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結節性硬化症(指定難病158)

けっせつせいこうかしょう

(概要、臨床調査個人票の一覧は、こちらにあります。)

この病気は遺伝病と言われましたが、私たち両親には異常がないのに、どうしてこどもが発病したのですか?

結節性硬化症は優性遺伝の病気です。優性遺伝の病気は1対の遺伝子の1つに異常がおこると発病します。結節性硬化症の患者さんの場合は染色体9番のTSC1遺伝子、または染色体16番のTSC2遺伝子の異常によっておこります。
患者さんで遺伝子を調べますとそれぞれ1対あるTSC1またはTSC2遺伝子の2本ののうち1つが変異をおこしている(異常になっている)か、なくなっています。結節性硬化症の患者さんの精子(または卵子)には、1対の遺伝子のうち、正常な遺伝子か異常遺伝子が1つのみが配分され、精子(卵子)の持つ遺伝 子は正常な遺伝子か異常な遺伝子かどちらか1つです。異常な遺伝子を持つ精子(卵子)が授精する確率は1/2(50%)になります。言いかえれば、お父さんまたはお母さんが結節性硬化症の場合、子どもの2人に1人が結節性硬化症になります。
ところが、患者さんのご両親に結節性硬化症の症状が見つからない場合が約6割あります。これは、精子(卵子)ができて受精卵となるまでの過程のどこかで、TSC1またはTSC2遺伝子に新しい変化(突然変異)がおこったと考えられます。この場合、異常な遺伝子を持った精子(卵子)の数は、半分よりははるかに少ないと考えられるので、次に生まれる子どもさんが結節性硬化症になる確率は、ご両親のいずれかが結節性硬化症の場合よりはるかに低くなります。

私は結節性硬化症と診断されています。結婚したい相手がいるのですが、相手の方にどういう風に話したらいいですか? こどもは産めますか?

こういって相談にこられる方は、知的障害がない方、症状が軽い方が多いです。てんかんもないのでしょうか?なかにはてんかん発作があって、抗てんかん剤を飲んでおられる方もいらっしゃると思います。いくつかの問題があります。
第1には、自分自身が結節性硬化症についてよく理解し、知的障害のないあるいは軽い患者さんは、健康管理で注意するべき点をよく理解し、定期的な健診をうければ、普通に社会生活が出来ることが多いことを知ってください。てんかんがある場合は、てんかんの薬を正しく服用し、発作がおこらないよう規則正しい生活を心がけ、自分自身が自信を持つことが大切です。顔にボツボツがあって小学校、中学校をつらい思いで過ごしてきた方もおられますが、高校、大学あるいは社会 生活を送るようになって、健康なひとよりはるかにしっかりしたすばらしい人間観、人生観を持つようになったひとを何人も知っています。あなたが好きになった相手にも結節性硬化症について、てんかんについて正しく理解してもらう様にするのが良いのではないかと思います。
第2には、子どもができた時、おおよそ2人に1人は同じ病気になります。問題は子供が病気になった場合に、親とおなじような症状の子ができるかどうかです。てんかんも知的障害もない顔の血管線維腫だけを持つ方から、親と同じように知的障害やてんかんのない子どもが出来ることは良くあります。しかしながら、親にてんかんや知的障害がなくても、子どもに重度の知的障害がおこる場合もあります。あるいは、軽症の親から、軽症のこどもと重度の知能障害を伴った兄弟姉妹ができる場合もあります。残念ながら現時点では、ご両親を診察・検査して、生まれるこどもの症状を予測することはできません。2人に1人はこの病気が遺伝すること、病気が遺伝したときには、親にはなくともこどもにてんかんや知的障害を合併する可能性もあるとしか言えません。この点は十分に理解してください。現在、結節性硬化症の研究が進んでおり、お母さんのお腹の中にいる時に診断して、てんかんや知的障害を軽くする治療ができる時も来ると考えています。
第3には、現在抗てんかん薬を服用されている場合は抗てんかん剤の影響も考えないといけません。父親が抗てんかん剤を飲んでいる場合は、問題が少ないのですが、母親が抗てんかん剤を飲んでいる場合、血液から抗てんかん剤が胎児に移行し、胎児に悪影響を及ぼす可能性があります。たくさんの種類の薬を服用している場合は、主治医の先生とよく相談して、可能な範囲で胎児に影響の少ない抗てんかん薬に変更することも必要です。

この病気についての説明や遺伝の相談、治療などをやっているところがありますか?

てんかんに対する治療はこの病気以外のてんかんに対する治療と特別変わりがありませんので、特別なところでなくても、小児科や神経内科でてんかんに対する治療はしてもらえます。大阪大学医学部付属病院の皮膚科の遺伝病外来では、結節性硬化症を専門にとりあつかっており、この病気の遺伝相談や、凍結凝固療法、レーザアブレージョン等を用いた皮疹の治療をすると同時に、ラパマイシンの塗り薬の治験も行っています。放射線科、泌尿器科の先生と共同で、この病気の腎臓の腫瘍に対して、積極的にTAE(腫瘍に行っている血管を詰めて腫瘍に栄養がいかないようにして、腫瘍を縮める方法)をおこなっています。さらに、この病気の肺病変に対しては、呼吸器内科の先生と共同で、早期よりフォローを開始されています。同時に色々な科の先生が集まって治療法を協議し、エベロリムスの内服を含めて、それぞれの患者さんに最も適した治療を考えてくれます。同様にJR東京総合病院のTSCクリニックでも同様の試みがなされています。遺伝相談は大阪大学医学部皮膚科の遺伝病外来や、遺伝子診療部で行われていますが、全国の色々な施設の遺伝子診療部でも行われています。

最近結節性硬化症の新しい治療法ができたと聞いたのですがどのような治療法なのでしょうか。また日本でも使用可能なのでしょうか?

おそらくラパマイシンやエベロリムスなどのmTOR阻害薬のことだと思います。結節性硬化症の原因遺伝子TSC1とTSC2 によって作られる蛋白ハマルチンとテュベリンは複合体をつくって、マンマリアンターゲットオブラパマイシン(mTOR)とよばれる、腫瘍をつくりやすくする蛋白を抑制しています。従ってハマルチンとチュベリンに異常がおこるとこのmTORを抑制すること ができなくなり、結果的に腫瘍ができやすくなります。このmTORの働きをおさえる薬がラパマイシンやエベロリムスです。エベロリムス(商品名:アフィニトール)は2012年より、結節性硬化症の脳腫瘍(上衣下巨細胞性星細胞腫)と腎臓腫瘍(血管筋脂肪腫)に対して使えるようになりました。これらの薬を飲むと、腫瘍が縮小します。また、これらの薬がてんかん、自閉症など脳の症状に対しても有効であることが報告されています。但し、薬をやめると再度腫瘍が大きくなってくるため、長期間飲み続けることが必要になります。そこで、大阪大学医学部付属病院の皮膚科では副作用が少なく長期間使用できるように、結節性硬化症の皮膚病変に対してラパマイシンの塗り薬を使う治療を行ってみたところ、良い結果が得られました。近い将来の治療法として期待されています。また、ラパマイシンの飲み薬は結節性硬化症の肺の病変(LAM)に有効であり、2014年から使用可能になりました。

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情報提供者
研究班名 神経皮膚症候群に関する診療科横断的な診療体制の確立研究班
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新規掲載日平成27年7月23日