特発性大腿骨頭壊死症(指定難病71)

とくはつせいだいたいこつとうえししょう

(概要、臨床調査個人票の一覧は、こちらにあります。)

生活する上で注意しないといけないことは何ですか。

症状が軽い場合は、立ち仕事や階段昇降や重い荷物をもつことを避けて、杖を使用して大腿骨頭に負担がかからないようにしたり、鎮痛薬を用いたりします。体重を増やさないように心がけ、長い距離を歩かないようにしましょう。壊死は大腿骨頭の前方に発生することが多く、股関節を曲げる姿勢(しゃがんだり、前屈したりする姿勢)で壊死部に体重がかかってしまうので、その様な姿勢を避けることも必要です。こうした治療法で効果がないときは徐々に大腿骨頭の圧潰が進みますので、手術をためらって時機を逸することを避けるべきです。この病気に詳しい股関節専門医を受診して、今後の方針についてよく話し合うことが重要です。

大腿骨骨折後にも骨壊死が起こる場合があると聞きましたが、これは特発性大腿骨頭壊死症ではないのですか?

特発性大腿骨頭壊死症ではなく、外傷性大腿骨頭壊死症といいます。大腿骨頸部骨折では、転位(骨のならびがずれてしまう状態)を生じるようなひどい骨折を生じた際には、大腿骨頭を栄養する血管がダメージを受けていることが多く、たとえ骨接合術をうけて骨折部は治癒しても、大腿骨頭への血流が途絶え、骨壊死を生じる場合があります。特発性大腿骨頭壊死症と違って、骨折という外傷によることが明確ですので、特発性ではありません。

大腿骨頭の骨壊死の範囲について、どのくらいの大きさの壊死になると潰れやすいのでしょうか?

大腿骨頭が圧潰するかどうかは、体重のかかる荷重部における、壊死範囲の大きさによります。壊死範囲が荷重部に対して3分の2を以上の大きさになると、圧潰する危険性が高いと報告されています。なお壊死範囲は、発生時に大きさがほぼきまっていて、MRIで病初期から検査しても、徐々に大きくなることはないといわれています。レントゲン検査ではすでに存在する骨壊死が徐々に明瞭になってきます。

大腿骨頭の骨壊死は消失したり再生したりすることはないのでしょうか?

小さな壊死範囲の骨壊死では消失する場合も報告されています。ただし圧潰の危険性のあるような、荷重部に対して3分の2を以上の大きさを占めるものでは消失し自然に再生することはないようです。

大腿骨頭特発性大腿骨頭壊死症と診断されて3年が経過しています。手術を要するタイミングはどうでしょうか?

症状がなくあっても軽微で、単純X線検査で大腿骨頭の圧潰が見られなければ、その時点で手術をする必要はありません。しかしながら徐々に大腿骨頭の圧潰が進み症状が強くなる場合は、手術をためらって時機を逸することを避けるべきです。この病気に詳しい股関節専門医を受診して、今後の方針についてよく話し合うことが重要です。


情報提供者
研究班名特発性大腿骨頭壊死症の確定診断と重症度判定の向上に資する大規模多施設研究班
研究班名簿 
情報更新日令和4年12月(名簿更新:令和5年11月)