■概念・定義 |
1 IgA腎症とは何か |
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慢性糸球体腎炎のうち、糸球体メサンギウム細胞と基質の増殖性変化とメサンギウム領域へのIgAを主体とする沈着物とを認めるものをいう。 |
2 IgA腎症(IgA nephropathy)の同義語 |
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IgA腎炎(IgA glomerulonephritis)、Berger病(Berger’s disease)、IgA‐IgG腎症(IgA‐IgG nephropathy)。 |
3 IgA腎症の沿革 |
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1968年にフランスのJ.BergerとN.Hinglaisは、糸球体にIgAと IgGが沈着することを特徴とする腎炎が存在することを初めて記載した。以後、世界各国でこの疾患が独立したものであるか否かの検討が行われ、現在では慢 性糸球体腎炎の一病型として確立している。日本においては1970年代初期から活発な研究が行われ、慢性糸球体腎炎のうち成人では30%以上、小児でも 20%以上を占めていることが明らかになった。 日本と同じように本症が多発する国としては、アジア太平洋地域の諸国とフランスその他の南欧諸国が知られており、北欧や北米では 比較的少ない。このような著しい地域差の原因は不明であり、一部では腎生検施行の頻度と比例するともいわれるが、北米においては北米先住民族に多発し黒人 では稀であることも知られているため、何らかの人種的要因の存在も想定されている。成人・小児ともに男性にやや多く、発見時の年齢は成人では20歳代小児 では10歳代が多いが、患者層はすべての年齢にわたっている。 1993年に至って本症の20年予後が日本とフランスから相次いで発表され、その結果は従来想定されていたよりも不良であって、 両国ともに腎生検後20年間の予後として38%前後が末期腎不全に陥ると報告された。長期予後の正確な数字を決定するためには今後も各国からの追跡調査結 果の集積が必要であるが、日本においては本症の症例数が極めて多いことと、長期予後が比較的不良であることが明らかになってきたために、今後は全国的な共 通基準のもとに症例の診断、予後判断及び治療を行うことが重要であると認識されるようになった。 |
4 IgA腎症の成因 |
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本症には適切な動物モデルがなく、成因の解明は臨床症例の解析に待たねばならないため種々の制約があるが、本症が流血中のIgA を主体とする免疫複合体の糸球体内沈着によって引き起こされるとする説が最も有カである。その根拠は糸球体内のIgAの多くが補体成分と共存しているこ と、移植腎に短期間のうちに高率に再発すること、更に少数報告ではあるが本症に罹患した腎臓を他の疾患患者に移植すると糸球体内IgA沈着が消失すること などである。 また凝集IgAが補体成分を活性化しうることも現在ではほぼ定説となっている。本症の患者の多くは家族性にIgA抗体の産生が亢 進していることも知られており、その機序として種々の細胞免疫異常も報告されている。しかし免疫複合体を形成している抗原の同定は未だ十分には成功してい ない。その他、糸球体硬化に至る本症の進展については本症以外の多くの糸球体疾患と共通した機序が存在することが明らかになりつつある。 |
5 IgA腎症の臨床に関する国際比較 |
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本症発見時の症状は、日本では偶然の機会に蛋白尿・血尿が発見されるもの(chance prote‐inuria and/or hematuria)が大多数を占めるが、諸外国ではこの比率が低く、肉眼的血尿や浮腫などの症候性所見の比率が本邦よりも高い。この差異は腎生検施行対 象症例の選択方針が内外で異なるためと考えられており、ヨーロッパ諸国の中でも腎生検を比較的活発に行っている地域では本症の発現頻度が高いことととも に、無症候性蛋白尿・血尿の比率が高くなっている。 また患者の男女比についても日本はその比率が諸外国よりも低いことが知られているが、これも腎生検対象症例の選択基準の相違がそ の一因と考えられている。本症の臨床検査所見や腎生検標本の病理所見については内外の間に本質的な違いはないが、組織病変が比較的軽度な症例が日本で多く 認められていることも腎生検に対する方針に起因するものと思われる。しかしながら本症の確定診断には腎生検が不可欠であるという点については、内外ともに 一致した見解が得られている。 予後判定については腎生検光顕標本における組織障害度が最も信頼できる指針であるということは内外で異論がなく、その他の臨床指 標の中で腎生検時の高血圧、腎機能低下、高度蛋白尿、患者の高年齢などが予後判定上有用であることも内外に共通した認識である。ただし一部の外国では男性 の方が女性より予後不良であるという報告や、肉眼的血尿を呈した症例は比較的に予後良好であるという説があるが、これらの知見は日本では確認されていな い。本症の治療については根本的な治療法が得られていないために、内外ともに対症療法が行われている。 その中で症例に即した生活規制に加えて抗血小板剤の長期投与と降圧剤による血圧コントロールとが基本であることは世界的に共通し た方針である。その他諸外国の一部では免疫抑制剤と副腎皮質ステロイド剤を含むカクテル療法や血漿交換療法などが試みられ、また過去にはIgA産生抑制療 法なども検討されたことがあるが、いずれも我が国においては一般的な治療法とは考えられていない。 |
6 IgA腎症の今後の動向 |
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急性及び慢性糸球体腎炎の一部には、近年我が国において減少傾向が認められているものもあるが、IgA腎症についてはその発生頻 度はほぼ横這いで推移しているということが国内主要施設間での共通した認識である。今後は全国的な症例追跡によって予後判定と治療法の検討を行うととも に、本症の発症機序解明による特異的療法の開発が期待されている。 |
進行性腎障害に関する調査研究班から |
研究成果(pdf 44KB) |
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IgA腎症
IgAじんしょう
| 研究班名 | 腎・泌尿器系疾患調査研究班(進行性腎障害) |
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| 情報更新日 | 平成20年12月21日 |





