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メチルグルタコン酸尿症(指定難病324)

めちるぐるたこんさんにょうしょう

(概要、臨床調査個人票の一覧は、こちらにあります。)

1.「メチルグルタコン酸尿症」とはどのような病気ですか。

メチルグルタコン酸尿症は一つの病気ではありません。尿の中にメチルグルタコン酸尿症が排出されるいくつかの病気を総称して「メチルグルタコン酸尿症」と呼んでいます。この病気は細胞内でエネルギーを作り出し、細胞の発電所と言われているミトコンドリアの障害に関係する、少なくとも5つの異なる疾患であると考えられています。
メチルグルタコン酸尿症Ⅰ型
この病気はタンパク質を作っているアミノ酸の一つであるロイシンが分解されていく途中でうまく新陳代謝できなくなる病気です。この病気は言葉の遅れなどの軽度の障害をきたす病気と思われていましたが、最近では子供のころは熱性けいれんを繰り返えしたり、重度の発達障害や意識障害を引き起こすライ症候群を引き起こすことも報告されています。成人では認知症や体がふらふらするようなことが起きるとされています。
メチルグルタコン酸尿症Ⅱ型 バース(Barth)症候群
この病気では細胞内の発電所であるミトコンドリアが障害されています。そのため体の中で一番エネルギーを使用する心臓が弱り、心不全や脈が乱れる不整脈などが起きます。このほか細菌と戦う白血球が減ってしまい敗血症などの重い感染症になることもあります。体の筋肉もエネルギー不足で力が弱くなり、体の動きがうまくいかないこともあります。背が伸びず他の人よりかなり背が低くなることもあります。
どのような仕組みでこの病気の人の尿にメチルグルタコン酸が多量に排泄されるかは分かっていません。
メチルグルタコン酸尿症Ⅲ型 コステフ(Costeff)症候群
この病気ではミトコンドリアが働くために必要なたんぱく質が作られない。このため体を作っている細胞が死滅しやすくなるといわれています。目が見えなくなることが主な症状で、そのほかいろいろな神経の症状(姿勢維持不能, 筋緊張低下, 不随意運動)や認知症が認められます。
メチルグルタコン酸尿症Ⅳ型
Ⅰ型、Ⅱ型、Ⅲ型に属さない疾患がⅣ型と呼ばれています。最近ミトコンドリアのエネルギーを作り出す仕組みである呼吸鎖というところの異常がたくさん報告されています。
メチルグルタコン酸尿症Ⅴ型
最近心臓が弱くなる病気(拡張型心筋症)と体がふらふらすることが合併する疾患、DCMA症候群がⅤ型と呼ばれています。

2.この病気の患者さんはどのくらいいるのですか

Ⅰ型:世界で約20例、日本では2例だけです。
Ⅱ型:この病気は男の子だけに起こります。1/20万男乳児と言われています。日本では男の子が50万人生まれますので、この計算だと年に2.5人の患者さんが見られることになります。
Ⅲ型:1/10,000 イラクのユダヤ人新生児と報告によっては頻度が高いこともあります。
Ⅳ型、Ⅴ型:頻度は不明です。

3.この病気はどのような人に多いのですか。

患者さんの数が極めて少ないので、詳しいことは分かっていません。

4.この病気の原因は分かっているのですか。

最初に述べたように細胞の発電器官であるミトコンドリアの働きに何らかの悪さが起きてくるためにに起こってくる病気です。このため細胞内でのエネルギー不足が引き起こされいろいろな症状が出現するものと考えられています。
Ⅰ型、Ⅱ型、Ⅲ型、Ⅴ型はこの病気を引き起こす原因が遺伝子レベルで分かっています。
Ⅰ型:AUH 遺伝子、Ⅱ型:TAZ 遺伝子、Ⅲ型: OPA3 遺伝子、Ⅴ型:DNAJC19遺伝子と考えられています。

5.この病気は遺伝するのですか。

遺伝する可能性のある病気もあります。I 型と III型は常染色体劣性遺伝と言って、次の子どもが4人いるとすれば1人は同じ病気になる可能性があります。血族結婚を避ければ今後同じ病気の方が現れる可能性はほとんどありありません。II型はx染色体関連遺伝病と言われており、女性の全く元気な保因者と言われる人を介して遺伝します。しかしながら孤発例と言って遺伝ではなく初めてこの患者さんに病気が出現することもあり、この病気がいわゆる遺伝して起きたかは十分な検査を行って初めてわかることです。遺伝子の病気と遺伝する(遺伝してきた)病気とは少し異なります。
遺伝に関することでご心配な方は遺伝カウンセリングをお受けになることをお勧めします。

6.この病気ではどんな症状が起きますか。

1.の病気の説明のところで述べたようないろいろな症状が起きるとされています。また病気の型により症状は異なりますし、同じ病型でも患者さんによって起きる症状は違うことは重要なことと考えられます。

7.この病気にはどのような治療法がありますか。

ミトコンドリア病の治療法は現在いろいろなものが開発されつつありますが、非常に有効であるというものはないのが現状です。カルニチンが有効という報告もあるが、かえって良くないという報告もあります。
患者さんに起きている症状を軽減させる治療法、例えば心臓の力が弱っているときにはいろいろな心臓の働きを助ける薬が有効です。心臓移植なども治療法の一つとして考えられています。神経の症状があるときにはそれぞれの症状を軽減させる治療法があります。白血球が減っている場合には白血球を増やす薬があります。
どのような治療法が良いかは、患者さんの年齢、症状の種類などにより人それぞれですので、それぞれの患者さんの主治医とよく相談して決定することが必要と思われます。

8.この病気はどのような経過をたどるのですか。

患者さんの数が極めて少ないためはっきりしたことは分かっていません。また患者さんによってその経過は大きく異なることも考えられます。ことに子供のころの症状と大人になってからの症状のつながりなども全くわかっておりません。

9.この病気では日常生活でどんな注意が必要ですか。

突然の急性増悪もⅠ型の患者さんには考えられるので、発熱時や感染時にはきちんと食事がとれるように心がけることが大切です。体調がすぐれないときにはなるべく早くかかりつけの医師と相談して対応することが必要です。


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情報提供者
研究班名 先天代謝異常症の生涯にわたる診療支援を目指したガイドラインの作成・改訂および診療体制の整備に向けた調査研究班
研究班名簿   
新規掲載日平成29年7月7日