肋骨異常を伴う先天性側弯症(指定難病273)

ろっこついじょうをともなうせんてんせいそくわんしょう
 

(概要、臨床調査個人票の一覧は、こちらにあります。)

先天性側弯症はすべて難病指定になるのですか?

いいえ、そうではありません。肋骨の異常を伴い胸郭不全症候群と診断される病態が難病指定となります。

生まれた時から側弯症があれば先天性側弯症ですか?

いいえ、生まれた時から側弯があっても、椎骨に形態異常がなければ先天性側弯症とは診断できません。

胸郭不全症候群は呼吸不全と同じものを意味していますか?

いいえ、胸郭不全症候群は呼吸不全とは異なります。胸郭不全症候群とは、呼吸が正常な胸郭と脊柱の成長によりサポートされない状態を意味します。従って、幼小児期に全く呼吸に関する症状がなくても、それ以後の成長により側弯や胸郭変形が進行し(進行が場合でも)、呼吸機能が障害されることが確実な場合は、胸郭不全症候群と診断されます。

胸郭変形は先天性側弯症が悪化しなければ悪くなりませんか?

先天性側弯症が悪化することにより胸郭変形が進行する患者さんも多いですが、逆に先天性側弯症が悪化しなくても胸郭自体に問題があれば、胸郭の変形は進行し呼吸機能が障害されます。診断基準に側弯が軽度の場合の項目が入っている理由は、このような患者さんを見落とさないためです。

肋骨異常を伴う先天性側弯症は必ず悪化しますか。

いいえ、変形した椎体のタイプによっては側弯がまったく進行しない場合もあります。さらに、肋骨の異常が軽度な場合も胸郭の変形は進行しません。従ってそのような患者さんは胸郭不全症候群とは診断されず、難病指定にはなりません。一方で、椎体の変形や肋骨の異常は各患者さんで大きな差があり、進行を予想することが出来ない場合もありますので、注意深く経過観察をする必要があります。

手術を受ければ必ず呼吸機能も維持され、側弯もなおりますか?

いいえ、残念ながら本病態を根本的に治すことのできる治療法は、現在のところありません。どんなに早期に診断し治療に取り組んでも、変形の進行や呼吸機能の悪化を抑えることができない患者さんがいます。これは現在の医療の限界であり、今後の研究による新しい治療の開発が待たれます。

 

情報提供者
研究班名 呼吸器系先天異常疾患の医療水準向上と移行期医療に関する研究班
研究班名簿 
情報更新日 令和4年12月(名簿更新:令和5年6月)