症スチル病(指定難病54)」及び「若年性特発性関節炎(指定難病107)」の病気の解説(一般利用者向け)ページをご覧ください。

熱が高くて開業医から成人発症スチル病(成人発症スティル病)かも知れないと言われました。どうしたら良いでしょうか。

内科のリウマチ専門医を受診することをお勧めします。受診までの間、どのような発熱のパターンなのか、朝と夜および熱の高い時の体温を測定して毎日記録してください。また、熱の高い時に体に薄いピンク色の皮疹が無いか確認しておいてください。スマートフォンなどで写真に撮っておくのも良いと思います。

成人発症スチル病でプレドニゾロンを内服しています。病気は落ち着いていると言われています。今後プレドニゾロンの減量は可能でしょうか。

プレドニゾロンなどの副腎皮質ステロイド(ステロイド)は、成人発症スチル病に有効な治療薬ですが、長期に亘ってプレドニゾロン5mg/日以上を内服していると副作用が出やすくなります。中には、お薬を止めることが出来る場合もありますので、出来れば減量を進めたいものですが、むやみに減量すると再燃(再び病気が活発になること)の危険も高まります。プレドニゾロン10mg以下になれば、1ヶ月にプレドニゾロンで0.5mg~1mg程度の速度での減量が良いと思います。CRPやフェリチンのわずかな増加が見られるようならしばらくその量で経過観察すると良いと思います。ステロイドの量が多いにも関わらず不幸にして再燃するような場合には、ステロイドを増量するとともに、免疫抑制薬または抗リウマチ生物学的製剤の併用も考慮されます。

プレドニゾロンなどステロイドの副作用にはどのようなものがあるでしょうか。また、予防は可能でしょうか。

ステロイドは、15mg/日以下で1~2週間程度の短期間内服するのであればかなり安全なお薬です。成人発症スチル病の場合には通常は長期に亘って内服継続することになりますので注意が必要です。通常の副作用としては、骨粗鬆症、糖尿病、高血圧、白内障、緑内障、胃潰瘍、顔面や体幹の皮下脂肪が増えて顔が丸くなることや、肺炎など感染症に罹患しやすくなることが挙げられます。骨粗鬆症や胃潰瘍は予防的にお薬を内服します。糖尿病や高血圧は、家族歴のある方には起きやすいですので定期的に検査をして徴候が見られたらお薬で対処します。白内障や緑内障は、1回/年程度の眼科検診をお勧めします。物が見難い、目が痛いなどの症状があれば眼科受診が必要です。

成人発症スチル病の治療中に高熱が出るようになりました。何が考えられるでしょうか。

成人発症スチル病の治療が奏効していたのに突然高熱が出るようになった場合には、肺炎、腎盂腎炎などの感染症(インフルエンザなどウイルス感染を含む)か成人発症スチル病の再燃、またはマクロファージ活性化症候群/血球貪食症候群の可能性が高いです。主治医に連絡して早期受診をしてください。

成人発症スチル病の治療中ですが、出産希望です。妊娠することは問題ないでしょうか。

状態によりますが、基本的には妊娠・出産は可能です。妊娠には向かないお薬もありますので、使用中のお薬の確認が必要になります。まずは、妊娠の希望があることを主治医にご相談ください。薬の変更なしで半年間以上発熱がなく炎症反応やフェリチン値が正常な状態が続いているのであれば、妊娠は可能です。主治医とよくご相談ください。なお、妊娠・出産は、健康な方でも一定の頻度で問題が生じて継続出来ないことがありますので、ご病気を持って加療中の方にも同じことが起きないとは限らないことをご理解ください。

この病気は治りますか。

初期治療により病気が落ち着くことが多いです。およそ30%程度の成人発症スチル病の患者さんは、病気が起こってもその後落ち着けば再発しないとされています。その他の患者さんは、治療を継続して病気が落ち着いた状態を続けることが重要と考えられます。薬を十分に減量しても落ち着いた状態が持続していれば薬を止めてみるというのも選択肢になるかも知れません。まずは主治医にご相談ください。

 

情報提供者
研究班名 自己免疫疾患に関する調査研究班
研究班名簿 
情報更新日 令和6年4月(名簿更新:令和5年6月)