メニュー


HOME >> 病気の解説(一般利用者向け) >> ランドウ・クレフナー症候群(指定難病155)

ランドウ・クレフナー症候群(指定難病155)

らんどうくれふなーしょうこうぐん

(概要、臨床調査個人票の一覧は、こちらにあります。)

1. 「ランドウ・クレフナー症候群」とはどのような病気ですか

ランドウ・クレフナー症候群とは、言葉理解の障害と特徴的な脳波所見を示す病気です。すなわち、それまで聴力や会話に関して普通の発達を示していた2から10歳くらいのこどもが、突然、そして進行性にこれまでは理解できていた言葉がわからなくなり、眠っている時の脳波検査で脳全体に拡がるてんかん性異常波が持続するという所見が認められる症候群です。

2. この病気の患者さんはどのくらいいるのですか

これまでに世界でも200例程度の報告しかなく、2014年の調査では、日本全体でも30人ほどしかいないと推定されています。

3. この病気はどのような人に多いのですか

2から10歳くらいのこどもに発症し、およそ2倍程度で女児より男児に多いとされています。

4. この病気の原因はわかっているのですか

明確な原因はわかっていません。しかし、頭部MRIなどから側頭葉という部位に脳の異常が認められることが多いこと、ステロイドや免疫グロブリンが効くことから、側頭葉の異常や脳の中の炎症、免疫反応が関与している可能性が推定されています。その他に近親者に類縁疾患が発症しやすいことなどから、最近では、GRIN2ASRPX2ELP4などの遺伝子の異常が関連していることが推測されています。

5. この病気は遺伝するのですか

現在わかっている範囲では、ランドウ・クレフナー症候群の患者さんのこどもが、必ずしも、ランドウ・クレフナー症候群を発症するとは言い切れません。家族性ランドウ・クレフナー症候群、近親者にランドウ・クレフナー症候群、またはその類縁疾患と言われる睡眠時持続性棘徐波を示すてんかん性脳症、中心側頭棘波を示す良性てんかんの方がいらっしゃる場合には、遺伝的要因の関与が高くなります。遺伝子の関わる疾患ですが、遺伝的な病因の他にも多様な原因が推定されており、必ずしも親子や兄弟で伝わるとは言い切れないのです。
また、先ほど述べたように、家族内発症を高頻度に起こしている家系があることが知られています。一方で、孤発例と呼ばれる家族歴なく発症している患者さんも見られます。この孤発例と言われる患者さんでも、遺伝子の変異(異常)が見つかっている方もいらっしゃいます。遺伝子の変化は生殖細胞(精子や卵)で突然起きることがあって、その場合は変化を持っている方しか発症しません。どの病気にも共通して言えることですが、病気の成りやすさには遺伝的素因が関わっています。この遺伝的素因だけで、もしくは遺伝的素因そのものが直接ランドウ・クレフナー症候群を発症させる性質はなくても、いくつもの他の要因が加わると病気を発症する、という性質のものなのかもしれません。

6. この病気ではどのような症状がおきますか

言葉の発達が正常だったこどもにおいて、2〜10歳くらいの間に、聞き返しすことが増え、聴覚障害(耳の聞こえが悪い)の人のように音声への反応が低下するなどの症状で始まります。その後、次第に自分から話すことも減り、発音が不明瞭になります。発症はある程度急激におこり、そのあとゆっくりと進行していきます。進行するとまわりからの言葉が理解できず、話すこともできず、読み書きも障害された状態になります。このような症状は、変動することが多く、一過性に改善することもあります。聴力検査(どのくらいの小さい音まで聞こえているかの検査)と聴性脳幹反応(音に対して脳が電気的に反応しているか否かの検査)は正常で、音や言葉は脳にまで届いて聞こえてはいるが、その聞こえているものが何かわからないという状態になっており、この症状を “聴覚失認”といいます。この他に、症状ではないですが、脳波検査で睡眠により異常の程度が強くなるてんかん性異常波を認めます。聴覚失認と脳波異常の2点が、ランドウ・クレフナー症候群の診断に必須の症状と検査所見になります。そのほかの症状としては、70%にてんかん発作が認められます。すなわち、30%では脳波異常を認めますが、てんかん発作はありません。また、多動、注意障害、興奮、乱暴、衝動性が高いなどの精神行動障害や認知障害を伴うことも稀ではありません。

7. この病気にはどのような治療法がありますか

てんかん発作に対しては、その発作型に応じた抗てんかん薬が用いられます。しかし、抗てんかん薬治療のみでは脳波検査の異常と言語障害が改善しないことも多く、ステロイド療法、免疫グロブリン療法を要することや、てんかん発作焦点に対し軟膜下皮質多切術(MST)などの外科治療が行われることもあります。難聴児と同様の教育方法が奏効することは稀ですが、聴覚失認と同様のリハビリテーションは重要です。

8. この病気はどういう経過をたどるのですか

症状のうちでてんかん発作と脳波所見は、各種の治療により多くは思春期までに改善します。一部では治療をしなくても改善することがあります。しかし、言語機能が正常化することは20〜30%にすぎず、多くは言語聴覚障害とそれに関連する認知障害、精神行動障害が残ります。音を聞き取るということでの聴力はほぼ正常ですが、言葉としての聞き取りが悪い(音としては聞き取れているがそれが言葉として捉えることができない)ため、周囲の理解が得られず、心身症や抑うつなどの精神症状を二次的に合併することが稀ではありません。

9. この病気は日常生活でどのような注意が必要ですか

小児の日常生活として、学校教育の現場、家庭では、聴覚失認患者へのリハビリテーションと同様に話し手に、顔、口唇の動きを明解にしジェスチャーもまじえて話すようにすることを周知します。さらに、患児からの頻回の質問・聞き直しを受容することが重要です。その他に、周囲の騒音を軽減することも有益です。

10.  この病気に関する資料・関連リンク

1) 加我牧子:Landau-Kleffner症候群。稀少難治てんかん診療マニュアル(大槻泰介、他編)、pp37-49、診断と治療社、東京、2013。
 
2) てんかん専門医ガイドブック、編集 日本てんかん学会、pp234-236、診断と治療社、東京、2014。
 
3) 平成21年厚生労働科学研究難治性疾患克服研究事業 Landau-Kleffner症候群の実態把握のための奨励研究班
http://www.rs.tottori-u.ac.jp/koeda/lks-japan/


治験情報の検索:国立保健医療科学院
※外部のサイトに飛びます。
情報提供者
研究班名 稀少てんかんに関する調査研究班
研究班名簿  研究班ホームページ 
新規掲載日平成27年7月27日