| Ⅰ 概要 Ⅱ 診断基準 Ⅲ 治療指針 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
Ⅰ 概要 |
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■定義 |
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間質性肺炎とは、広くびまん性肺疾患として胸部放射線画像上両側びまん性の陰影を認める疾患のうち、肺の間質(狭義では肺胞隔壁、広義では小葉間間質、胸膜近傍などを含む)を炎症の場とする疾患である。その病理像は多彩で、職業性や薬剤など原因の明らかなものや膠原病随伴性に起こる場合と、原因が特定できない場合がある。特発性間質性肺炎(idiopathic interstitial pneumonias; IIPs)は原因を特定しえない間質性肺炎の総称であり、下記7疾患に分類される。 このうち頻度的にはIPF,NSIP,OPがほとんどを占め、喫煙との関連が高いとされるRB-ILD,DIP,がそれに続く。LIPは血液疾患に伴うものが多く、原因が特定されないAIPと同様、臨床上極めて稀である。 |
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特発性間質性肺炎(IIPs)の分類:臨床診断名と病理組織分類との関係 |
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■疫学 |
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特発性間質性肺炎の臨床診断基準に合致した正確な罹患率と有病率は不明であるが、人口10万人あたり20人程度と推定されている。労作時呼吸困難感などの自覚症状がない状態の患者数はさらに10倍程度存在することが推定される。性別では男性に多く、発症は通常50歳以降である。 |
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■病因 |
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原因は不明である。多様な遺伝子背景に加え、環境因子の影響を受ける慢性炎症機序の関与が想定されている。直接の原因ではなくても間接的な影響を与える「危険因子」としてもっとも重要なのが喫煙であり、とくに特発性肺線維症には喫煙者が多いことが知られる。7つの疾患のうち呼吸細気管支炎関連性間質性肺疾患(RB-ILD)と剥離性間質性肺炎(DIP)は最近では喫煙関連肺ととらえられている。特発性肺線維症の危険因子としては、さらに、粉じん暴露やウイルス感染、さらに逆流性食道炎が挙げられている。もっとも明らかな原因となるような粉じん暴露は除外疾患になる。こうした危険因子を含む環境因子に過剰に反応すると思われる遺伝子多型の報告は少なくないが、明らかな遺伝性をしめす間質性肺炎は家族性肺線維症として区別される。サーファクタント蛋白やその放出する機序にかかわる遺伝子の異常のなかに、家族性肺線維症の原因となるものが知られている。 |
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■臨床症状と検査所見 |
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以下の症状や所見はIPFを中心に記述してある。歴史的にもIPF以外の特発性間質性肺炎(IIPs)は新たな病理像として見出されたものであり、臨床症状や検査所見は共通するところが多い。一部にIPF以外のIIPsの対照的特徴を記述した。 |
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1)臨床所見 |
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IPFの発症は通常緩徐で、検診発見例では無症状の場合もあるが、乾性咳嗽や労作時呼吸困難を主症状とする。乾性咳嗽は鎮咳薬ではおさまり難いこともある。聴診上、捻髪音(fine crackles)は90%前後に認める。疾患が進行するにつれて、捻髪音が聞かれる領域は肺野全体へと広がる。ばち状指は30~60%前後に認められる。進行すればチアノーゼ、肺性心、末梢性浮腫などがみられる。肺以外の症状はみられない場合も多いが、体重減少、倦怠、疲労が認められることがある。発熱はない場合が多い。発熱している場合は感染症併発、急性増悪あるいはIPF以外の間質性肺炎が示唆される。IPF以外のIIPsの臨床症状はIPFと臨床症状は類似するが、聴診上捻髪音を聴取することは少ない。膠原病に伴う間質性肺炎を除外するため、膠原病を示唆するような症状や徴候は慎重に聞き出す必要がある。 |
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2)検査所見 |
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a) 血液所見 |
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間質性肺炎の血清マーカーとしてKL-6、SP-A、SP-Dは、特発性肺線維症(IPF)や非特異性間質性肺炎(NSIP)などの特発性間質性肺炎でもで高率に陽性となり、病態のモニタリング、治療反応性の評価に有用とされている。乳酸脱水素酵素(LDH)も高値となる。自己抗体では抗核抗体(ANA)やリウマチ因子がIPF症例の10~20%に認められるが、高い抗体価(>1:160)は膠原病の存在を疑う。CEAやCA19-9、SLXといった腫瘍マーカーの上昇は、間質性肺炎だけでも認めることがあるが、やはり肺癌などの悪性腫瘍が合併していることを除外する必要である。 |
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b) 胸部X線検査 |
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IPF患者の胸部Ⅹ線写真は両側肺野に末梢性、肺底部で網状、小粒状、小輪状~粗大輪状(蜂巣肺)陰影が認められ、しばしば肺容量の減少を伴う。融合性の肺胞陰影がみられるのは稀で、IPFよりもDIPやCOP、NSIPなどの他の疾患が示唆される。肺気腫とIPFが合併している患者では肺容量が正常かあるいは増加し、上葉の血管影減少が認められる。胸膜病変やリンパ節腫張は一般に認めない。 |
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c) 高分解能CT(HRCT) |
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IPFのHRCT所見は、両側下葉背側胸膜下に優位に分布する蜂巣肺に網状陰影を認める(下図)。すりガラス様の濃度上昇は急性増悪以外では限局している。肺が線維化して縮小する(肺の容積減少)と牽引性気管支拡張像や気管支血管影や葉間線の偏位、気管支血管影や胸膜面の不整像(小葉辺縁部優位の線維化)などの特徴を示す。 |
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IPF以外のIIPsでは蜂巣肺を伴うことは稀で、非特異性間質性肺炎(NSIP)では網状・すりガラス状陰影、器質化肺炎(OP)では肺浸潤影(コンソリデーション)を示すことが多い。CT所見による鑑別疾患としては、膠原病肺、薬剤性肺炎、慢性過敏性肺臓炎、サルコイドーシス、石綿肺などがある。間質性肺炎の画像診断は困難なことが多く、専門とする画像診断医のコンサルトをうけることが望ましい。 |
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d) 肺機能検査 |
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一般的にIPFでは拘束性障害(肺活量[VC]と全肺気量[TLC]の減少)が認められる。肺拡散能(DLco)は初期より低下することが多い。重喫煙者では気腫病変を合併するために、肺気量の減少が軽微で、肺気腫による気流閉塞を伴うことがあるため、閉塞性障害としても拘束性障害としても非典型的な所見となる。この場合DLcoが顕著に低下しているために労作時の呼吸困難が著しいので注意が必要である。特発性肺線維症を主とする特発性間質性肺炎では、肺胞気一動脈血酸素分圧較差(AaDO2)が上昇し、安静時でも動脈血酸素分圧(PaO2)や動脈血酸素飽和度(SaO2)が低下する。6分間歩行試験中にでもSaO2の低下が著しいことで、日常生活における労作時呼吸困難を把握しうる。初期のIPF患者では安静時に肺高血圧がみられることはまれであるが、病態が進行すると肺高血圧の合併を認めることがある。 |
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e) 気管支肺胞洗浄(BAL) |
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現時点で、IPF/UIPの、診断、予後推定、経過の評価にBALが必要ではないが、他疾患を除外するために有効な場合がある。なお、IPFでは、NSIPやCOPに比べ、BALの細胞分画ではリンパ球比率は一般には正常に近い。 |
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f) 肺生検と組織所見 |
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IPF/UIPの組織所見は1)小葉間隔壁および胸膜直下組織を中心とした様々な段階の線維化病変(下左図)、2)線維化病変に分布する線維芽細胞巣(fibroblastic foci)(下中図)、3)線維化が亢進した胸膜下組織の蜂巣病変(下右図)、が上げられる。除外すべき所見としては、1)他の間質性肺疾患(例:サルコイドーシス、あるいはランゲルハンス細胞組織球症)の活動性病変を欠く、2)著明な間質性慢性炎症を欠く、3)肉芽腫病変は不明瞭あるいは欠く、4)無機性粉塵蓄積(例:石綿小体)を欠く、ただし炭素色素を除く、5)著明な好酸球増多を欠く、などがあげられる。
IPF以外の特発間質性肺炎に関しては肺生検が確定診断のために必要で、間質性肺炎の分類に詳しい病理医の診断が求められる。その組織像の特徴は表に示した。略号の解説はⅡ.診断基準の表3を参照。 |
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特発性間質性肺炎の病理組織所見の比較:いわゆるパターンによる鑑別(Katzensteinら:一部改変) |
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■診断 |
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まず特発性間質性肺炎以外の原因の明らかな間質性肺疾患を除外した上で、高分解能CT写真の所見を重視し、診断基準に従って、臨床症状としての息切れ・乾性咳嗽・聴診所見、呼吸機能としての拘束性換気障害・拡散障害・低酸素血症などで診断する。IPF以外のIIPsの診断には外科的肺生検による病理診断が必要とされる。的確な診断には間質性肺炎の知識と経験を十分にもった呼吸器内科医、画像診断医、病理診断医の総合的な見解を統合してなされることが望ましい。確実な診断を得たうえで呼吸機能から重症度の条件を満たす患者の場合には厚生労働省特定疾患認定審査調査個人票を記載して申請を行う。なお2011年3月に米国・欧州・日本の各呼吸器学会が合同して特発性肺線維症のガイドラインが発表された(Am J Respir Crit Care Med. 183:788-824, 2011)が、現在の時点で参考にとどまる。 |
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■治療 |
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特発性間質性肺炎に含まれる7疾患のうちIPFとIPF以外の6疾患に対しての治療方針は異なるが、一般にステロイドや免疫抑制薬を中心とした治療薬を用いる。難治性で進行性の肺線維症であるIPFに対しては根治療法が存在せず、従来対症療法が中心であったが、最近は様々な新しい治療の試みの有効性が示されつつある。特に初めて特発性肺線維症患者の治療薬として日本で初めて認可された抗線維化剤pirfenidoneは世界的にもその効果が注目されている。IPF患者に対しては病態に応じての多段階治療が推奨されているが、実際そのエビデンスはまだ確立されていない。HRCT画像で蜂巣病変が確認されても自覚症状もなく安定している場合にはそのまま無治療で経過観察を行う。患者の希望があればNACの吸入療法なども試みられる。咳嗽や労作時呼吸困難などが強くなる傾向を認めるときは専門医による本格的な治療が必要となる。IPF患者が急性増悪を起こした場合は緊急入院をさせて急性肺傷害に準じた治療を行う。IPF以外の間質性肺炎では診断当初からステロイドや免疫抑制剤を用いた積極的な治療を行う、その詳細は下記の治療指針に記述する。 |
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■予後 |
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IPFの診断確定後の平均生存期間は2.5~5年間と報告されている。とくに急性増悪を来たした後の平均生存期間は2ヶ月以内と厳しい。また、間質性肺炎、とくにIPFでは肺癌の合併率が高率であることが報告されており、長期経過観察中の患者でも注意深い観察が必要である。IPF以外のIIPsでは、AIPを除き一般に治療が奏効し、予後は比較的良好であることが多い。 |
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Ⅱ 診断基準 |
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【主要項目】 |
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(1) 原因の明らかな疾患の鑑別 |
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膠原病や薬剤誘起性など原因の明らかな間質性肺炎や、他のびまん性肺陰影を呈する疾患を除外する(表1) |
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(2) 主要症状、理学所見及び検査所見 |
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1.主要症状および理学所見として、以下の1を含む2項目以上を満たす場合に陽性とする。 |
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2.血清学的検査としては、1-4の1項目以上を満たす場合に陽性とする。 |
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3.呼吸機能1~3の2項目以上を満たす場合に陽性とする。 |
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4.胸部X線画像所見としては、1を含む2項目以上を満たす場合に陽性とする。 |
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5.病理診断を伴わないIPFの場合は、下記の胸部HRCT画像所見のうち(1)および(2)を必須要件とする。特発性肺線維症以外の特発性間質性肺炎に関しては、その病型により様々な画像所見を呈する。 |
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(3) 以下の1-4の各項は診断上の参考項目、あるいは重要性を示す。 |
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(4) 特発性肺線維症(IPF) |
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(2)の1~5に関して、下記の条件をみたす確実、およびほぼ確実な症例をIPFと診断する。 |
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(5) 特発性肺線維症以外の特発性間質性肺炎 |
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外科的肺生検(胸腔鏡下肺生検または開胸肺生検)により病理組織学的に診断され、臨床所見、画像所見、BAL所見等と矛盾しない症例。 特発性肺線維症以外の特発性間質性肺炎としては下記の疾患が含まれる。 |
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(6) 重症度判定 |
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特発性肺線維症の場合は下記の重症度分類判定表(表2)に従い判定する。安静時動脈血ガスが80Torr以上をⅠ度,70Torr以上80Torr未満をⅡ度,60Torr以上70Torr未満をⅢ度,60Torr未満をIV度とする。重症度Ⅱ度以上で6分間歩行時SpO2が90%未満となる場合は,重症度を1段階高くする。ただし,安静時動脈血ガスが70Torr未満の時には,6分間歩行時SpO2は必ずしも測定する必要はない。 |
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【参考事項】 |
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(1)特発性間質性肺炎(IIPs)は、びまん性肺疾患のうち特発性肺線維症(IPF)をはじめとする原因不明の間質性肺炎の総称であり、本来その分類ならびに診断は病理組織診断に基づいている。しかし、臨床現場においては診断に十分な情報を与える外科的肺生検の施行はしばしば困難である。そのため、高齢者(おもに50歳以上)に多い特発性肺線維症に対しては、高分解能CT(HRCT)による明らかな蜂巣肺が確認できる場合、病理組織学的検索なしに診断してよい。それ以外の特発性間質性肺炎が疑われる場合には、外科的肺生検に基づく病理組織学的診断を必要とする。 |
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【特定疾患治療研究事業の対象範囲】 |
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診断基準により特発性間質性肺炎と診断された者のうち、重症度分類のⅢ、Ⅳ度の者を対象とする。 |
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表1.鑑別の必要な疾患 |
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表2:重症度分類判定表 |
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表3:略語説明 |
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Ⅲ 治療指針 |
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特発性間質性肺炎(IIPs)では、特発性肺線維症(IPF)とIPF以外の特発性間質性肺炎(IIPs)での治療反応性や予後が異なるために、2つの群に分けて述べる。 |
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1.特発性肺線維症(IPF) |
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IPF/UIPに対して無治療で病態が改善することはありえない。最近まではステロイド薬と免疫抑制剤の併用療法が暫定的な推奨治療であったが、残念ながら世界的にもその有効性は証明されてはいない。したがって、IPF/UIPの治療適応決定は種々の要因から効果と副作用を推測し慎重に決定する必要がある。こうした現状の中では免疫抑制抑制作用がない抗線維化作用薬のピレスパ(pirfenidone)はその効果が期待されている。また服薬で効果が示されているN-アセチルシステイン(NAC)に関しては、吸入療法のみが日本の治療法として開発されてきた。今後はこうした様々な治療法の併用療法による効果がより詳細に検討されていくことが期待されている。 |
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a)各種治療薬 |
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i)NAC (ムコフィリン)吸入 |
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NAC服用剤の臨床効果が海外から報告されたが、残念ながらその服用剤は日本では手に入らない。NAC吸入療法の治療効果の検討が進められている。長期に使っても副作用がほとんどない利点があり、自覚症状が少ない安定期の患者に適している。 |
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ii)pirfenidone (ピレスパ) |
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Invitroの成績ではpirfenidoneはTGFβによるコラーゲン合成の抑制、細胞外matrixの減少、線維芽細胞増殖の抑制作用などを有する。本邦の第Ⅲ相試験では、肺機能の悪化を妨げる効果が明らかになった。特に重症度が軽度で初めて治療を開始される患者で自覚症状の改善効果が報告されている。その副作用として吐き気などを伴う腹部不快感や日光過敏症があるが、薬剤の減量や紫外線防止などの対策が有効である。IPFのどの段階で用いるべき薬剤なのかは近い将来明らかになることが予想される。 |
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iii)プレドニゾロン |
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IPFに対するプレドニゾロン投与はかなり以前から試みられているがその効果は未だに明らかになっていない。したがって開始の量を含めたステロイド量投与のスケジュールも様々である。最近ではその減量時に病態が増悪することが稀ではないことから、開始の投与量をプレドニゾロン換算でせいぜい20mg/日あるいは隔日投与にして症状の改善を見るまで観察する専門施設が多い。ステロイドの副作用としては、感染増悪・誘発、消化性潰瘍、糖尿病、精神変調、骨粗鬆症、満月様顔貌、高血圧などがあり、投与中にはこれらの予防薬や臨床的なチェックが欠かせない。 |
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iv)シクロスポリン (CsA)(ネオーラル) |
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有効性は不明であり保険適応外処方となるが、本邦においてはステロイドについで使用報告例が増加している。用法・用量は100mg-150mg/日で投与開始し、トラフレベルを100ng/ml程度に保つように投与量を調節する。食事内容の影響を受けやすいので食前30分の投与も試みられている。その副作用には、腎障害、高血圧、歯肉肥厚、等があり、薬物相互作用にも十分な注意が必要である。 |
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v)シクロフォスファミド(CPA) |
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最近では膠原病肺を強く疑う以外、特発性間質性肺炎ではあまり使われない。用法・用量は、1.0-2.0mg/kg/day(理想体重、最大用量150mg/day)で、50mg/dayから開始し、7から14日ごとに25mgずつ増量する。副作用には、骨髄抑制、出血性膀胱炎、二次発癌などがある。WBC 4000以下あるいはPLT 10万未満で、改善まで半量あるいは中止とする。この際、1週ごとに経過をチェックし改善がなければ中止する。出血性膀胱炎予防に、毎日多めの水分摂取にて利尿を図り、尿検査を毎月チェックする。出血性膀胱炎が出現時は直ちに投与を中止する。 |
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vi)アザチオプリン(AZP) |
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本邦では使用する施設はほとんどない。用法・用量は、2.0~3.0mg/kg/day(理想体重、最大用量150mg/day)で、50mg/dayから開始し、7から14日ごとに25mgずつ増量する。副作用には、吐気、嘔吐、下痢といった消化器症状、肝障害、骨髄障害がある。白血球数(WBC)4000以下あるいは血小板数(PLT )10万未満で、改善まで半量あるいは中止とする。この際、1週ごとに経過をチェックし改善がなければ中止する。肝機能は毎月チェックし、正常上限の3倍以上となったら減量あるいは中止する。 |
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vii)急性増悪期の新たな治療法の試み |
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従来極めて難治で知られてきたIPFを中心とする間質性肺炎の急性増悪に対しては肺障害に準じた治療を行ってきたが、メチルプレドニゾロン(ソルメドロール)1000mg/日を3日間点滴するステロイド大量療法が最も一般的に用いられている治療法である。最近では急性肺損傷患者の治療に用いられている好中球エラスターゼ阻害薬(エラスポール)やポリミキシンカラム(PMX)を用いる試みがなされ、その治療効果の検証が進められている。急性増悪発症段階において気管支鏡検査は、とくにBALはその後急変する危険性が極めて高いことがよく知られているのでできる限り避けることが望ましい。 |
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b)効果判定と治療期間 |
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IPF/UIP は、基本的に進行性の予後不良の疾患であるので、長期間悪化を防ぐことを目標とすべきである。免疫抑制剤を含む併用療法は効果発現まで時間を要するため、少なくとも6カ月は治療を継続し、国際的な合意にもとづく効果判定(Am. J. Respir. Crit. Care Med. 161: 646-664, 2000)を行う。悪化がなければ治療を継続し以後6カ月ごとに効果判定を行い、悪化あるいは副作用が問題とならなければ治療継続を基本とする。 |
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c)その他の管理上の問題 |
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IPF 患者の管理において、呼吸リハビリテーションの導入が推奨される。IPFの極めて不快な症状の一つに重篤な咳嗽発作がある。経口用コデインまたは他の鎮咳薬が一部の患者に有効であることがある。進行したIPF患者に肺高血圧を合併することがある。肺動脈圧を低下させるために血管拡張薬を投与しても効果がみられず、むしろ重篤な副作用(全身低血圧など)を発現することがある。オピオイドが重度の慢性肺疾患患者に呼吸困難を抑制するのに使用されているが、今のところこの治療の有効性を裏付けるデータはない。 |
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2. IPF以外の間質性肺炎 |
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1)NSIP |
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NSIPには肺病変が発現してしばらくしてから膠原病が明らかとなる「肺先行型」と考えられる場合が少なくないこともあり、 IPF に比べステロイド療法に反応することが多く(特にリンパ球浸潤が顕著なcellular NSIP)、予後は一般に良好とされる。しかし、線維化所見が顕著なNSIP(fibrotic NSIP)の治療反応性は乏しく、IPFと同様の難治性で予後も変わらないとの報告もある。一般にプレドニゾロン0.5~1.0mg/kg/日を初期投与量とし、4週間投与後の反応を確認しながら漸減するが、20mg/日あるいは隔日の中等度量にネオーラルなどを加えた治療法もよく用いられる。治療中にも膠原病発症の可能性を考えて定期的に検査を行う。fibrotic NSIPではIPFに準ずる治療を行う。 |
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2)COP |
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一般にステロイド療法に対する反応は良好であり、多くの症例は3ヶ月程度で改善する。経験的にプレドニゾロン0.5~1.0mg/kg/日を初期投与量とし、4週間投与後の反応を確認しながら漸減する。漸減やステロイド療法終了後1~3ヶ月以内に再発することも少なくないことから、6ヶ月から1年間は治療を継続することが推奨されてきた。治療反応不良症例はIPFに準じて種々の免疫抑制剤を試みる。 |
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3)DIP |
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ほとんどの患者は、禁煙とステロイド治療で改善する。 |
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4)RBILD |
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DIPとの関係がまだ不明瞭な疾患であり、DIPに準じた治療をとられる。 |
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5)LIP |
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原因が特定されないLIPは稀な疾患であり、膠原病やリンパ腫疾患、HTLV-1感染症などの除外が必須である。これまではNSIPがLIPと分類されてきたとも考えられており、NSIPに準じた治療が行われる。 |
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6)AIP |
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本邦ではAIPに対し、ステロイド大量療法(パルス療法:メチルプレドニゾロン1,000mg/日の3日間点滴静注を)を病状の安定化が見られるまで1週間間隔で3~4回投与されることが多い。また、大量療法後にも画像上陰影が残存し、肺機能障害が十分に改善しない場合にはIPFに準じ、ステロイド薬と免疫抑制薬の併用療法を行う。またシクロフォスファミド(CPA)大量療法(500mg/日、一回/2~4週毎)やシクロスポリンが有効とする報告もある。ステロイドや免疫抑制剤の大量療法が継続する場合に、薬剤固有の副作用に加え、感染症の合併には十分な注意と対策を要する。重症呼吸不全に対しては酸素療法や人工呼吸器管理が必要とされる。 |
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びまん性肺疾患に関する調査研究班から |
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特発性間質性肺炎(公費対象)
とくはつせいかんしつせいはいえん
| 研究班名 | 呼吸器系疾患調査研究班(びまん性肺疾患) |
|---|---|
| 情報更新日 | 平成23年7月19日 |






