■概念 |
||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
|
アミロイドーシス(amyloidosis)は線維構造をもつ蛋白であるアミロイドが、全身臓器に沈着することによって機能障害を引き起こす一連の疾患群である。 |
||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
■病型 |
||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
|
厚生労働省特定疾患アミロイドーシス調査研究班による新分類は表1の ごとくである。この分類では、まずアミロイドーシスを全身諸臓器にアミロイドが沈着する全身性アミロイドーシスと、ある臓器に限局した沈着を示す限局性ア ミロイドーシスとに分類し、更にアミロイド蛋白(前駆体蛋白)とそれに対応する臨床病型に分類している。昭和50年に作成した分類とは全く異なっているの で旧分類を( )内に記す。 免疫細胞性アミロイドーシス(原発性アミロイドーシスおよび骨髄腫に伴うアミロイドーシス)は免疫グロブリン由来のアミロイドが全身諸臓器に沈着するもの で、骨髄腫やマクログロブリン血症以外の基礎疾患が認められない場合に診断を下すものである。病理組織化学的又は生化学的にアミロイド蛋白がALであるこ とが証明される場合は免疫細胞性としてよい。 反応性AAアミロイドーシス(続発性アミロイドーシス)は、急性期蛋白であるserum amyloid A由来のアミロイドが沈着し、慢性の炎症性疾患(主に慢性関節リウマチ、結核、気管支拡張症、SLEなど)に続発する。 家族性アミロイドーシスは家族性アミロイドポリニューロパチー(FAP)Ⅰ型に代表され、特有の感覚障害、運動障害及び自律神経障害を呈するものであり、 ポルトガル、日本、スウェーデン、英国、米国、フィンランドなどからの家系が報告されている。そのアミロイド蛋白は異型トランスサイレチン(点突然変異に よるアミノ酸置換)である。現時点で100ヶ所以上のアミノ酸置換が発見されている。我が国では熊本県北部と長野県北部にFAP家系の大集積地があるが、 この他の地域にも多数の家系が見出されている。また、FAP Ⅳ型(前駆体蛋白:ゲルソリン)も数家系報告されている。 長期透析患者の増加に伴いβ2-ミクログロブリン由来のアミロイドーシス(透析アミロイドーシス)症例が増加している。 脳アミロイドーシスにはアルツハイマー病、脳血管アミロイドである脳アミロイドアンギオパチー、プリオン病などがある。 内分泌性アミロイドーシスにはⅡ型糖尿病に伴う膵島やインスリノーマに沈着するアミリン由来のAIAPP、心房に沈着するAANFなどがある。 |
||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
|
表1 アミロイドーシスの分類 (厚生労働省特定疾患調査研究班新分類) |
||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
*FAP:家族性アミロイドポリニューロパチー |
||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
■疫学 |
||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
|
日本病理剖検輯報によると全身性アミロイドーシスの症例は1958年10例、1978年102例、1991年302例と増加し、 剖検総数に対する比率は1958年0.108%、1978年0.344%、1991年0.825%と増加傾向がみられた。1991年の剖検例全身性アミロ イドーシスの302例中113例(37.4%)が続発性、次いで原発性85例(28.1%)、骨髄腫に伴うもの66例(21.9%)であった。続発性 (AA)アミロイドーシスの基礎疾患では慢性関節リウマチが最も多く61.9%であった。 1991年、患者数の多いアルツハイマー病やⅡ型糖尿病などのもの及び従来の続発性アミロイドーシスに入るAAアミロイドーシスを除いた6種類のアミロイドーシスの疫学調査を行ったところ、 年間推計受療者は (1)原発性(AL型)アミロイドーシス:約300名 であった。 |
||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
■発症機序 |
||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
|
15種類の異なったアミロイド蛋白が報告されており、それぞれの産生機序や沈着機序には違いがあるものの、共通のアミロイド線維 形成機序が存在する。まずアミロイド前駆体蛋白が産生され、次に前駆体蛋白が蛋白分解又はプロセッシングを受け、更にその蛋白が重合又は凝集してアミロイ ド線維となる。従って、この過程に影響を与える要因(例えば前駆体蛋白の産生増加、プロセッシングの変化、凝集を促進するような分子環境など)が発症を促 進する因子となる。 |
||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
■症状 |
||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
|
アミロイドーシスの症状は、アミロイドの沈着による臓器・組織の障害に基づくもので、各病型によって異なり多彩である。 診断基準に示すように、特に注目すべき症状は全身衰弱、貧血、心アミロイド沈着による心症状、腎症状(ネフローゼなど)、手足のしびれなどである。 認知症の原因の過半数はアルツハイマー病である。また、高齢者では脳血管壁へのアミロイド沈着(アミロイドアンギオパチー)により、脳葉型の脳出血をしばしば多発・再発する。 |
||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
■治療 |
||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
|
対症療法が主体であったが、近年原因療法が可能になりつつある。原発性ALアミロイドーシスに対して自己末梢血幹細胞移植を併用 した大量化学療法、FAP Ⅰ型で肝移植が行われている。透析アミロイドーシスの予防として透析膜が改良されている。更に、FAP Ⅰ型では抗炎症薬ジフルニサルを用いた治療、AAアミロイドーシスは抗IL-6受容体抗体を用いた治療が臨床試験にて評価される予定である。また、アルツ ハイマー病ではコリンエステラーゼ阻害薬である塩酸ドネペジルが用いられ、症状を軽減させ、進行を遅らせる効果を有する。更に、アミロイドに対するワクチ ン療法等が現在開発中である。 |
||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
■予後 |
||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
|
病型により異なり、個人差もある。 |
||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
■診療支援 |
||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
|
アミロイドーシスの確定診断は、アミロイドの沈着の病理学的な証明による が、病理学的な検索が行えない場合もある。病型によって、遺伝子検査、血液検査、脳脊髄液検査なども、診断や病態評価に有用である。アミロイドーシスに関 する調査研究班では、アミロイドーシスの診断支援の目的で、一般の施設では実施困難な特殊検査についての相談を受け付けている。 これらの検査や治療に関しては、各病型別の専門医(2011年9月現在)(表2)にご相談下さい。 表2 「アミロイドーシスに関する調査研究班」のアミロイドーシス病型別専門医リスト(pdf 190KB)
|
||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
アミロイドーシスに関する調査研究班から |
||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
アミロイドーシス 研究成果(pdf 27KB) |
||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
この疾患に関する関連リンク |
||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
HOME >> 診断・治療指針(医療従事者向け) >> アミロイドーシス(公費対象)
アミロイドーシス(公費対象)
あみろいどーしす
| 研究班名 | 代謝系疾患調査研究班(アミロイドーシス) |
|---|---|
| 情報更新日 | 平成23年6月29日 |




