下垂体性ADH分泌異常症(指定難病72)

かすいたいせいADHぶんぴついじょうしょう
 

(概要、臨床調査個人票の一覧は、こちらにあります。)

家族性中枢性尿崩症と診断されました。自分の子供への遺伝はどうなるのですか?

家族性中枢性尿崩症はごく一部の例外を除き常染色体顕性遺伝(優性遺伝)形式を取りますので、子供に遺伝する確率は50%です。一般的には、産まれてすぐには問題が無く、生後数ヶ月から数年で徐々に、尿量が増える、のどが渇く、たくさんの水分を飲むなどの症状が出てきます。

デスモプレシンのスプレー製剤から経口製剤に切り替える際に投与量はどうすればいいですか?

デスモプレシンのスプレー製剤は投与方法が煩雑であり、結果として吸収される量にばらつきが生じます。したがって経鼻製剤の投与量に関わらず経口製剤に切り替える際には最少用量(60μg/回)から開始することをお勧めします。

デスモプレシンの効果が切れるのが不安なため、効果が切れる前に追加投与してもいいですか?

デスモプレシン投与中は副作用として低ナトリウム血症が生じやすいため、一日に一度は効果が切れる(尿量が増加する)時間帯を確保することが大切です。したがってデスモプレシンの投与量・投与回数は主治医とよく相談して決定し、どうしても追加投与をする場合はデスモプレシンの効果が切れた際としてください。

バソプレシン分泌過剰症(SIADH)の治療薬であるトルバプタンは、どのように使われるのですか?

トルバプタンは、水分摂取制限を行っても低ナトリウム血症が改善しない場合に限って使用が検討されます。強い効果を発揮する反面、浸透圧性脱髄症候群(手足の麻痺、発声が不明瞭になる、飲み込みにくい、痙攣、意識がなくなる、意識が乱れる等)を起こすおそれがあるため、トルバプタンを飲み始める際は入院してもらい医師の確認の下で安全に投与する必要があります。

 

情報提供者
研究班名 間脳下垂体機能障害に関する調査研究班
研究班名簿 
情報更新日 令和4年12月(名簿更新:令和5年6月)