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重症筋無力症(公費対象)

じゅうしょうきんむりょくしょう

この病気は公費負担の対象疾患です。公費負担の対象となるには認定基準があります。
(認定基準、臨床調査個人票の一覧は、こちらにあります。)

1. 「重症筋無力症」とはどのような病気ですか

末梢神経と筋肉の接ぎ目(神経筋接合部)において、脳の命令によって神経側から遊離される神経伝達物質(アセチルコリン)の筋肉側の受け皿(アセチルコリン受容体)が自己抗体により攻撃される自己免疫疾患です。全身の筋力低下、易疲労性を特徴として、特に眼瞼下垂、複視などの眼の症状をおこしやすいことが特徴です(眼の症状だけの場合は眼筋型、全身の症状があるものを全身型とよんでいます)。嚥下が上手く出来なくなる場合もあります。重症化すると呼吸筋の麻痺をおこすこともあります。

2. この病気の患者さんはどのくらいいるのですか

1987年の調査では推定有病率は人口10万人あたり5.1人で、全国患者数は約6,000人と推定されていましたが、2006年の全国調査では、有病率は人口10万人あたり11.8人、患者数は15,100人という調査結果がでました。

3. この病気はどのような人に多いのですか

男女比は1:1.7で女性に多いのが特徴です。発症年齢は、5歳未満に一つのピークがあり全体の7.0%になります。その後、女性では30歳、55歳にピークがあり、男性では10歳から65歳の間に好発年齢が広がっています。特別な地域や職業歴と重症筋無力症発症の因果関係はありません。

4. この病気の原因はわかっているのですか

神経筋接合部の筋肉側に存在するアセチルコリン受容体が患者自身の体内で作られる自己抗体によって障害を受け、神経の命令が筋肉に十分伝わらなくなるために起こる病気です。最近抗アセチルコリン受容体抗体陰性の患者さん(全体の10%未満)の一部に抗MuSK抗体を有する患者さんが存在することがわかってきましたが、なぜこのような抗体が作られてくるのかは、まだわかっていません。抗アセチルコリン受容体抗体を持つ患者さんの約70%に胸腺の異常(胸腺腫,胸腺過形成)がみられることより、発病の引き金として胸腺の関与が疑われています。

5. この病気は遺伝するのですか

遺伝しません。遺伝をする筋無力症もまれにありますが、これは先天性筋無力症候群と言われる遺伝子変異による疾患で、自己免疫性の重症筋無力症は遺伝をすることはありません。

6. この病気ではどのような症状がおきますか

特に眼瞼下垂、複視などの眼の症状がでやすいことが特徴です。一方、発語や嚥下障害などの症状が目立つ患者さんもいます。症状が強くなると全身の筋力低下、易疲労性が現れます。上肢の挙上や立ち上がりが筋力低下のため困難になってきます。さらに悪化した場合は呼吸がつらくなる場合もあります。

7. この病気にはどのような治療法がありますか

発症年齢、重症度、胸腺異常の有無により治療法が分かれます。対症療法として、コリンエステラーゼ阻害薬が使用されますが、根治的には免疫療法が必要です。それには、ステロイド薬投与、免疫抑制薬投与、血液浄化療法などがあります。免疫抑制薬は通常ステロイド薬と併用されます。胸腺異常には過形成(胸腺組織が大きくなること)と胸腺腫があります。胸腺腫が見つかった場合は、早期に摘除術を受ける必要があり、生命予後を左右する一つの要因です。

8. この病気はどういう経過をたどるのですか

昔は呼吸筋麻痺のため亡くなる患者さんもいましたが、治療法の進んだ現在ではそのようなケースはごくまれになりました。また、診断に関しても血液中の抗アセチルコリン受容体抗体が測定できるようになり、診断の精度の向上と早期診断が可能になりました。胸腺腫を合併している患者さんには早期に手術を受けていただき、その後ステロイド薬などの免疫抑制薬で加療をします。胸腺腫が無い患者さんに胸腺摘除術を行うことは少なくなりました。ステロイド薬単独や他の免疫抑制薬との併用により治療が行われます。ステロイド薬も治療初期に十分な量を投与することが一般的となり、予後は改善しています。社会復帰状況をみますと、約50%の患者さんは発病前と同じ状況にまで回復されますが、仕事ができなくなったり、身の回りのことに介助が必要になるケースも約10%程度にみられます。

9. この病気は日常生活でどのような注意が必要ですか

ステロイド薬や免疫抑制薬を服用中であっても、大量投与中でなければ、健常人と何ら変わることの無い生活を送ることが出来ます。注意する点として次の点が上げられます。1)ステロイド薬などの免疫抑制薬を服用中の場合は、予防接種として生ワクチンを接種することは出来ません。インフルエンザなどの不活化ワクチンの接種は支障ありません。2)妊娠ならびに授乳において、胎児や乳児に好ましくない影響を与える治療薬があります。これらの点については、主治医に良く相談してください。

この病気に関する資料・関連リンク


1. 厚生労働省科学研究費補助金 難治性疾患克服研究事業「免疫性神経疾患に関する調査研究班」ホームページ
 

2. 日本神経免疫学会ホームページ
 

3. 日本神経学会ホームページ
 

情報提供者
研究班名 神経・筋疾患調査研究班(免疫性神経疾患)
研究班名簿  研究班ホームページ 
情報更新日平成24年3月30日