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甲状腺ホルモン不応症

こうじょうせんほるもんふおうしょう

(指定難病一覧(概要、診断基準等・臨床調査個人票))

1. 「甲状腺ホルモン不応症」とはどのような病気ですか

甲状腺という臓器はのどぼとけの下にあって、甲状腺ホルモンというホルモンを作っています。このホルモンは、血液の流れに乗って心臓や肝臓、腎臓、脳など体のいろいろな臓器に運ばれて、身体の新陳代謝を盛んにするなど大切な働きをしています。甲状腺ホルモンが多すぎると、暑がりになり、動悸が激しくなったり汗かきになったりします。逆にこのホルモンが少なくなると、寒がりになり、汗が減って皮膚が乾燥するなどの症状が出ます。甲状腺ホルモンは脳の発達にも重要で、赤ちゃんの時に甲状腺ホルモンが不足すると知能発達遅延などの障害を引き起こすこともあります。甲状腺ホルモン不応症というのは、甲状腺ホルモンは血液の中にたくさんあるのにホルモンが十分働かなくなる、生まれつきの病気です。甲状腺ホルモンの効きが悪いため、体はもっとたくさんのホルモンが必要だと認識して、さらにたくさんのホルモンを作るという状態になっています。その結果、甲状腺ホルモンの働きが弱まった分を甲状腺ホルモンが増えることにより補っている状態となっています。

2. この病気の患者さんはどのくらいいるのですか

これまでに全世界で3,000人以上が報告されており、日本でも100人ほどの患者さんが報告されています。ただ、この病気は4万人に1人くらいの割合で発症するという論文もありますから、多くの患者さんは、「この病気であることを知らない」、または「診断されていないまま」「バセドウ病などと診断されている」と思われます。

3. この病気はどのような人に多いのですか

特定の人に多いということはありません。甲状腺の病気は一般に男性より女性がかかりやすいのですが、この病気は特に女性に多いとか、男性に多いということはありません。また、様々な人種で見つかっています。

4. この病気の原因はわかっているのですか

甲状腺ホルモンが体の中で働くには、細胞の核の中にある甲状腺ホルモン受容体という蛋白質に結合しなければなりません。この病気のほとんどの人では、β型という種類の甲状腺ホルモン受容体の遺伝子の異常が原因であることが知られています。一方、甲状腺ホルモン不応症であっても甲状腺ホルモン受容体遺伝子に異常が見つからない患者さんもいます。

5. この病気は遺伝するのですか

はい。遺伝する病気で、常染色体優性遺伝という形式で子孫に伝わります。この病気であると2分の1の確率で子供に遺伝します。しかし、両親のいずれにもこの病気がなく、患者さんの代になって初めて突然変異が起こり、この病気になることもよくあります。

6. この病気ではどのような症状がおきますか

大多数の患者さんでは、甲状腺が大きく、腫れたようになりますが、自覚症状がない患者さんも多くいます。この病気では甲状腺ホルモンの作用が弱まっていますので、甲状腺ホルモンが足りない時の症状が出るのでは?と考えられがちです。しかし、甲状腺ホルモンの効きが悪いため、体はもっとたくさんのホルモンが必要だと認識して、さらにたくさんのホルモンを作ろうとしています。その結果、甲状腺ホルモンの働きが弱まった分を甲状腺ホルモンが増えることにより補っている状態となります。ですから、多くの場合ホルモン不足の症状はでません。一方、心臓では甲状腺ホルモンの働きが弱まる程度がずっと少ないため、血液の中の甲状腺ホルモンが増えた状態の影響を受けやすくなっています。ですから、ホルモンが多すぎる患者さんと同じように脈拍数が増えて心臓がドキドキする患者さんもいます。また、落ち着きのない(注意欠陥多動障害)患者さんも多いことが報告されています。一部の重症な患者さんでは、生まれつき甲状腺ホルモンが足りない場合の症状である、知能発達遅延、低身長や難聴といった障害を伴うこともあります。

7. この病気にはどのような治療法がありますか

患者さんの多くは特に治療を受けなくても正常の人と変わりない生活を送ることができますので、ほとんどの場合治療は必要としません。ただ、脈が速いという症状が出ている患者さんには、それを抑える薬が必要です。人によっては、脈が早いだけでなく、心房細動という心臓の病気に至ることもあるからです。この場合、一般的には飲み薬が使われます。

8. この病気はどういう経過をたどるのですか

ほとんどの患者さんは特に薬を使うことなく正常の人と同じように暮らしておられ、実際に診断されることなく過ごされている方が多数であると考えられます。ただし、心房細動という心臓の病気に至った場合脳梗塞の危険が高まるので治療が必要です。また、患者さんが変異を持たない正常の赤ちゃんを妊娠した場合は、増えている甲状腺ホルモンが正常に効き赤ちゃんが小さくなることがあります。

9. この病気は日常生活でどのような注意が必要ですか

ほとんどの患者さんは正常の人と変わりない生活を送ることができます。ただ、脈が速い方は無理な運動等は避けたほうが良いと思われます。

10. この病気に関する資料・関連リンク


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情報提供者
研究班名 ホルモン受容機構異常に関する調査研究班
研究班名簿   
情報更新日平成26年12月28日