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下垂体性ADH分泌異常症(指定難病72)

かすいたいせいADHぶんぴついじょうしょう

(概要、臨床調査個人票の一覧は、こちらにあります。)

1. 「下垂体性ADH分泌異常症」とはどのような病気ですか

ADHは尿量を少なくする作用を有するホルモンで、抗利尿ホルモンあるいはバソプレシンとも呼ばれます。血液中のADHが少なくなると尿量が増加し、逆にADHが増加すると尿量が減少します。こうした尿量の調整は体にとって大変重要で、例えばのどが渇くような脱水状態では血液中のADHは増加して体に水分を保持する機構が働きますし、水分を必要以上に摂取した際にはADHが低下して余分な水分を尿として排泄します。
「下垂体性ADH分泌異常症には血液中のADHが低下する中枢性尿崩症と、ADHが増加するSIADHがあります。中枢性尿崩症では尿量が増加するとともに、のどが渇き、大量の水分を摂取するようになります。一方、SIADHでは体内に水分が貯留するため血液中のナトリウムが薄まり、低ナトリウム血症を呈します。

2. この病気の患者さんはどのくらいいるのですか

本邦における中枢性尿崩症の患者数は5000-10000人程度と考えられます。一方、SIADHの患者数は不明ですが、軽度の低ナトリウム血症を呈する患者も含めると特に高齢者ではかなりの患者数になると思われます。

3. この病気はどのような人に多いのですか

中枢性尿崩症はどの年代でも発症しますが、小児にやや多いことが報告されています。一方、SIADHは高齢者に多く発症します。

4. この病気の原因はわかっているのですか

中枢性尿崩症は脳腫瘍や外傷などにより発症する場合(続発性)、家族性に発症する場合(家族性)、および原因が不明な場合(特発性)に分類されます。原因不明の特発性中枢性尿崩症は10-20%程度、家族性中枢性尿崩症は1%程度、残りの80-90%が続発性中枢性尿崩症です。
SIADHは脳腫瘍や脳梗塞などの脳の病気、あるいは肺炎や気管支喘息、肺癌などの肺の病気に伴って発症します。また、一部の薬の副作用でSIADHが発症することもあります。

5. この病気は遺伝するのですか

家族性中枢性尿崩症は50%の確率で遺伝しますが、その他の中枢性尿崩症やSIADHは遺伝することはありません。

6. この病気ではどのような症状がおきますか

中枢性尿崩症では尿量が増え、のどが渇き、たくさんの水分を摂取するようになります。多い場合は一日10Lの水分を摂取して10Lの尿を排泄することもあります。尿意のため、夜間に何度も目が覚めます。また、大量に水分を摂取するために食欲が低下したり、体重が減少することもあります。
SIADHでは低ナトリウム血症の程度によっては倦怠感、脱力などの症状を呈しますが、症状が軽くて患者さんが体調の変化に気づかないこともあります。

7. この病気にはどのような治療法がありますか

中枢性尿崩症ではADHと同じように尿量を減少させる作用がある薬(デスモプレシン)を投与します。デスモプレシンにはこれまで経鼻製剤しかありませんでしたが、最近では経口製剤も使用できるようになりました。
SIADHでは水分摂取を制限するのが治療の第一となります。また、低ナトリウム血症の程度によっては食塩を投与することもあります。ADHの作用をブロックして尿量を増やす薬もありますが、日本では癌によるSIADHのみが保険適応となっています。

8. この病気はどういう経過をたどるのですか

中枢性尿崩症は一旦発症すると治癒することはまれです。したがって、デスモプレシンによる治療を継続することになります。
SIADHの経過はその原因となる疾患の経過にも左右されますが、水分制限などにより低ナトリウム血症が改善することもまれではありません。

9. この病気は日常生活でどのような注意が必要ですか

中枢性尿崩症ではデスモプレシンの効果が切れると尿量が増加します。この際にあまり尿意を我慢すると膀胱に尿がたまった状態が続くため、膀胱の機能が低下したり尿路感染症になることがあります。そのため尿意を感じたらなるべく速やかに排尿することが大切です。また、デスモプレシンの効果が続いている状態で水分を過剰に摂取すると低ナトリウム血症になるため、適度の水分摂取が求められます。
SIADHでは主治医から指示された一日の水分摂取量(例えば800 mL/日)を守ることが必要です。

10.  この病気に関する資料・関連リンク

中枢性尿崩症 (CDI)の会 http://www.cdinet.jp/


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情報提供者
研究班名 間脳下垂体機能障害に関する調査研究班
研究班名簿   
情報更新日平成27年2月15日