メープルシロップ尿症(指定難病244)

めーぷるしろっぷにょうしょう
 

(概要、臨床調査個人票の一覧は、こちらにあります。)

この病気はどうやって見つかるのですか

この病気は 新生児マススクリーニング の対象疾患となっています。出産後、数日目に採血して検査されることで発見することができます。この検査が陽性で発見される無症状の患者様もおられますが、古典型と呼ばれる非常に重症のお子様では、この検査よりも前に活力低下、哺乳不良、痙攣などの症状で発症される場合もあります。

どのような症状をきたすのですか

古典型と呼ばれる重症の患者様の場合には、生後1週間程度で嘔吐、活力低下、哺乳不良、嘔吐、痙攣、意識レベルの低下、などの症状で発症します。一方で、新生児期には無症状であり、風邪(感染症)などをきっかけとして、嘔吐や意識レベルの低下、あるいは長期的な発達の遅れなどで気がつかれるケースもあります。このようなケースでは、新生児マススクリーニングでは発見しにくく、無症状の時に検査をしても異常が見つからず、症状がある時点で検査をする必要があります。

治療はいつから開始するのですか

古典型と呼ばれる重症のタイプは、症状が強いため通常は新生児集中治療室などに入院してすぐに治療が開始されます。無症状で新生児マススクリーニングで血中ロイシン+イソロイシンの上昇を認めた場合は、発作を起こさないように注意しながら確定診断の検査を進めます。場合によっては診断前ですが、入院して治療を行う場合があります。

治療はいつまで続けるのですか

血液中のロイシン濃度を75-300μmol/Lとなるように分岐鎖アミノ酸除去ミルクを用いて治療を行います。成人になっても生涯治療を続ける必要があります。

ロイシン・イソロイシン・バリンはどのような食べ物に含まれていますか

すべての蛋白質に含まれています。魚>肉>卵に多く含まれています。

妊娠中に胎児への影響があると聞いたのですが、そのような影響なく普通の子供を出産することができますか

妊娠中には特に頻繁に検査を行い、厳格にコントロールすることが推奨されます。目標値は、ロイシンが75-300μmol/l、イソロイシンおよびバリンが200-400μmol/lとされています。特に妊娠悪阻の場合は、ブドウ糖の点滴などで積極的に異化の亢進を抑制することが推奨されています。妊娠中に使用されるサプリメント(ビタミン、微量元素)は必要量投与しても構いません。分娩前後及び分娩後の2週間は特に注意が必要であり、6週間くらいは綿密に診察と検査が必要です。過去の患者様のケースでは、いずれも妊娠出産で分岐鎖アミノ酸の上昇により管理が不安定になっており、注意が必要であるが、最終的に児は無事に出産されおり、その後の数年間の発育発達にも問題が起きていないことが報告されていますので、管理になれた専門施設でしっかり管理をしてもらうことが良いと考えられます。

 

情報提供者
研究班名 新生児スクリーニング対象疾患等の先天代謝異常症の成人期にいたる診療体制構築と提供に関する研究班
研究班名簿 研究班ホームページ
情報更新日 令和5年1月(名簿更新:令和5年6月)