メニュー


HOME >> 病気の解説(一般利用者向け) >> β-ケトチオラーゼ欠損症(指定難病322)

β-ケトチオラーゼ欠損症(指定難病322)

べーたけとちおらーぜけっそんしょう

(概要、臨床調査個人票の一覧は、こちらにあります。)

1. 「β-ケトチオラーゼ欠損症」とはどのような病気ですか

β-ケトチオラーゼ欠損症では、イソロイシンというアミノ酸の代謝と、ケトン体という代替エネルギーの利用が障害されます。そのため、体の中にイソロイシン代謝系の2-メチル-3-ヒドロキシ酪酸、2-メチルアセト酢酸などの酸が蓄積します。これはタンパクを多く取り過ぎても蓄積しますが、逆に空腹で体のタンパクが壊されても蓄積すると考えられます。一方ケトン体であるアセト酢酸、3-ヒドロキシ酪酸は肝臓において空腹やストレスに伴って産生されますが、この酵素が欠損するためにこれを利用することができず、血中にアセト酢酸、3-ヒドロキシ酪酸が蓄積し体が酸性に傾きます(これをアシドーシスと言います)。そのためこの疾患においては空腹やストレスを避けることが重要です。アシドーシスが非常に強くおこると、意識障害、多呼吸をきたし、死に至ることや後遺症を残すことがあります。 日本では“新生児マススクリーニング”の2次対象疾患としてスクリーニングされている都道府県と、スクリーニングされていない都道府県があります。

2. この病気の患者さんはどのくらいいるのですか

約200万人の新生児マススクリーニングパイロットテストで本疾患は見つかっておらず、稀と考えられます。しかし本症は患者すべてを新生児マススクリーニングで発見できないため実際の発症頻度についてはわかっていません。日本で少なくとも9例の報告があります。

3. この病気はどのような人に多いのですか

特にどのような人に多いということはありません。もちろん常染色体劣性遺伝の疾患なので,一般に両親が近親婚の場合はリスクが上がります。兄弟に本症の方がいる場合は5で示すように1/4の確率で他の兄弟も疾患を持つ可能性があります。

4. この病気の原因はわかっているのですか

ミトコンドリア アセトアセチル-CoAチオラーゼという酵素をコードしているACAT1遺伝子に変異があることが原因です。遺伝子変異があると酵素の正常機能が発揮されず、病気の症状が出ます。

5. この病気は遺伝するのですか

β-ケトチオラーゼ欠損症の原因となる酵素は、ACAT1遺伝子を基に作られます。ヒトは同じ遺伝子を2つ持っていますが、患者では遺伝子の2つともに酵素機能不全を起こす変異があります。遺伝子は両親から受け継ぎますので、β-ケトチオラーゼ欠損症の患者さんの両親は変異のある遺伝子を1つずつ持っており、両親は保因者と呼ばれます。保因者である両親からは1/4の確率で患児が生まれます。

6. この病気ではどのような症状がおきますか

多くは生後6か月から2歳頃に、感染や飢餓により、最初の重篤なアシドーシスを起こします。体が酸性に傾き、嘔吐、多呼吸、意識障害をきたします。アシドーシスの程度は一般に強く、重篤な後遺症を残すことがあります。
食事が十分とれており、ストレス状態になければ、通常まったく症状はありません。したがって上記の初回発作は、それまでまったく正常に成長発達してきたお子さんが急に状態が急変することになります。

7. この病気にはどのような治療法がありますか

急性期のアシドーシス発作時には、生命の危険も有り集中治療が必要です。呼吸の補助が必要になることもあります。十分なブドウ糖の輸液、カルニチンの投与、アシドーシスの補正などが行われます。中には血液浄化療法を必要とする場合もあります。非発作時の対症的な治療としては、空腹時間を長くせず、発熱や嘔吐などケトン体産生ストレス時には早期のブドウ糖輸液で、発作を未然に防ぐことが重要です。カルニチンの補充もおこないます。イソロイシン摂取制限のため、軽度にタンパクを制限した食事をすすめることもあります。成人期以降においても、カルニチン補充療法を継続することが望ましいと考えられます。

8. この病気はどういう経過をたどるのですか

一般に生後6か月から2歳ごろに感染、空腹などを契機に重篤なケトアシドーシスで発症して診断され、その後重篤な発作を繰り返さないように注意することにより発作頻度や重症度は軽減すると考えられています。10歳をこえる頃から発作の頻度は減少し、成人期には発作は稀と考えられていますが、成人期にどのような症状を起こすのか報告が少なく、根本的に代謝系が修復されたわけではないので注意は必要です。

9. この病気は日常生活でどのような注意が必要ですか

この疾患は、ひとたび重篤なアシドーシス発作をきたすと、毎回生命的にも危険です。そのため発作を起こさないように、起こしても軽くすむように十分注意していくことが重要です。一般に10歳を超えると発作の回数は減少すると考えられていますが、油断することなく、経過をみていく必要がある疾患です。成人においても食事を含めた生活の乱れにより病状が悪化することがあるので注意が必要です。

10. この病気に関する資料・関連リンク

日本先天代謝異常学会/新生児マススクリーニング対象疾患等診療ガイドライン


治験情報の検索:国立保健医療科学院
※外部のサイトに飛びます。
情報提供者
研究班名 先天代謝異常症の生涯にわたる診療支援を目指したガイドラインの作成・改訂および診療体制の整備に向けた調査研究班
研究班名簿   
新規掲載日平成29年7月24日