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網膜色素変性症

もうまくしきそへんせいしょう

(認定基準、臨床調査個人票の一覧は、こちらにあります。)

■定義

遺伝子変異が原因で網膜の視細胞及び色素上皮細胞が広範に変性する疾患である。初期には、夜盲と視野狭窄を自覚する。徐々に進行し、老年に至って社会的失明(矯正視力約0.1以下)となる例も多いが、生涯良好な視力を保つ例もある。進行に個人差が大きい。
視細胞のうち杆体のみの変性を杆体ジストロフィ、杆体と錐体両者の変性を杆体錐体ジストロフィと称する。

■疫学

本邦における地域の特殊性はない。人口4,000人に1人と推定され、欧米とほぼ同じ発生率である。

■症状

両眼性である。進行は緩徐である。
(1)夜盲
(2)視野狭窄
(3)視力低下
後期には色覚異常や光視症、羞明などを自覚する。

■診断

(1)眼底所見
定型例では網膜血管狭細、網膜色素上皮の色調変化(色ムラ、網膜変性)を認め、変性が進むと骨小体様色素沈着が特徴的である。非定型例では無色素性、白点状、その他がある。
(2)視野
求心性、輪状、地図状、傍中心性など病変の部位に一致した狭窄を認める。
(3)暗順応
暗順応曲線の第2次曲線の閾値の上昇が認められる。
(4)視力
典型的な周辺型では病変が進行し視野が狭窄した後に徐々に視力低下が始まるが、初期から視野狭窄とともに緩徐な視力低下を伴う例も多い。傍中心型では輪状暗点が網膜中心部に向かって拡大し、黄斑部におよぶと比較的短期間に視力低下が進行する。
若年から水晶体の前極又は後極の混濁するタイプの白内障を合併することが多く、白内障による視力低下をきたす場合もある。
(5)電気生理学的所見
1)網膜電図(ERG)の振幅低下・消失。初期には軽度低下であっても進行すると消失する病型もあり、また、定型的な眼底所見がなくともERGの異常で発見されることもある。
2)網膜常在電位(EOG)は網膜色素上皮の初期の異常を検出しうる。
(6)眼底自発蛍光所見
網膜色素上皮萎縮による低蛍光または過蛍光。
(7)光干渉断層像
網膜外層の変化,IS/OSライン(エリプソイドゾーン)の異常(不連続または消失)。
 
遺伝形式の分類
1)弧発型
2)常染色体優性遺伝型
3)常染色体劣性遺伝型
4)X染色体劣性遺伝型
5)二遺伝子異常型
常染色体劣性遺伝型が最も多く、残りは常染色体優性またはX染色体劣性の遺伝型式をとる。弧発例あるいは遺伝歴不明例が多く半数を占める。
 
鑑別すべき疾患
(1)炎症性のもの
(2)続発性のもの(悪性腫瘍随伴網膜症を含む)

■治療

現時点では治療法が確立されていない。
視野障害、視力障害に対応したロービジョンケアを行う。
遺伝子治療、人工網膜、網膜再生、視細胞保護治療などについて研究が推進されている。
本症に合併する白内障や黄斑浮腫に対しては、通常の治療法が行われている。

■予後

病型により異なるが、全て両眼性進行性で、早いものでは40代に社会的失明状態になる。医学的失明(光覚なし)にいたる割合は高くない。
60代でも中心に視野が残り視力良好例もあるが、視野狭窄のため歩行など視野を要する動作が困難となり生活に支障を来す。白内障など、合併症による視力低下の一部は手術によって視機能が改善する。


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情報提供者
研究班名 網膜脈絡膜・視神経萎縮症に関する調査研究班
研究班名簿   
情報更新日平成27年2月5日