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成人スチル病

せいじんすちるびょう

(指定難病一覧(概要、診断基準等・臨床調査個人票))

1.成人スチル病(成人スティル病)とは

子供に発症する「スチル病」に良く似た症状を示し、大人(通常16歳以上)に発症する疾患を「成人発症スチル病(成人発症スティル病)」と呼びます。1971年に初めてその存在が報告された比較的新しい疾患です。膠原病の中に含まれますが、リウマチ因子や抗核抗体など自己抗体は陰性で、自己炎症性疾患と呼ばれる病気の範疇に入る可能性もあります。特徴的な症状は、リウマチ因子陰性(血清反応陰性)の慢性関節炎(いくつもの関節が痛み、腫れて熱感を持ちます)、かゆみを伴わない移動性の淡いピンク色の皮疹(発熱とともに出現し解熱すると消失)と午前中は平熱で夕方から夜にかけて40℃に達する高熱(このような熱型を弛張熱(しちょうねつ)と言います)です。成人発症スチル病は表1の分類基準を基に診断します。大項目の2つ以上を含み合計5つ以上の項目が該当する場合に「成人発症スチル病」と診断します。小児期発症のスチル病で病気が治らずに16歳以上になった人も含めて、「成人スチル病」と呼んでいます。

表1:
成人発症スチル病分類基準
大項目
1.39℃以上の発熱が1週間以上持続
2.関節痛が2週間以上持続
3.定型的皮疹
4.80%以上の好中球増加を伴う白血球増加(10000/ml以上)
小項目
1.咽頭痛
2.リンパ節腫脹または脾腫
3.肝機能異常
4.リウマトイド因子陰性および抗核抗体陰性
除外項目
I.感染(特に敗血症、伝染性単核球症)
II.悪性腫瘍(特に悪性リンパ腫)
III.膠原病(特に結節性多発動脈炎、悪性関節リウマチ)

2. この病気の患者さんはどのくらいいるのですか?

2011年に厚生労働省の自己免疫疾患に関する調査研究班が日本全国で調査した最新の報告では、日本には4760名の成人スチル病の患者さんがいると推定しています。人口10万人当たり3.9人となります。

3. この病気はどのような人に多いのですか?

上で述べた調査研究班の報告では、男女比は1:1.3で女性に多く、平均発症年齢は46.5歳でした。若い人が多いと言われていますが、70歳以上の高齢の方にも発症が見られます。また、16歳未満で発症したスチル病の患者さんは5%程度で、多くは成人発症スチル病の患者さんでした。家族歴のある方は殆どいませんでした。

4. この病気の原因はわかっているのですか?

成人スチル病の原因は不明です。ただ、白血球の一部の単球やマクロファージと呼ばれる細胞が、勝手に活動して炎症性サイトカインという炎症を起こす物質を大量に産生することで体の中に強い炎症(高熱、関節炎など)が起きていると推定されています。

5. この病気は遺伝するのですか?

家族歴はほとんどありませんので、親が病気の場合に子供に病気が発症するというような強い遺伝形式は無いと考えられます。

6. この病気ではどのような症状がおきますか?

上で述べた通りに、代表的な症状は、関節炎、皮疹、高熱(弛張熱)ですが、他にのどの痛み、リンパ節の腫れ、肝臓や脾臓が大きくなったりします。薬にアレルギーが起きやすくなることもあります。血液検査所見では、炎症反応(CRP)高値、白血球増多、肝臓機能障害などが見られます。この病気に特徴的な検査所見として、血清フェリチン著明増加があります。フェリチンは、体の中の鉄の貯蔵状態を反映する値ですが、白血球の一部のマクロファージが暴れて炎症を起こしている時に数字が著しく高くなることがわかっています(合併症の記載参照)。成人スチル病でも同様のことが起きていると考えられています。合併症としては、胸膜炎(肺の周囲に水が溜まります)や心膜炎(心臓の周囲に水が溜まります)、間質性肺炎(肺が固くなって呼吸が苦しくなります)などを起すことがあります。他に、頻度は高くは無いものの命にかかわるような重篤な合併症が起きる場合があり、播種性血管内凝固(DIC)、マクロファージ活性化症候群(MAS)/血球貪食症候群(HPS)が知られています。MAS/HPSでは、マクロファージや単球が制御の効かない活性化状態に陥り、自分の血液細胞を食べて(貪食)しまったり、炎症性サイトカインを大量に産生したりすることで強い炎症が起こります。上で述べたフェリチンが極めて高い値を示します。成人スチル病では10-15%程度で合併することがあり、他の病気に合併する頻度より高いです。

7. この病気にはどのような治療法がありますか

炎症を抑えるための治療が基本です。通常は副腎皮質ステロイドを用いて寛解するように治療します。初期内服量としては、プレドニンで30mgから60mgの間で炎症の程度や体重などによって調整します。炎症が十分に治まらない場合には、副腎皮質ステロイドの大量点滴療法(ステロイドパルス療法)や免疫抑制薬の併用療法が用いられます。副腎皮質ステロイドは効果が十分であれば初期量から減量していきますが、早く減量し過ぎると再燃(再び病気が活動すること)する場合もありますので、慎重に減量します。副腎皮質ステロイドで効果が不十分であったり、再燃する場合には、最近では抗リウマチ生物学的製剤(主にアクテムラ)を用いる場合もありますが、保険適応外になります。副腎皮質ステロイドの減量が困難な場合には、免疫抑制薬や抗リウマチ生物学的製剤を併用して、積極的に副腎皮質ステロイドの減量を進めます。

8. この病気はどういう経過をたどるのですか

成人スチル病の経過は、以下の3つの病型のどれかに相当しますが、経過を見ていかないとどれに相当するかはわかりません。1)単周期性全身型または自然寛解を示すもの;一過性に病気が現れますが、自然にまたは治療に良く反応して病気がおさまるタイプ(30-40%)、2)多周期性全身型;高熱で発症して一時軽快してもまた同様の症状がぶり返すタイプ(30-40%)、慢性関節型;初発時の高熱や強い炎症は抑えられても関節炎が持続するタイプ(20-30%)。単周期性全身型は、治療反応性も良く治療を中止することも可能な可能性があります。一方、多周期性全身型は、治療薬の減量によって再発する可能性が高いです。慢性関節型では、関節リウマチのように関節の炎症が続きます。関節リウマチの治療が奏功する場合があります。長い間炎症が持続すると、炎症蛋白(血清アミロイドA)が様々な臓器に沈着して臓器障害を起こすアミロイド―シスという病気を合併することがあります。

9. この病気は日常生活でどのような注意が必要ですか

細菌やウイルスの感染症によって発症したり増悪したりする可能性がありますので、日常生活では出来るだけ感染症に罹患しないように注意が必要です。外出後の手洗いやうがいの励行、体調の維持、バランスの良い食生活などを心がけて下さい。アレルギーなどが無い限りは、インフルエンザワクチン接種は受けてください。

10. この病気に関する資料・リンク(注1)

成人スチル病は内科系のリウマチ専門医が診療します。成人スチル病の診断基準(正式には分類基準と呼ばれています)は表1の通り。診療ガイドラインは現在作成中です。


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情報提供者
研究班名 自己免疫疾患に関する調査研究班
研究班名簿   
情報更新日平成27年1月26日