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進行性多巣性白質脳症(PML)

しんこうせいたそうせいはくしつのうしょう(PML)

(指定難病一覧(概要、診断基準等・臨床調査個人票))

1.「進行性多巣性白質脳症(PML)」とはどのような病気ですか

多くの人に潜伏感染しているJCウイルスが、免疫力が低下した状況で再活性化して脳内に多発性の病巣(脱髄病巣[用語解説を参照])をきたす病気です。

2.この病気の患者さんはどのくらいいるのですか

「PML診療ガイドライン2013」に掲載されている国立感染症研究所からの報告では、脳脊髄液のJCウイルス DNA遺伝子検査でPMLの診断が確定した患者さんは2007年4月〜2011年10月の期間で58例でした。最近の日本での発生頻度は0.9人/1000万人です。日本においてはHIVの感染が増加していることや、一部の生物由来製品[用語解説を参照]の副作用としてのPML発生などで発生が増加することが予想されます。

3.この病気はどのような人に多いのですか

欧米では80%以上がHIV感染者ですが、日本ではHIV感染の他、血液系悪性腫瘍・膠原病・自己免疫疾患・臓器移植後などの免疫を抑制する治療を受けている患者さんに多くみられます。近年は一部の生物学的製剤の使用を背景としたPML発症もみられます。

4.この病気の原因はわかっているのですか

ヒトのポリオーマウイルス属に分類されるJCウイルスというウイルスです。このウイルスは通常多くの皆さんが感染していますが(日本人では健常者の70%以上),何も症状を示しません。

5.この病気は遺伝するのですか

遺伝はしません。

6.この病気ではどのような症状がおきますか

PMLの臨床症状は病名である「多巣性」を反映して多彩ですが、よく見られる初発症状としては片麻痺・四肢麻痺・認知機能障害・失語・視覚異常などです。その後、初発症状の増悪とともに四肢麻痺・構音障害・嚥下障害不随意運動・脳神経麻痺・失語などが加わり、無動無言状態(寝たきりの状態)に至ります。

7.この病気にはどのような治療法がありますか

JCウイルスに対する特異的で有効な治療はありません。そのため、PMLの治療は基礎疾患に伴う免疫能低下を回復/正常化を目指すことが主体となります。HIVを基礎疾患にしている場合はその治療を優先します。免疫の改善やウイルスの増殖を阻止する薬で病気の進行を止める場合もありますが、症例によっては効かない場合もあります。近年、マラリアの治療薬であるメフロキンが有効であった報告もあり、多数例での検討が望まれます。

8.この病気はどういう経過をたどるのですか

一般に週単位から月単位で進行しますが、治療効果や患者さんの免疫力の改善などにより進行が止まり、回復する場合もあります。HIVを基礎疾患としたPMLの中央生存期間は1.8年、その他の疾患を基礎疾患としたPMLは中央生存期間が3ヶ月とされています。生命予後が非常に悪い疾患です。

9.この病気は日常生活でどのような注意が必要ですか

PMLの大多数がHIV感染症や免疫抑制状態を基礎疾患として発症しますので、健常者の方は特に注意はありません。ただし、HIV感染予防は一般の方でも重要です。
HIV感染者や前述の基礎疾患で免疫抑制状態にある方は、6)に記した症状が出現した場合は主治医とよく相談して下さい。頭部MRIを撮影して、MRIの所見によりPMLが疑われれば脳脊髄液検査[用語解説を参照]が必要となります。

10.この病気に関する資料・関連リンク

厚生労働科学研究費補助金 難治性疾患等克服研究事業 「プリオン病 及び遅発性ウイルス感染症に関する調査研究班」(編).進行性多巣性白質脳症(progressive multifocal leukoencephalopathy: PML)診療ガイドライン2013. http://prion.umin.jp/file/PML2013.pdf

プリオン病及び遅発性ウイルス感染症に関する調査研究班
〒 920-8640 石川県金沢市宝町13-1
金沢大学大学院医薬保健学総合研究科 脳老化・神経病態学(神経内 科学)
TEL:076-265-2293 FAX:076-234-4253
e-mail:prion@med.kanazawa-u.ac.jp

がん・感染症センター都立駒込病院 PML情報センター
〒113-8677 東京都文京区本駒込三丁目18番22号
TEL:03-3823-2101(代表)
FAX:03-3823-5433

用語解説
脱髄:神経繊維の外側を取り囲み、神経伝導を促進する髄鞘とよばれる部位に変性が生じて髄鞘が脱落する現象です。この病変が起こっている場所を脱髄病巣と言い、このために起こる神経疾患を脱髄性疾患と呼びます。

生物由来製品:遺伝子、タンパク質、細胞や組織など生体由来の物質、あるいは生物の機能を利用して製造される医薬品で、抗体製剤をはじめとする遺伝子組み換えタンパク質がその代表です。関節リウマチや血液系悪性腫瘍などに使用されています。近年はその種類と適応症が広がっており、今後も使用頻度が増えると考えられます。

脳脊髄液検査:主に腰椎の間から穿刺針を用いて脳脊髄液を採取する検査です。髄膜炎や脳炎など中枢性神経疾患の診断や治療効果を把握するのに重要な検査です。


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情報提供者
研究班名 プリオン病及び遅発性ウイルス感染症に関する調査研究班
研究班名簿  研究班ホームページ 
情報更新日平成27年1月6日