メニュー


HOME >> 病気の解説(一般利用者向け) >> 単心室症(指定難病210)

単心室症(指定難病210)

たんしんしつしょう

(概要、臨床調査個人票の一覧は、こちらにあります。)

1.単心室症とは

 正常な心臓は、図1のように、右房→右室→肺動脈→肺→肺静脈→左房→左室→大動脈の経路を辿って、血液が流れていきます。

図1:正常な心臓構造(金子幸裕、平田康隆、木村充利、阿知和郁也.先天性心疾患の血行動態:治療へのアプローチ.3p. 文光堂、2013. より転載)
 
単心室症とは、体循環と肺循環の双方を、機能的に一つの心室のみに依存する血行動態を有する疾患です。「単心室」とは形態として心室が一つしかないということを意味するのではありません。心室内壁の形状で、右室型(図2)、左室型(図3)と、分類不能型とに分類されます。単心室症には、肺動脈狭窄・閉鎖、大動脈縮窄・離断、総肺静脈還流異常、無脾・多脾などを合併します。

図2:右室型単心室症(金子幸裕、平田康隆、木村充利、阿知和郁也.先天性心疾患の血行動態:治療へのアプローチ.153p. 文光堂、2013. より転載)


図3:左室型単心室症(金子幸裕、平田康隆、木村充利、阿知和郁也.先天性心疾患の血行動態:治療へのアプローチ.149p. 文光堂、2013. より転載)

2.この病気の患者さんはどのくらいいるのですか

 先天性心疾患は、赤ちゃん約100人に1人の割合で発生します。単心室症はその先天性心疾患の約0.5〜2.0%といわれています。成人になった単心室症の患者さんがどのくらいいるかは、まだ明らかではありません。

3.この病気はどのような人に多いですか

 現時点で、「このような場合に単心室症の赤ちゃんが生まれることが多い」と断定できる環境、要因は見つかっていません。

4.この病気の原因はわかっているのですか

 原因は不明です。

5.この病気は遺伝するのですか

 単心室に特異的な遺伝子異常は発見されていません。ただ、白人に左室型が多く、日本人には右室型が多いことは判明しており、なんらかの遺伝が絡むと考えられていますが、まだ、明確ではありません。

6.この病気ではどのような症状がでますか

 単心室単独のことはなく、肺動脈狭窄・閉鎖、大動脈縮窄・離断、総肺静脈還流異常などの合併構造異常によって、症状が左右されます。ただ、全員に低酸素血症は存在し、チアノーゼがみられます。呼吸不全症状(多呼吸、陥没呼吸)は、肺動脈狭窄・閉鎖があれば呈することは少なく、肺動脈が正常なら肺血流量が増加するので呼吸不全症状と一緒に心不全症状(体重増加不良、多汗、多呼吸、哺乳力不良)を呈することとなります。

7.この病気にはどのような治療法がありますか

 治療法は手術のみです。最終手術はフォンタン型手術(図4)となります。

図4:右室型単心室へのフォンタン型手術(金子幸裕、平田康隆、木村充利、阿知和郁也.先天性心疾患の血行動態:治療へのアプローチ.151p. 文光堂、2013. より転載)

この手術を行うことで、一つの心室のみで肺動脈、大動脈の循環を維持していくことになります。フォンタン型手術を行うためには、両方向性グレン手術など、幾つかの段階的手術を経なくてはなりません。ただ、患者さん全員がフォンタン型手術が可能になるわけではありませんので、主治医の先生のお話をよく聞いてください。

8.この病気はどのような経過をたどるのですか

 手術を行わない場合の生存率は、生後1年で約60%、生後5年で約40%とされています。出生後まもなく低酸素血症によるチアノーゼを呈します。単心室症の最終手術はフォンタン型手術です。ただ、フォンタン型手術を一期的に行うことはできません。単心室で肺動脈狭窄がなければ肺動脈絞扼術を、肺動脈閉鎖ならブラロック-トージック短絡手術を生後早期に施行し、経過をみます。生後3ヶ月以降に両方向性グレン手術、その後にフォンタン型手術を行います。フォンタン型手術は3歳前後までに施行されることが多いようです。
フォンタン型手術は動脈血の低酸素状態を正常の酸素濃度にするための手術です。決して、病気自体を治す手術ではありません。長期間、1つの心房、1つの心室で人間の体の循環を回すことは、やはり、どこかで無理が生じます。多くの患者さんが、成人期になってきましたので、最近、いろいろな問題が出てくることが次第に分かってきました。それらの問題というのは、1)弁逆流、2)不整脈、3)低酸素血症の再発、4)蛋白漏出性胃腸症、5)血栓、6)肝障害などです。
現在、フォンタン型手術後の患者さん達が成人となり、40歳以上の方もいらっしゃいます。ただ、既述したように、もともとの心臓の病気が完治したということではないため、定期的に専門医によるフォローが必須となります。
フォンタン型手術施行にはクリアしなければならない基準があり、全員の患者さんできるわけではありません。そのため、慢性の低酸素血症のまま成人となる方もおられます。慢性低酸素血症のままですと生活・運動制限がかかることもあります。

9.この病気は日常生活でどのような注意が必要ですか

 フォンタン型手術後は、一見、正常のように見える患者さんもいらっしゃいます。しかし、肺動脈内への血流は、心室の持つポンプ機能で送り出しているわけではないので、激しい運動は困難なことが多く、無理はできません。動悸、今までにはない息切れ感、足・顔のむくみには注意しておく必要があります。
フォンタン型手術後の女性の場合は、どうしても妊娠のことが問題になります。フォンタン型手術後の場合は、妊娠中に心臓に負担がかかってきます。高校生以降の女性は、主治医の先生ときちんと相談しておくことが必要です。もし、ワルファリンも服薬していたら、妊娠は禁忌ですので、主治医に確認してください。
フォンタン型手術に至らなかった患者さん、フォンタン型手術後でも低酸素血症の残存した患者さんは、自分で可能な範囲の生活、運動に心がけて下さい。ここで言う運動とは、階段の上り下り、歩く速さなどを指します。低酸素血症があっても働いている方も多くいらっしゃいます。社会福祉制度として幾つかの助成制度がありますので、就労については、最寄りの地方自治体、ハローワークの窓口で相談してください。

関連ホームページのご紹介

1)国立成育医療研究センターHP.
http://www.ncchd.go.jp/hospital/about/section/kikan-byotai/junkanki_naika_geka.html
2)静岡県立こども病院HP.
http://www.shizuoka-pho.jp/kodomo/department/cardiova/operation/sv/index.html
3)小児慢性特定疾病情報センターHP.
http://www.shouman.jp/details/4_29_36.html


治験情報の検索:国立保健医療科学院
※外部のサイトに飛びます。
情報提供者
研究班名 -  
新規掲載日平成27年7月21日