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遺伝性鉄芽球性貧血(指定難病286)

いでんせいてつがきゅうせいひんけつ

(概要、臨床調査個人票の一覧は、こちらにあります。)

1. 「遺伝性鉄芽球性貧血」とはどのような病気ですか

貧血の原因には様々なものがありますが、その中でも、鉄芽球性貧血は鉄の利用がうまくいかずに発症する貧血です。鉄芽球性貧血は、骨髄に環状鉄芽球という異常な赤芽球(成熟した赤血球になる前の未熟な赤血球を赤芽球といいます)の出現を特徴としています。この環状鉄芽球は赤芽球のミトコンドリアと呼ばれる器官への鉄の異常蓄積により形成されることがわかっています。鉄芽球性貧血の中で先天的な遺伝子の変異により発症する鉄芽球性貧血を遺伝性鉄芽球性貧血と呼びます。

2. この病気の患者さんはどのくらいいるのですか

稀な疾患のため正確な頻度は不明ですが、最も頻度の高いのはX連鎖性鉄芽球性貧血で、現在のところ94家系の報告があります。X連鎖性鉄芽球性貧血は、X染色体にあるALAS2遺伝子(erythroid-specific 5-aminolevulininate synthase2:赤血球型5-アミノレブリン酸合成酵素)の変異により発症する遺伝性鉄芽球性貧血です。変異ALAS2遺伝子があるX染色体が伝わることで遺伝していくため、X連鎖性鉄芽球性貧血と呼ばれます。

3. この病気はどのような人に多いのですか

X連鎖性鉄芽球性貧血は男性に認められる遺伝性の病気ですが、まれに女性にも認めることがあります。この疾患の多くは40歳頃までに発症しますが、全ての年齢で起こる可能性はあります。X連鎖性鉄芽球性貧血以外の遺伝性鉄芽球性貧血は極めて稀で、発症年齢、性別、症状も多彩です。

4. この病気の原因はわかっているのですか

最も頻度の高いX連鎖性鉄芽球性貧血は、赤血球におけるヘムの合成に重要なALAS2遺伝子の変異により引き起こされます。ヘムはヘモグロビンを構成する物質ですので、この遺伝子に変異があるとヘモグロビンができなくなり、貧血を発症します。この他、赤血球におけるヘムや鉄の代謝に関わる遺伝子の変異により発症すると考えられております(表1)。

5. この病気は遺伝するのですか

ALAS2遺伝子はX染色体という性染色体の中にあります。変異遺伝子を有する男性が発症しますが、女性は変異遺伝子を持っていてもほとんどの場合は発症しません。しかし、変異遺伝子を持っている女性から生まれた男性は1/2の確率で病気になり、女性の1/2は変異遺伝子を受け継ぎます。ALAS2遺伝子以外の原因遺伝子については様々な遺伝様式があり、中には家族に同じ患者さんがいないのに発症する場合もあります。

6. この病気ではどのような症状がおきますか

動悸、めまい、疲れやすさなどの貧血による症状が中心ですが、うまく利用されない鉄が体に長期的に蓄積することによる症状(肝障害、糖尿病、心不全)も認めます。X連鎖性鉄芽球性貧血以外の遺伝性鉄芽球性貧血は極めて稀で、発症年齢、性別、症状も多彩です。

7. この病気にはどのような治療法がありますか

X連鎖性鉄芽球性貧血についてはALAS2の働きに重要なビタミンB6(ピリドキシン)の大量投与が約半数の方で有効です。その他、貧血が長期にわたる例では過剰な鉄を除去する除鉄療法が必要になります。

8. この病気はどういう経過をたどるのですか

X連鎖性鉄芽球性貧血の場合、約半数の患者さんはビタミンB6により貧血の程度が改善します。しかし、貧血が長期にわたる場合、あるいは重度貧血のため赤血球輸血を必要とする場合には、鉄過剰による症状(肝障害、糖尿病、心不全)が徐々に進行します。X連鎖性鉄芽球性貧血以外の遺伝性鉄芽球性貧血の経過は多彩です。

9. この病気は日常生活でどのような注意が必要ですか

日常生活においては特に注意すべき事項はありませんが、貧血や鉄過剰やその他の合併症の管理については定期的な受診が必要です。


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情報提供者
研究班名 先天性骨髄不全症の診断基準・重症度分類・診療ガイドラインの確立に関する研究班
研究班名簿   
新規掲載日平成27年7月27日