エーラス・ダンロス症候群(指定難病168)

えーらすだんろすしょうこうぐん
 

(概要、臨床調査個人票の一覧は、こちらにあります。)

1. 「エーラス・ダンロス症候群」とはどのような病気ですか

皮膚、関節の過伸展性、各種組織の脆弱性(もろさ)を特徴とする遺伝性疾患です。1901年にエーラス先生が、1908年にダンロス先生が報告したのが始まりです。2017年に発表された国際分類・命名法では、13の病型(古典型、類古典型、心臓弁型、血管型、関節(過可動)型、多発関節弛緩型、皮膚脆弱型、後側彎型、脆弱角膜症候群、脊椎異形成型、筋拘縮型、ミオパチー型、歯周型)に分類されました。この疾患には別名はありません。この疾患に含まれる、または深く関連する病名として、国際分類で示された13の病型があげられます。

病型 遺伝形式 原因遺伝子 頻度
古典型EDS(Classical EDS; cEDS) AD COL5A1, COL5A2 1/20,000
類古典型EDS(Classical-like EDS; clEDS) AR TNXB
心臓弁型EDS(Cardiac-valvular EDS; cvEDS) AR COL1A2
血管型EDS(Vascular EDS; vEDS) AD COL3A1 1/50,000
関節(過可動)型EDS(Hypermobile EDS; hEDS) AD 不明 1/5,000-20,000
多発関節弛緩型EDS(Arthrochalasia EDS; aEDS) AD COL1A1, COL1A2
皮膚脆弱型EDS(Dermatosparaxis EDS; dEDS) AR ADAMTS2
後側彎型EDS(Kyphoscoliotic EDS; kEDS) AR PLOD1, FKBP14
脆弱角膜症候群(Brittle cornea syndrome; BCS) AR ZNF469, PRDM5
脊椎異形成型EDS(Spondylodysplastic EDS; spEDS) AR B4GALT7, B3GALT6, SLC39A13
筋拘縮型EDS(Musculocontractural EDS; mcEDS) AR CHST14, DSE
ミオパチー型EDS(Myopathic EDS; mEDS) AD, AR COL12A1
歯周型EDS(Periodontal EDS; pEDS) AD C1R, C1S

表:2017年に発表されたエーラス・ダンロス症候群(EDS)の国際分類・命名法。AD:常染色体顕性遺伝(優性遺伝)、AR:常染色体潜性遺伝(劣性遺伝)。

2. この病気の患者さんはどのくらいいるのですか

すべての病型を合わせると1/5,000人はいるだろうと考えられています。

3. この病気はどのような人に多いのですか

どの国の、どの家族にも発生する可能性があります。

4. この病気の原因はわかっているのですか

特定のコラーゲン分子をコードする遺伝子またはコラーゲン分子の成熟に必要な 酵素 の 遺伝子の病的バリアントなどが見つかっています(表)。古典型の原因遺伝子はⅤ型プロコラーゲン遺伝子(COL5A1COL5A2)、血管型の原因遺伝子はⅢ型プロコラーゲン遺伝子(COL3A1)です。筋拘縮型の原因遺伝子はCHST14DSEです。関節型の原因遺伝子は見つかっていません。なお、これらの遺伝子のうち、遺伝学的検査が現在保険収載されているものもあります。遺伝学的検査を受ける際には、医療機関受診と遺伝カウンセリングが必要です。

5. この病気は遺伝するのですか

古典型、関節型、血管型、多発関節弛緩型、ミオパチー型の多く、歯周型は 常染色体顕性(優性)遺伝 (患者さんの次世代は1/2の確率で疾患を受け継ぎます)です。類古典型、心臓弁型、皮膚脆弱型、後側彎型、脆弱角膜症候群、脊椎異形成型、筋拘縮型、ミオパチー型の一部は 常染色体潜性遺伝(劣性遺伝) (患者さんの次子は1/4の確率で発症します)です。

6. この病気ではどのような症状がおきますか

古典型では、皮膚の過伸展性(伸びやすい)・脆弱性(容易に裂ける、薄い瘢痕、内出血しやすい)、関節の過伸展性(柔軟、脱臼しやすい)などの症状が見られます。
関節型においては、関節の過伸展性が中心(脱臼・亜脱臼)です。慢性難治性疼痛、機能性腸疾患(便秘や下痢を繰り返す)、自律神経異常(立ちくらみ、動悸など)など多彩な症状が見られることもあります。
血管型においては、動脈病変(動脈解離・瘤・破裂、頸動脈海綿静脈洞ろう)、臓器破裂(腸管、子宮破裂)、 気胸 といった 重篤 な合併症を生じます。また、内出血しやすい、皮膚が薄い(皮下静脈のが透けて見える)などの特徴があります。 
筋拘縮型においては、出生直後にわかる多発関節拘縮やお顔の特徴に加えて、進行性の結合組織脆弱性に伴う症状(皮膚の過伸展性・脆弱性、関節過伸展性・脱臼のしやすさ、足や脊椎の変形、巨大皮下血腫)を示します。

7. この病気にはどのような治療法がありますか

古典型における皮膚、関節のトラブルに対しては、激しい運動を控えることやサポーターを装着するなどの予防が有用です。皮膚裂傷に対しては、慎重な縫合を必要とします。
関節型においては、関節を保護するリハビリテーションや補装具の使用、また疼痛緩和のための鎮痛薬の投与を行います。
血管型においては、初診時および定期的な動脈病変のスクリーニング、β遮断薬(セリプロロール)による予防、そして、トラブル発症時には慎重な治療(できる限り保存的に、進行性の場合には血管内治療、外科的治療が考慮されます)を行います。腸管破裂を発症した時には、緊急手術を行います。
筋拘縮型においては、定期的な骨格系(足・脊椎の変形、脱臼)の評価・予防・治療・リハビリテーション、眼科・耳鼻科・循環器科・泌尿器科の定期検診、便秘対策(整腸剤・緩下剤内服)、巨大皮下血腫に対する止血剤投与などが考慮されます。

8. この病気はどういう経過をたどるのですか

患者さんの健康状態(重症度、経過)は合併症と治療の状況により、幅があります。

9. この病気は日常生活でどのような注意が必要ですか

ご本人、ご家族がどのような疾患であるかをよく理解し、医療関係者(主治医、リハビリ担当者など)、教育関係者(保育園や幼稚園、学校)と共有することが大切です。安定したよい靴を履くなどして外傷に気をつけること、緊急時の受診体制をあらかじめ相談しておくこと(救急病院、かかりつけ医の利用、健康状態を記したカードの携帯など)も大事です。

10. 次の病名はこの病気の別名又はこの病気に含まれる、あるいは深く関連する病名です。 ただし、これらの病気(病名)であっても医療費助成の対象とならないこともありますので、主治医に相談してください。

「1. 「エーラス・ダンロス症候群」とはどのような病気ですか」を参照してください。

11. この病気に関する資料・関連リンク

日本エーラスダンロス症候群協会(友の会)
http://ehlersdanlos-jp.net/
 
Ehlers-Danlos Support UK
http://www.ehlers-danlos.org/
 
The Ehlers-Danlos Society
https://ehlers-danlos.com/

 

情報提供者
研究班名 先天異常症候群のライフステージ全体の自然歴と合併症の把握:Reverse phenotypingを包含したアプローチ研究班
研究班名簿 
情報更新日 令和4年3月