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エマヌエル症候群(指定難病204)

えまぬえるしょうこうぐん

(概要、臨床調査個人票の一覧は、こちらにあります。)

1. 「エマヌエル症候群」とはどのような病気ですか

【染色体とは】
私たちの体はすべて細胞でできています。1つ1つの細胞には核という場所があり、生きていくために必要な体の構成成分の設計図である約2万種類の遺伝子の集合である「染色体」が収められています。ヒトは、23本の染色体を2セット、合計46本の染色体をもっています。このうち、男性、女性共通の22本の染色体には、1番から22番までの番号が付けられており、常染色体と呼んでいます。一方、男女それぞれに特有な染色体のXとYは性染色体と呼び、男性はXとYを1本ずつ、女性はXを2本もっています。常染色体、性染色体ともに、それらの数が増えたり、足りなくなったりすると病気がおこります。また同様に、染色体の一部分が失われたり、あるいは多すぎたりしても病気の原因になることがあります。


【エマヌエル症候群とは】
ときどき、ある染色体の一部分が、ほかの染色体の一部分と入れかわることがあります。これを転座染色体と呼びます。染色体の一部分がお互いに入れかわっていると、全体としては遺伝子の量には過不足がないので、多くの場合は症状が出ず、また本人すら気づくこともありません。このような転座染色体をもつ方を転座保因者と呼びます。ところが、転座保因者がお子様をもうけようとする時、流産をくり返したり不妊になることがあります。卵子もしくは精子がつくられる時に細胞が2つに分かれる細胞分裂を起こしますが、その時に染色体も2つの細胞に分配されます。しかし、転座染色体があると、染色体の分配の仕方によっては遺伝子の過不足を生じることがあります。そのような卵子、精子が受精した場合には、流産になったり、染色体の病気の児の出生となります。もちろん、染色体の分配にはいろいろなパターンがあり、健康な児となることもあります。
染色体の転座はさまざまな染色体の間や位置で生じます。11番と22番が転座した染色体をもつ転座保因者の場合、多くの場合は流産となりますが、一部のお子様は46本の染色体に22番転座派生染色体が加わった合計47本の染色体をもって生まれることができ、その場合にエマヌエル症候群という染色体の病気になります。
エマヌエル症候群は、古くは22番過剰派生染色体症候群、11/22混合トリソミー、部分トリソミー11/22などと呼ばれていましたが、長年、この転座の研究を行ってきた米国のエマヌエル博士にちなんで、2004年にエマヌエル症候群と名づけられました。
 

2. この病気の患者さんはどのくらいいるのですか

エマヌエル症候群の患者さんは世界中におられ、北米の患者会では約200名を把握していますが、どちらかといえば患者さんの数が少ない染色体疾患のひとつです。日本での実態調査では、数十人が把握されています。

3. この病気はどのような人に多いのですか

ほとんどは、カップルのいずれかが11番と22番の決まった位置で生じた染色体転座保因者から生まれたお子様です。

4. この病気の原因はわかっているのですか

11番と22番染色体の一部分が過剰になることが原因です。その中には、多くの遺伝子が含まれており、どの遺伝子が症状に関係しているかはまだわかっていません。

5. この病気は遺伝するのですか

この11番と22番の転座保因者のお子様は、多くの場合は、一般的な染色体の健康な児、もしくは、あるいは親と同じ健康な転座保因者となります。出生児がエマヌエル症候群となるのは、一般的に6%ほどとされています。

6. この病気ではどのような症状がおきますか

生まれつきの心臓の疾患や、口の中の天井の部分が閉じていない口蓋裂などが多くみられます。そのほかに肛門が上手く作られない鎖肛や腎臓の奇形などもありますが、症状はさまざまです。また、けいれん、中耳炎などの感染症も繰り返すことが多いです。発達面では、精神的な発達と運動機能の発達の問題が生じます。

7. この病気にはどのような治療法がありますか

染色体の病気は現時点では原因を治療することは難しいので、それぞれの症状を治療していくことになります。

8. この病気はどういう経過をたどるのですか

エマヌエル症候群は、染色体が関係している疾患とわかってから、まだ30年ほどしか経過していません。また、患者さんについての論文などの報告は、ほとんどが乳児期や幼少期のものであるため、長期的な経過はよくわかっていません。しかし、幼少期に心臓の病気や呼吸器の症状をコントロールすることができれば、その後は落ち着くと考えられます。また、中耳炎などの感染症を繰り返しますが、成人になると次第に軽減されるようです。

9. この病気は日常生活でどのような注意が必要ですか

会話によるコミュニケーションをとることは難しいので、手話や指を使ったサイン、身体全体を用いたサインにて、コミュニケーションをとります。発語は少ないのですが、言葉の理解の方が発達します。中耳炎の治療などのきこえに対する配慮をしつつ、それぞれの患者さんにあったコミュニケーション法をみつけることが大切です。

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情報提供者
研究班名 マイクロアレイ染色体検査でみつかる染色体微細構造異常症候群の診療ガイドラインの確立研究班  
新規掲載日平成27年9月1日