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潰瘍性大腸炎

かいようせいだいちょうえん

(認定基準、臨床調査個人票の一覧は、こちらにあります。)

■概念


潰瘍性大腸炎は主として粘膜を侵し、しばしばびらんや潰瘍を形成する原因不明の大腸のびまん性非特異性炎症である。医科学国際組織委員(CIOMS)では「主として粘膜と粘膜下層を侵す、大腸特に直腸の特発性、非特異炎症性疾患。30歳以下の成人に多いが、小児や50歳以上の年齢層にもみられる。原因は不明で、免疫病理学的機序や心理学的要因の関与が考えられている。通常血性下痢と種々の程度の全身症状を示す。長期にわたり、かつ大腸全体を侵す場合には悪性化の傾向がある。」と定義している。


病態分類として、病変の拡がりによる病型分類(全大腸炎・左側大腸炎・直腸炎・右側あるいは区域性大腸炎)、臨床的重症度による分類(重症・中等症・軽症)、病期の分類(活動期・寛解期)と臨床経過による分類(再燃寛解型・慢性持続型・急性激症型・初回発作型)などがあり、多くの患者は再燃と寛解を繰り返すことから長期間の医学管理が必要となる。


■疫学


わが国の罹患率や有病率は欧米に比べて低率ではあるが、1970年以降急激に増加している。発症年齢のピークは男性で20~24歳、女性で25~29歳にみられるが、若年者から高齢者まで発症する。男女比は1:1で性差はみられない。患者数の推移を平成25年度末の医療受給者証および登録者証交付件数の合計からみると、166,060人となっており、その数は毎年増加している


■病因


いまだ病因は不明であるが、現在では遺伝的因子と環境因子が複雑に絡み合って、なんらかの抗原が消化管の免疫担当細胞を介して腸管局所での過剰な免疫応答を引き起こし、発症と炎症の持続に関与していると考えられている。


■症状


代表的な症状は、下痢、(粘)血便である。軽症例では血便はわずかであるが、重症例では排便回数は増え、毎回のように水様の血便となる。その他、腹痛、発熱、倦怠感、体重減少、貧血などの全身症状や、関節痛(炎)や皮疹(結節性紅斑、壊疽性膿皮症など)や虹彩炎などの腸管外合併症を伴うこともある。


■診断


持続する下痢や血便を主訴とし、大腸内視鏡検査にてびまん性の炎症の所見を認め、また、その生検組織の病理学的検査にて特徴的な所見を認めた場合に診断される。ただし、病初期などでは、必ずしもその特徴的な所見が認められない場合もあることと、その所見のみでは他の大腸疾患(感染性腸炎など)との区別が困難な場合もあるため、他の疾患の除外も重要である。


■治療


〈治療原則〉


重症例では原則、入院の上、脱水、電解質異常、貧血、栄養障害などに対する管理が必要である。劇症例では手術を要する可能性が高く、内科治療を行う場合でも、本疾患の手術の経験のある外科医との綿密な連携の上、短期間で手術の時期を決定する。


〈内科治療〉


潰瘍性大腸炎の薬物療法を始めるにあたり、その症例の重症度を把握することが重要である。軽症および中等症例では5アミノサリチル酸製薬を、無効例や重症例で副腎皮質ステロイド薬にて寛解導入を行う。寛解維持には5アミノサリチル酸製薬、また、ステロイド薬を投与した場合には免疫調節薬(アザチオプリンや6-MP)の使用も考慮する。免疫調節薬はステロイド依存例でも使用され、ステロイド無効例ではシクロスポリン(未承認)、タクロリムス、インフリキシマブ(レミケード)、アダリムマブ(ヒュミラ)の投与、あるいは血球成分除去療法が行われる。


〈外科療法〉


大腸穿孔や大量出血、内科治療に反応しない重症例や大腸癌合併例は手術適応である。また、重症例でなくても内科治療に不応または不耐、QOLの低下、腸管外合併症や成長障害も手術適応となりうる。多くの場合、大腸全摘術にて肛門を温存する手術が可能であり、術後にQOLも良好である。


予後


〈手術率・生存率〉


一般に発症時の重症度が重いほど、罹患範囲は広いほど手術率、死亡率が高くなるが、近年の報告では生存率は健常人と比べて差がないとする報告もみられる。手術理由は発症5年以内では激症例や重症例の内科治療無効例が多く、5年以降は慢性持続型などの難治例が対象となりやすい。


〈癌化〉


罹患範囲が広い、長期経過例では炎症を母地とした癌の発生(colitic cancer)が発生しうるため、発病から7-8年程度経過した時点で、定期的なサーベイランス内視鏡検査が行われる。癌化率は従来考えられていたほど高率ではないことが報告されているが、高リスク群での1-2年ごとの内視鏡検査は必要と考えられている。また、発がん予防には定期的な内視鏡検査と継続的な寛解維持療法が重要と考えられている。


〈妊娠〉


妊娠中の潰瘍性大腸炎の経過に一定の傾向はなく、妊娠時に活動期であると、自然軽快することは少なく、母子双方に悪影響を与える。妊娠中および妊娠可能年齢の女性における内科治療には議論があるが、その治療の内容よりも、寛解導入および維持がなされることの方が、母子の予後にはより大切と考えられている。


難治性炎症性腸管障害に関する調査研究班から


研究班のホームページはこちらです

潰瘍性大腸炎 研究成果(pdf 25KB)

この疾患に関する調査研究の進捗状況につき、主任研究者よりご回答いただいたものを掲載いたします。

この疾患に関する関連リンク


潰瘍性大腸炎診療ガイドライン

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情報提供者
研究班名 難治性炎症性腸管障害に関する調査研究班
研究班名簿   
情報見直し日平成27年1月4日(研究班名簿:平成28年11月11日更新)