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アジソン病

あじそんびょう

この病気は、平成27年1月1日から医療費助成対象疾病(指定難病)となります。
(指定難病一覧(概要、診断基準等・臨床調査個人票))

1. アジソン病とは

副腎皮質は3層の構造よりなり、球状層からはミネラルコルチコイドであるアルドステロンが、束状層からグルココルチコイドである コルチゾールが、網状層から副腎アンドロゲンであるデヒドロエピアンドロステロン(DHEA)とその硫酸塩であるデヒドロエピアンドロステロンサルフェー ト(DHEA-S)が分泌されている。慢性副腎皮質機能低下症は、これらのステロイドホルモン分泌が生体の必要量以下に慢性的に低下した状態であり、副腎皮質自体の病変による原発性と、下垂体の副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)分泌不全による続発性に大別される。原発性の慢性副腎不全は1855年英国の内科医であるThomas Addisonにより初めて報告された疾患であることから、Addison病とも呼ばれている。この原発性慢性副腎皮質機能低下症の病因には先天性のものと後天性のものが存在するが、アジソン病は後天性の成因による病態を指し示す。

2. この病気の患者さんはどのくらいいるのですか

我が国で行われた全国調査(厚生労働省特定疾患内分泌系疾患調査研究班「副腎ホルモン産生異常症」調査分科会)の報告によるとアジソンの患者数は1年間で660例と推定され、病因としては特発性が42.2%、結核性が36.7%、その他が19.3%であり、時代を追うごとに特発性の比率が増加している。

3. この病気はどのような人に多いのですか

アジソン病は、主に成人にみられ、一方先天性ものは主に小児期に発症がみられる。アジソン病のうち結核性の原因によるものは 40~60歳に多く、男女比では男性に多い。特発性のものでは発症年齢は広く分布して、性差はない。アジソン病に特発性副甲状腺機能低下症、皮膚カンジダ 症を合併するⅠ型(HAM症候群)は、小児期から発症がみられる。

4. この病気の原因はわかっているのですか

アジソン病の病因は、感染症あるいはその他の原因及び特発性に分類される。感染症では結核性が代表的であるが、真菌性や後天性免疫不全症候群(AIDS)に合併するものが増えている。特発性アジソン病は自己免疫性副腎皮質炎による副腎皮質低下症であるが、しばしば他の自己免疫性内分泌異常を合併し、多腺性自己免疫症候群と呼ばれている。アジソン病に特発性副甲状腺機能低下症、皮膚カンジダ症を合併するⅠ型(HAM症候群)と、アジソン病に橋本病などの自己免疫性甲状腺疾患を合併するⅡ型(Schmidt症候群)がある。特発性アジソン病では抗副腎抗体陽性のことが多く(60~70%)、ステロイド合成酵素の P450c21, P450c17などが標的自己抗原とされている。その他癌の副腎転移、代謝異常などによる副腎の変性・萎縮を起こす副腎白質ジストロフィー、Wolman 病などがある。

5. この病気は遺伝するのですか

特発性アジソン病で他の自己免疫性の内分泌疾患や病気と合併するものの中には遺伝子の関与が示唆されているものがある。

6. この病気ではどのような症状がおきますか

副腎皮質ホルモンの欠落により、易疲労感、全身倦怠感、脱力感、筋力低下、体重減少、低血圧などがみられる。食欲不振、 悪心・嘔吐、下痢などの消化器症状、精神症状(無気力、不安、うつ)など様々な症状を訴える。いずれも非特異的な症状である。色素沈着は皮膚、肘や膝などの関節部、爪床、口腔内にみられる。

  図1:アジソン病の症状と検査所見

図:アジソン病の症状と検査所見

7. この病気にはどのような治療法がありますか

不足するステロイドホルモンを補充する。急性副腎不全の発症時には、グルココルチコイドとミネラルコルチコイドの速やかな補充と、水分・塩分・糖分の補給が必要であり、治療が遅れれば生命にかかわる。その後も生涯にわたりグルココルチコイドとミネラルコルチコイドの補充が必要である。新生児期・乳児期には食塩の補充も必要となる。
治療が軌道に乗った後も、発熱などのストレスにさらされた際には副腎不全を起こして重篤な状態に陥ることがあるため、ストレス時にはグルココルチコイドの内服量を通常の2~3倍服用する。適切な治療が行われれば予後は比較的良好である。

8. この病気はどういう経過をたどるのですか

副腎機能の回復は期待できないので、グルココルチコイドによる補充療法を生涯にわたって続けることにより症状もなく良好な一生を過ごすことができる。グルココルチコイドをストレス時に増量しなかったり、服用を忘れたりするとショックを起こし、生命の危険となる。適切な治療が行われれば予後は比較的良好である。

情報提供者
研究班名 副腎ホルモン産生異常に関する調査研究班
研究班名簿  研究班ホームページ 
情報更新日平成27年1月6日