ビタミンD抵抗性くる病/骨軟化症(指定難病238)
1. 「 ビタミンD抵抗性くる病/骨軟化症」とはどのような病気ですか
血液中のリンの値が低いために、骨や軟骨の石灰化が正常に起こらず、成長障害や骨変形、骨痛などがおこる病気です。 ビタミンD不足によっても同様な症状が起こりますが、この病気は 遺伝子の変化 によることが多く、病気としては区別され、生理量の ビタミンD治療により治癒しないので ビタミンD抵抗性と呼ばれます。成人期では ビタミンD抵抗性骨軟化症と呼ばれますが、小児期には成長も障害され、骨X線検査で特徴的な所見を呈し、 ビタミンD抵抗性くる病と呼ばれます。
2. この病気の患者さんはどのくらいいるのですか
日本の疫学的な研究では年間100例程度の新規の患者さんがいると考えられます。
3. この病気はどのような人に多いのですか
遺伝性のものでは、家族・親戚に同様な症状を示す方がいる場合があります。
4. この病気の原因はわかっているのですか
種々の遺伝子の異常により、リンを尿中に過剰に排泄してしまう線維芽細胞増殖因子23(FGF23)というホルモンが高値になることが原因です。FGF23が上昇する原因は、遺伝子変異や腫瘍によるもの、薬剤によるものなど多様です。
5. この病気は遺伝するのですか
遺伝性を示す疾患と、遺伝しない場合とがあります。
6. この病気ではどのような症状がおきますか
小児期に発症するくる病では、成長障害、骨の変形、関節の腫脹、歩行異常などが認められます。成人発症の骨軟化症では、骨痛、骨折、筋力低下などがみられることがあります。検査としては、低リン血症、高アルカリホスファターゼ血症、尿中へのリンの過剰排泄などが見られます。
7. この病気にはどのような治療法がありますか
リン製剤と活性型ビタミンD製剤の内服が使用されてきました。2019年に、FGF23の作用を阻害する抗体治療が認可され、使用可能となりました。
8. この病気はどういう経過をたどるのですか
腫瘍によるものや薬剤によるものは、腫瘍の摘除や薬剤の中止により治癒する場合があります。遺伝子異常による疾患では、一部成人になると治療が不要となる場合がありますが、通常生涯に渡り治療が必要です。
9. この病気は日常生活でどのような注意が必要ですか
多くの場合、継続的な服薬が必要で、定期的に受診する必要があります。
10. 次の病名はこの病気の別名又はこの病気に含まれる、あるいは深く関連する病名です。 ただし、これらの病気(病名)であっても医療費助成の対象とならないこともありますので、主治医に相談してください。
原発性低リン血症性くる病
低リン血症性くる病/骨軟化症
FGF23関連低リン血症性くる病/骨軟化症
X染色体連鎖性低リン血症性くる病/骨軟化症
研究班名 | ホルモン受容機構異常に関する調査研究班 研究班名簿 |
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情報更新日 | 令和4年3月 |